更新日:2021年12月11日(土)
インフレ高騰も影響し支持率低下に悩むバイデン米大統領は9日、「エネルギー価格やその他主要商品の物価上昇圧力は和らぎ始めているが、11月の消費者物価指数にはまだ反映されていない可能性も」と、米11月CPIの市場予想が軒並み10月から一段と加速しそうな状況を示唆していたことへの防御線を張るような発言。
実際にNY原油価格は、10月末には7年ぶり高水準となる85ドル台まで上昇した後、11月後半には70ドル割れへと急低下。月間平均でも10月の81.14ドルから11月は78.58ドルへと低下していました。さらに10日時点での12月平均は69.36ドルと一段と低下の兆し。
果たして11月CPIは前年比+6.81%となって1982年6月(7.06%)以来、39年5ヵ月ぶりの高水準。コアCPIも前年比+4.93%となって1991年6月(4.97)以来、30年5ヵ月ぶりの高水準。
どちらもNY原油価格下落の影響を反映することなく、3ヵ月続伸となってインフレ加速基調を維持。
ただし、CPIもコアCPIも前年比ではほぼ市場予想どおりの水準にとどまったことで、事前に上振れを警戒して米10年債利回りが上昇し、ドル高となっていた流れは巻き戻し。
ドル安急進となってNY金は一時的に急騰の反応。
主要項目別ではガソリン価格が前年比+58.1%となって続伸、5月(56.2)を上回って近年最高水準へと一段と加速。半導体不足で人気上昇が止まらない中古車価格も前年比+31.4%と続伸、8月(31.9)以来3ヵ月ぶり高水準。6-7月の40%台に次ぐ高水準へと再浮上。
その他、賃貸住宅も+3.0%となって4ヵ月続伸、1年4ヵ月ぶり高水準。医療サービスも前年比+2.1%へと続伸、7ヵ月ぶり高水準。
想定の範囲内とは言え、歴史的高水準でさらに加速しているインフレの現状をFRBが見過ごす訳にもいかず、次週FOMCでのテーパリング終了時期前倒しは決定的に。さらに来年の利上げ見通しでも若干のタカ派傾斜も見込まれそうです。
なお、NY原油価格も足下では70ドル台を回復して反発の兆しにもなっており、ボトルネック解消にはまだしばらく時間を要するとの見方も強く、労働市場逼迫に伴う賃金上昇圧力も続き、インフレ緩和にも時間を要することにも。
バイデン大統領の支持率回復にも同様に時間を要することになりそうです。
10日のNY金相場は+8.1ドル、0.46%の反発。時間外は1770ドル台から1780ドル近辺まで小幅に戻して戻り売り、消費者物価の上振れを警戒するように米長期金利上昇とドル高の流れにも連れてロンドン市場にかけて10ドル程の下落。前日安値を下回って1週間ぶり安値をつけながらも、1770ドル割れを回避して下げ渋るとNY朝には米11月CPIの結果を受けて急騰の反応。一時1790ドル超へと上昇も、90日-200日移動平均線(1789.2-1791.8)が横たわる1790ドルの節目を突破してさらに上値を伸ばす程の勢いも、そのタイミングでもなく失速するとNY午後には1780ドル台前半に収束。日足レベルではくじら幕相場での横ばい推移が続くなか、モメンタムは依然として下向き優勢ながらもその勢いは緩和。ある程度のタカ派転換を織り込み済みの状態で迎えるFOMCの結果次第では強めのレジスタンスを突破して上値トライ再開、1820ドル台を短期目標に一段高の展開にも。その反面、1770ドルに切り上げたサポートを割れるようだと一段安へ、1730ドル近辺までが短期下値目安にも。
週間ベースでは+0.9ドル、0.05%の小幅高で4週ぶりの反発。水平状態の52週移動平均線(1801.9)も抵抗線候補に。
NYプラチナは-3.5ドル、0.37%の続落。短期上値目標960ドル近辺にワンタッチして一服感からの反落で直近の保ち合い水準920-940ドルのレンジに回帰しての保ち合い状態に。時間外には930ドル近辺からの反発も保ち合い上限940ドル付近で上値を押さえられ、ロンドン市場でわずかに940ドル超えを試すも、NY市場では何度も940ドルで折り返す展開に。CPI後の乱高下局面では一時925ドルまで下落も、NY午後には930ドル台前半から後半へと反発の兆しも。920ドルから960ドルまでが目先の主要レンジとなり、上値再トライで上限を突破できれば980ドル近辺までの一段高へも、920ドルを割り込めば今年安値890ドル近辺再トライ。
週間では+8.0ドル、0.86%高で4週ぶりの反発。
ドル円は6銭程のドル安円高、0.05%の小幅続落。重要イベント前の様子見状態となった東京時間は113円30銭台から50銭台までのレンジで保ち合い推移、欧州時間にはCPI上振れを想定する向きが優勢となった様子で米長期金利上昇とドル高の流れにもサポートされてジリジリと上昇。NY朝には前日高値113円80銭付近まで上昇、CPIの結果には期待はずれのような展開となって急落、113円50銭割れへと30銭程水準を切り下げ、NY午後には一時113円20銭台まで下げてようやく下げ渋り、反発局面では113円50銭に抵抗感も。FOMC前に114円台半ばを短期目標とした上値トライにはいったん失敗。113円70銭が目先の上限ラインとなり、112円80銭の下限までを主要レンジとしてあらためてFOMC待ちへ。想定以上のタカ派見通しが示されるようなら上抜けも、あらためて114円台半ばを目標に上値トライ再開へ。逆の展開で下限割れなら111円台前半までを目安に下値トライへ。
週間では+55銭、0.49%高で3週ぶりの反発。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場12/10終値とチャート
2021年12月11日(土)時点の相場
国内金:7,095 円 12/10(金) ▼47(0.66%)
国内プラチナ:3,751 円 12/10(金) ▼81(2.11%)
NY金:1,784.8 ドル 12/10(金) ▲8.1(0.46%)
NYプラチナ:934.2 ドル 12/10(金) ▼3.5(0.37%)
ドル円:113.39 円 12/10(金) ▼0.06(0.05%)
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