更新日:2022年8月12日(金)
消費者物価CPIに続いて生産者物価PPIの伸びも7月は予想以上に鈍化したことで、高インフレは続くなかでもピークアウト感は鮮明に。
米労働省が発表した7月の生産者物価指数(PPI)は前年比+9.76%。市場予想の+10.4%程度を大幅に下回り、過去2番めの高水準となった6月(11.35)からも1.59ポイントの急低下、昨年10月(8.87)以来9ヵ月ぶりの低水準。前年比伸び率が2桁台を下回るのも8ヵ月ぶり。
食品とエネルギー関連を除いたコア指数(コアPPI)は前年比+7.56%。これも市場予想の+7.7%程度を下回り、前月からは0.8ポイント低下。過去最高となった3月(9.71)からは4ヵ月連続の低下となり、昨年10月(6.99)以来9ヵ月ぶりの低水準。前年比伸び率が8%台を割れるのも9ヵ月ぶり。
食品とエネルギー、貿易サービスを除いたコア指数(コアPPI2)は前年比+5.77%。前月から0.64ポイント低下し、過去最高の3月(7.12)からは4ヵ月連続の低下で昨年6月(5.60)以来、1年1ヵ月ぶりの低水準。前年比伸び率が6%台を割れるのも1年1ヵ月ぶり。
PPIとCPIとの格差は1.24%。前月から1.05ポイント急縮小、過去最大の昨年8月(3.40)から縮小傾向が続いて直近4ヵ月は連続縮小。2021年1月(0.20)以来、1年半ぶりの低水準。
この2021年1月はPPIがCPIを下回り続けた状態から逆転した最初の月、いわばコロナショック後の低インフレからインフレ高騰への分岐点となった月。
過去の推移からもPPI-CPIがプラス圏なら高インフレ・フェーズ(インフレ加速傾向)、マイナス圏なら低インフレ・フェーズ(インフレ鈍化傾向)とも言える関係性もあり、このまま縮小傾向が続き、マイナス圏へと突入することになれば、低インフレ・フェーズ突入ということにも。
ただし、CPIもPPIも過去最高水準レベルまで高騰した直後の一服状態にあるインフレ率自体が2%台まで低下するのには、それなりの期間を要することにはなりそうです。
そもそも、2%台まで順調に低下し続けるのかどうかも、まだ誰にもわかりません。
11日のNY金相場は-6.5ドル、0.36%安で4日ぶりの反落。CPI鈍化にも慎重姿勢となって一時的な急騰からの軟調な流れはこの日も継続、時間外には1810ドル手前から一時1800ドル割れ。しかし大台割れでは下げ渋る底堅さも見せてロンドン・NY朝にかけては1810ドル近辺へと反発。米7月PPIも鈍化したことを受けての急騰も1810ドル台半ばまでと限定的、その後米10年債利回りが上昇してドル安も限定的となったこともあり、NY午後には1800ドル付近へと軟調推移。上値トライ一服となって6月29日(1817.5)以来6週間ぶり高値圏が目先の上限となり、1790ドルまでのレンジで保ち合いの様相に。あらためて上限突破できれば3月高値から7月安値までの38.2%戻し(1831.4)近辺を目標に上値再トライへ。下限割れの場合には8月安値(1770.0)前後を目安に調整局面入りへ。
NYプラチナは+13.3ドル、1.41%の続伸で6月10日(971.0)以来、2ヵ月ぶりの高値。940ドルの節目上抜けに伴う短期上値目標、3月高値と7月安値の38.2%戻し(955.8)近辺にも到達。アジア時間には940ドル付近で小康状態、ロンドン市場にかけて950ドル台へと上昇再開、NY朝に960ドルを超えると高値では一時970ドル台半ばまで上昇。NY午後には失速し、960ドル割れへと帳尻合わせ。90日移動平均線(928.9)から930ドル近辺が当面の下値サポートとなって上値トライ一服の様相にも。行き過ぎの展開となれば、いずれ意識される3-7月の半値戻し(1001.9)近辺、大台回復トライへも。逆に下値サポート割れの場合には23.6%戻し(898.8)、900ドルの大台ライン近辺までが意識される展開へ。
ドル円は10銭のドル高円安、0.08%の小反発。東京時間には132円90銭の節目近辺から133円30銭近辺まで上昇して頭打ち、欧州時間にかけては軟調局面再開となり、あらためて132円90銭の節目を割れるとNY朝にかけては132円付近へ、米7月PPIが下振れると90日移動平均線(132.17)と前日安値も下回って131円70銭台まで下落。しかし132円割れでは下げ渋る展開となってNY午後には132円台後半、NY終盤には133円台を回復する場面も。主要インフレ指標のピークアウト感に楽観ムードの市場を牽制するようなFRB高官の発言もあり、今朝の東京時間も133円台での推移。目先は132円90銭の節目割れに伴う短期下値目安130円近辺までの調整リスクを抱えつつも、2日連続長めの下ヒゲを残して下げ渋った状態が続くようなら調整局面終了へも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/11終値とチャート
12日の国内金価格は祝日前から-146円、1.71%の大幅安となって7日ぶりの反落。下げ幅としては今年の絶対値平均56円の2.6倍、今年7番めの急落。先週末8月5日の8378円をわずかに下回り、8月4日(8303)以来、1週間ぶりの安値となり、今週前半3日間の上昇分を帳消し。6月高値から8月安値の38.2%戻し(8432)でもサポートされず、さらなる下値警戒水準としては23.6%戻し(8331)から21日移動平均線(8319)近辺も。反発基調再開に向けてはゆるやかに上昇する90日移動平均線(8475)上抜けの可否がポイントにも。
週間ベースでは-3円、0.04%の小幅安で3週ぶりの反落。
プラチナ価格は+50円、1.14%の反発。6月高値(4682)から7月安値(4070)の半値戻し(4376)でサポートされて4410円の節目を上抜け。これに伴う短期上値目標は4450円近辺、61.8%戻し(4448)達成も見込まれる状況にも。2月以降の保ち合いレンジでは、その期間の大半を下半分で推移してきたこれまでの展開から、上半分へのシフトチェンジをかけた真夏の攻防がスタート。4370円の節目を割り込んだ場合にはいきなり失敗、38.2%戻し(4304)辺りまでを短期下値目安に巻き戻しの展開へ。
週間ベースでは+134円、3.12%の続伸。
※参考:金プラチナ国内価格8/12とチャート
2022年8月12日(金)時点の相場
国内金:8,375 円 8/12(金) ▼146(1.71%)
国内プラチナ:4,427 円 8/12(金) ▲50(1.14%)
NY金:1,807.2 ドル 8/11(木) ▼6.5(0.36%)
NYプラチナ:959.4 ドル 8/11(木) ▲13.3(1.41%)
ドル円:132.98 円 8/11(木) ▲0.10(0.08%)
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