更新日:2022年5月17日(火)
WPIC(World Platinum Investment Council)発表のプラチナ需給レポートによれば、2022年第1四半期のプラチナ総需要は47.5トン。前期比-9.9%、前年同期比では-26.2%となって2四半期ぶりの低水準。2015年以降では2番めの低水準。投資需要が3四半期連続売り越しとなり、宝飾品需要と産業用需要も低調に。
総供給量は52.7トンで前期比-19.6%、前年同期比-13.2%。需給ともに減少し、需給バランスは5.2トンの供給余剰。4四半期連続で供給余剰となったなかでその差は最少。
※2022年見通しは、総供給量が242.0トンで4.6%減、総需要は222.8トンで1.9%増、2年ぶり高水準。19.2トンの供給余剰見込み。
地上在庫は2022年には136.2トン、2013年以降で最大へと増加見込み。
<供給>
■鉱山産出量:39.8トン 前期比-24.5%、前年比-12.7%で7四半期ぶり低水準。うち南アフリカは26.8トン(前期比-32.5%、前年比-16.3%)で7四半期ぶり低水準、ロシアは5.1トン(前期比-8.4%、前年比-11.4%)。2カ国合計シェアは80.0%、7四半期ぶり低水準。
※2022年通年見通しでは182.6トン、6.8%減の見込み。
■リサイクル:12.9トン 前期比-8.2%、前年比-19.7%で7四半期ぶり低水準。※2022通年では59.4トン、2.3%減見込み。
<需要>
■自動車触媒:22.6トン 前期比+6.6%、前年比+0.1%、11四半期ぶり高水準。
※2022年見通しは95.3トンで+16%、4年ぶり高水準に。
■宝飾品:13.6トン 前期比-12.4%、前年比-8.8%で7四半期ぶり低水準。3四半期連続の前年割れ。
※2022年通年では65.6トン、-15.9%減の見込み。
■産業用:16.6トン 前期比-14.7%、前年比-24.6%。5四半期ぶり低水準。
※2022年通年では-15.9%で65.6トン、2年ぶり低水準となる見込み。2年連続+70%超の大幅増となったガラス関連は-53.7%の大幅減見込み。
■投資:-5.2トン 3四半期連続の売り越し。第4四半期の-3.4トンから拡大、第3四半期の-8.8に次いで近年2番めの大幅売り越し。地金・コイン等の現物投資需要は1.9トンで前期比-36.8%、前年比+185.7%で4四半期ぶり低水準。ETF関連は-5.3トン、取引所在庫が-1.8トン。※2022年通年では+3.2トンで2年ぶりの買い越し見込み。
★需要全体における自動車触媒需要の占める割合は47.5%。宝飾品は28.6%、産業用34.9%。
<価格と消費需要・ETF需要>
宝飾品需要と現物投資需要を合わせたプラチナ消費需要は15.5トン。前期比-16.3%、前年比-0.6%。NYプラチナの第1四半期平均価格は1030.6ドル。第4四半期平均からは+32.2ドル上昇し、3四半期ぶりの反発。価格上昇も、ゼロコロナ政策の中国での需要減が大きく影響。
※2022年通年見通しでは66.6トン、-5.1%で2年連続減、2013年以降では最少となる込み。
2022年見通しについては、引き続きロシアと中国の動向が大きく影響しそうな状況に。ウクライナ侵攻長期化に伴い、ロシアからのパラジウムの供給懸念が拡大するようなら、ガソリン車の排ガス触媒での代替需要としてのプラチナ需要が増加する可能性も。中国ではコロナ感染の収束動向とゼロコロナ政策自体の動向がプラチナ消費需要を左右。
16日のNY金相場は+5.8ドル、0.32%高で3日ぶりの反発。1840ドルの節目割れに伴う短期下値目安1820ドル近辺到達後の一段安で下値警戒水準1800ドル前後までしっかり下げた先週末からの自律反発。しかし週明け時間外には反発し切れず、1810ドル付近から1815ドルまでの小幅上昇で失速するとロンドン序盤には米10年債利回りが2.9%割れから反発した流れに連れ、1800ドル台から一時1790ドル割れへと急落。1月28日(1780.6)以来、3ヵ月半ぶりの安値をつけて切り返すと1800ドルの大台を回復、NY朝には米5月NY連銀製造業景気指数が低調となったことを受けて米10年債利回り急低下とドル安の流れとなって1810ドル台へ、NY引け後には1820ドル台へと一段高。下ヒゲを残しての反発基調を継続し、短期トレンド回復へと向かうためには水平状態の200日移動平均線(1836.8)回復が目安にも。
