更新日:2022年9月2日(金)
この日発表された米8月のISM製造業景況指数は52.8となって2年1ヵ月ぶり低水準となった7月から変わらず横ばい推移。市場の低下予想に反しての横ばい推移となり、節目50手前で下げ渋ったことがややサプライズにも。大幅利上げへのサポート要因にもなってしまった格好でドル高の流れが加速、ドル円はこの日東京時間に更新したばかりの今年高値139円60銭台を突き抜けて140円台へと急上昇。雇用統計が好結果なら140円到達も、との思惑も裏切って想定外の早期到達。
なお、少し前に発表された米8月製造業PMIも51.5となって速報値の51.3からは上方修正、これも2年1ヵ月ぶり低水準とはなったものの節目の50手前で下げ渋る状態。
米国の製造業は想定外の底堅さを示し、これがドル円の140円台早期到達の原動力になった格好にも。
対照的に節目の50を割り込んでの低迷状態が先行しているのがユーロ圏。
ユーロ圏の製造業PMIは8月確報値で49.6。2ヵ月連続の節目50割れとなって7ヵ月続落、2年2ヵ月ぶり低水準。
インフレ圧力は緩和傾向ながらも、エネルギー問題なども抱え、需要の落ち込みが続きます。ECBの大幅利上げも予想されるなかでリセッション・リスクも高まる一方という状況に。
<ユーロ圏製造業PMIランキング-2022年8月>
1:オランダ=52.6=前月比-1.9で4ヵ月続落、1年10ヵ月ぶり低水準。節目50超は25ヵ月連続。3月から3-1-1-1-1-1位。
2:アイルランド=51.1=前月比-0.7で5ヵ月続落、1年10ヵ月ぶり低水準。27ヵ月連続50超。1-2-3-2-2-2位。
3:フランス=50.6=2年2ヵ月ぶり低水準の前月から+1.1で4ヵ月ぶり反発、2ヵ月ぶり高水準で50超を回復。6-4-5-5-4-3位。
4:スペイン=49.9=2年2ヵ月ぶり低水準の前月から+1.2で3ヵ月ぶり反発、2ヵ月ぶり高水準。2ヵ月連続50割れ。8-8-6-3-7-4位。
5:ドイツ=49.1=前月比-0.2の3ヵ月続落で2年2ヵ月ぶり低水準。2ヵ月連続50割れ。4-6-4-4-5-5位。
6:オーストリア=48.8=前月比-2.9の反落で2年2ヵ月ぶり低水準で50割れ。2-3-2-6-3-6位。
6:ギリシャ=48.8=前月比-0.3で4ヵ月続落、1年8ヵ月ぶり低水準。2ヵ月連続50割れ。7-5-7-7-6-6位。
8:イタリア=48.0=前月比-0.5で6ヵ月続落、2年2ヵ月ぶり低水準。2ヵ月連続50割れ。5-7-8-8-8-8位。
3ヵ月超の続落でも上位2ヵ国は3ヵ月不動。節目50割れ続出のなかで50超を回復したフランスとともに50割れでも上昇したスペインが南欧チームから上位グループへ。
北部チームのなかでは下位グループ低迷が半年以上続くドイツとともにオーストリアも下位グループに転落。最下位イタリアも4ヵ月不動。
1日のNY金相場は-16.9ドル、0.98%安となって5日続落。5日続落は8月半ば以来、半月ぶりで今年4度め。7月20日(1700.2)以来、1ヵ月半ぶりの安値。時間外序盤に高値をつけて軟調推移のパターンは3日連続、この日は1720ドル台前半が高値となってロンドン市場では1710ドル台での揉み合い、NY朝には1710ドル割れへ、米8月ISM製造業景況指数の結果を受けて米10年債利回り急上昇とドル高急進の流れとともに一時1700ドルの大台割れ。自律反発後も1710ドルに抵抗感も。雇用統計前に短期行き過ぎ警戒水準、7月安値圏1700ドル近辺に到達してしまった状態となり、雇用統計がそこそこの好結果となった場合には一段安も見込まれ、7月21日に下ヒゲでつけた今年最安値1678.4ドル近辺までがさらなる下値警戒水準に。
NYプラチナは-21.5ドル、2.6%安で5日続落。今年安値を更新して2020年6月25日(802.7)以来、2年2ヵ月ぶりの安値。時間外序盤とロンドン時間にも830ドル手前で上値を押さえられ、NY朝に820ドルを割れると一段安、安値では一時800ドルの大台割れ。800ドル割れも2020年6月25日安値(790.5)以来、2年2ヵ月ぶり。自律反発では810ドルに抵抗感。行き過ぎ警戒水準800ドルの大台付近に到達し、過熱感も高まる状況も7月安値(806.7)を下回り、二番底崩れの形にも。反発し切れない場合、もう一段の下値警戒水準としては2020年5月安値圏750ドル近辺。
ドル円は125銭のドル高円安、0.9%高で5日続伸。5日続伸は8月22日以来2週間ぶりで今年8度め。1998年8月28日(141.80)以来、24年ぶりのドル高円安水準。東京午前に139円60銭台まで上昇して7月につけた今年最高値を更新すると、欧州時間にかけての調整も139円ちょうど付近まで。NY朝には失業保険申請件数の好結果を受けて139円台後半へと反発、8月ISM製造業景況指数が予想を上回ると米10年債利回り上昇とともに140円台へと急騰。高値では140円20銭台まで上昇し、NY終盤にかけても高止まり。若干の警戒感もあった雇用統計前の140円トライが現実となり、雇用統計がそこそこの好結果ならさらに一段高も。短期的には141-2円程度までは射程圏内、短中期的にはいずれ1998年8月高値147円60銭台が意識される展開にも。当面の下値サポートは136円台半ば。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/1終値とチャート
2日の国内金価格は-19円、0.23%安で3日続落。8月16日(8322)以来、半月ぶりの安値圏での一段安。8420円の節目割れに伴う短期下値目安8360円程度にしっかり到達して若干のオーバーラン。ただし過熱感はなく、雇用統計前というタイミング、ドル円もちょっとした節目となりうる水準到達で一服感も生じやすくなり、相対的には下値警戒感のほうが強まる状況にも。8320円の節目を維持できない場合には今年1月安値(7244)と4月高値(8860)の38.2%戻し(8243)、8200円の大台ライン、さらには8月安値(8168)近辺までが意識される可能性も。
週間ベースでは-75円、0.89%安で3週ぶりの反落。
プラチナ価格は-17円、0.42%安で3日続落。1月19日(3931)以来、7ヵ月半ぶりの安値。4110円の節目割れに伴う短期下値目安、7月安値(4070)近辺に到達後も下げ止まり切れず。RSIは16.3まで低下して確率的には反発への可能性も高まる状況ながら、中期的には今年2月以降の安値圏4100円前後の重要水準を下抜けての一段安となり、主要レンジ下方シフトへの警戒感も高まる状況にも。
週間ベースでは-127円、3.04%安で3週続落。下落率3%超は4月以来、4ヵ月ぶりで今年3番めの急落。
※参考:金プラチナ国内価格9/2とチャート
2022年9月2日(金)時点の相場
国内金:8,348 円 9/2(金) ▼19(0.23%)
国内プラチナ:4,052 円 9/2(金) ▼17(0.42%)
NY金:1,709.3 ドル 9/1(木) ▼16.9(0.98%)
NYプラチナ:805.5 ドル 9/1(木) ▼21.5(2.60%)
ドル円:140.20 円 9/1(木) ▲1.25(0.90%)
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