更新日:2022年6月4日(土)
米5月雇用統計は強過ぎず、弱過ぎず適度な好結果。ハイペース利上げを否定する理由も見当たらず、発表後には米長期金利上昇とドル高の流れが進行し、米株安と金も反落。
雇用者数の伸びは予想を上回る高水準となり、6ヵ月平均では前月比+50万人、3ヵ月平均では+40万人のハイペースを維持し、コロナで失われた2200万の雇用もあと2-3ヵ月では100%回復達成見込みとなる状況。
賃金上昇率は前年比+5.24%となって市場予想どおり、4月の+5.46%からはやや鈍化も実質過去最高レベルとなる+5%台での推移は5ヵ月連続。インフレ圧力は依然高水準ながらも、さらなる上昇は回避され、2ヵ月連続の小幅低下でピークアウトの可能性も示唆するような状況にも。
そんななかで失業率は3月FOMCでの2022年末予想中央値3.5%付近となる3.6%まで低下して足踏み状態。ほぼ底打ち状態となってきた感も。
失業率は2019年9月に3.5%まで低下し、1969年12月(3.5)以来49年9カ月ぶり低水準。その後2020年2月までの半年間は3.5%と3.6%の間で横ばい推移。そしてコロナ期に入っての急騰から回復フェーズを経て2022年3月に3.6%まで低下して3ヵ月連続横ばい推移。
失業率はコロナ直前に半世紀ぶり低水準まで低下して底打ち状態となり、2年間のブランクを経て再び同水準まで戻して底打ち状態再開、となってきたようにも。
なお、U6失業率は2019年12月に過去最低タイとなる6.8%まで低下し、コロナ期を経て今年3月に6.9%まで低下。そして4月は7.0%、5月は7.1%へと反発の兆し。
黒人の失業率も5月は6.2%となり、2年5ヵ月ぶり低水準となった4月の5.9%から反発。
また、労働参加率は62.3%となり、4月からは0.1%上昇も2年ぶり高水準となった3月の62.4%を下回る水準。急回復フェーズを終えて伸び悩み状態となってきた様子も。
高卒の労働参加率も56.8%で3ヵ月連続横ばい推移。コロナ後最高となった1月の57.2%を下回る水準で伸び悩み。
人口に対する雇用率も5月は60.1%で4月からは+0.1%も3月と並び、コロナ前の2020年2月(61.2)まであと少しのところで足踏み。急回復フェーズを終えて伸び悩み状態に。
5月雇用統計は、今後の景気減速の兆しへの警戒感こそ払拭する好結果ながら、ピークアウトへの警戒感が漂い始めるような状況かもしれません。
3日のNY金相場は-21.2ドル、1.13%の大幅安となって3日ぶりの反落、前日の上げ幅を帳消し。時間外序盤には前日高値を上回り、5月9日高値(1885.6)以来4週間ぶり高値1880ドル手前まで上昇して失速。ロンドン序盤にかけてゆるやかなドル高基調に1870ドル割れ、NY市場ではそこそこの好結果となった雇用統計に米10年債利回りが2.9%台後半へと急騰、ドル高も小幅に急進した流れを受けて1860ドル近辺へと小幅に急落。その後ISM非製造業景況指数が低調となったことを受けて切り返すも限定的に、NY午後には1860ドル割れへと軟調推移、安値では一時1850ドル割れを試す場面も。結果的に前日から上に行って来いとなって1900ドルの大台回復を目指したフライング・スタートは失敗、下値サポート1840ドル台は維持して1870ドル台までを上限に保ち合い回帰。あらためて上限突破できれば大台再トライへ、4月末高値圏1910ドル近辺を目指す流れへ、下限割れなら下値トライ再開で1800ドルの大台割れリスクもじわり再燃。
週間ベースでは-7.1ドル、0.38%の小幅安で3週ぶりの反落。
NYプラチナは-12.0ドル、1.17%安で6日ぶりの反落。前日高値圏1020ドル台での小幅揉み合い推移が続いた後、NY午前には雇用統計を挟んで市場が乱高下気味の展開となったタイミングで1030ドル台後半まで上昇。3月25日(1038.0)以来の高値で上げ渋り、3月の今年高値(1197.0)から5月の今年安値(895.4)までの半値戻し(1046.2)に少し届かず失速。上ヒゲ陰線を形成しながらもNY引け後も1010ドル手前で下げ渋り、1020ドル付近へと反発の兆しで週末に。1030ドルラインが目先の上限となり、超えると半値戻し近辺再トライへ。下値サポート候補は200日移動平均線(996.2)から90日移動平均線(1003.0)、1000ドルの大台維持と主要レンジ上方シフトをかけた重要な攻防ライン。
週間ベースでは+73.4ドル、7.78%の大幅高で3週続伸。3週続伸は今年初、昨年末以来5ヵ月ぶり。上げ幅は昨年2月8日からの週(+126.0ドル、11.12%)以来、1年4ヵ月ぶりの急騰。52週移動平均線(1010.9)上抜けは2ヵ月半ぶり。
ドル円は97銭のドル高円安、0.75%の反発。NY終値ベースで今年高値となった4月28日(130.86)以来、5週間ぶりの高値。東京朝と欧州序盤には130円台を試す場面も単発に終わり、129円80銭台を中心に小幅揉み合い推移が継続。雇用統計への期待感が高まる状況を反映するように徐々に水準を切り上げると、雇用統計発表後には米10年債利回り上昇とともに130円10銭台から60銭台へと急騰の反応。その後は130円50銭近辺での小幅揉み合いを経て、ISM非製造業景況指数の低調な結果も消化してNY午後には130円80銭台へと一段高、高値では一時131円手前まで上昇。130円20銭の節目を雇用統計直後に上抜けたことで今年高値圏再トライへの流れが進行。次週131円台前半まで、もう少しの上昇余地も。目先の下値サポートは129円80銭、これを割れると20日移動平均線(128.71)から128円台半ば辺りまでが短期調整目安に。
週間ベースでは+3.71円、2.92%の大幅高で4週ぶりの反発。上げ幅としては2016年11月14日からの週(+4.26円、3.99%)以来、5年半ぶりの急騰。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/3終値とチャート
2022年6月4日(土)時点の相場
国内金:8,524 円 6/3(金) ▲95(1.13%)
国内プラチナ:4,614 円 6/3(金) ▲116(2.58%)
NY金:1,850.2 ドル 6/3(金) ▼21.2(1.13%)
NYプラチナ:1,016.4 ドル 6/3(金) ▼12.0(1.17%)
ドル円:130.82 円 6/3(金) ▲0.97(0.75%)
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