NYプラチナは-5.4ドル、0.58%安で3日続落。4月28日(911.1)以来、半月ぶりの安値水準。週明け時間外序盤には930ドル付近から940ドルまで上昇して失速、NY金の軟調局面に追随する形となってロンドン序盤には910ドル台半ばまで急落。930ドル台の節目割れに伴う短期下値目安910ドル近辺まであとわずかまで接近して下げ渋り、NY朝にも再度916ドルまで下げて反発、NY午後には920ドル台、NY引け後には930ドル回復トライへ。わずかに消化不良の感も残しながらも下値トライ一服の様相にも、反発方向へは低下基調が続く20日移動平均線(945.6)が目先の抵抗線にも。
ドル円は16銭のドル安円高、0.12%の小反落。3月末安値(121.28)から今年最高値(131.35)までの38.2%戻し(127.50)達成で短期調整局面を終えての自律反発一服。週明け東京市場朝には日経平均の大幅高にも連れて129円20銭台から60銭台まで上昇してこの日の高値を付けると失速、中国の4月小売売上高と鉱工業生産が予想以上に低調となったことを受けて急落すると128円70銭近辺まで下げてこの日の安値。東京午後にかけても129円ラインが上限となっての軟調推移、欧州時間には米10年債利回り上昇に連れて129円40銭台へと上昇。NY朝には129円60銭台までの一段高も東京朝の高値を超えられず、NY連銀製造業景気指数の低調ぶりには129円割れへと急反落。NY午後には129円から20日移動平均線(129.28)近辺までの小幅レンジでの揉み合い。128円30銭から130円60銭までの保ち合いレンジ半ば付近での小幅揉み合い状態に。下限割れなら127円台前半へと調整再開へ、上限突破なら高値更新トライ再開、132円台後半を目指す流れにも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/16終値とチャート
17日の国内金価格は+45円、0.55%の続伸。1月末の今年安値(7244)から4月20日の最高値(8860)までの38.2%戻し(8243)達成で短期調整局面一服からの自律反発。ただし急降下する下降チャネルを形成し、その範囲内にとどまる状態で下落トレンドからは抜け出し切れず。下落トレンド脱出への目安は最高値から5月安値までの23.6%戻し(8385)、反発基調加速に向けては8440円が重要な節目に、これを超えると8500円の大台回復トライへ。8230円台の5月安値を維持できない場合には下降チャネル延長、8200円割れへ。
プラチナ価格は-26円、0.61%の反落で5月2日(4200)以来、2週間ぶりの安値。もつれ合う9日移動平均線(4319)と21日移動平均線(4301)が抵抗帯を形成、これに上値を押さえられ、4330円の節目割れに伴う短期下値目安4240円近辺までの下値トライ継続へと押し戻される形に。多少行き過ぎの場合でも、下からは90日移動平均線(4199)がゆるやかに上昇し、下値サポート候補にも。
※参考:金プラチナ国内価格5/17とチャート
2022年5月17日(火)時点の相場
国内金:8,294 円 5/17(火) ▲45(0.55%)
国内プラチナ:4,266 円 5/17(火) ▼26(0.61%)
NY金:1,814.0 ドル 5/16(月) ▲5.8(0.32%)
NYプラチナ:925.3 ドル 5/16(月) ▼5.4(0.58%)
ドル円:129.10 円 5/16(月) ▼0.16(0.12%)
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