更新日:2023年3月10日(金)
WPIC(World Platinum Investment Council)発表のプラチナ需給レポートによれば、2022年第4四半期のプラチナ総需要は50.8トン。前期比+7.6%、前年同期比では-4.6%となって2四半期ぶりの高水準。自動車触媒需要が小幅増、投資需要の売り越し幅が大幅縮小。
総供給量は54.1トンで前期比-1.8%、前年同期比-18.3%で3四半期ぶり低水準。需給バランスは3.3トンの供給余剰。6四半期連続の供給余剰となったなかでは最少。
※2022年通年では、総供給量が224.8トン。2013年以降で最大となった2021年からは-12.3%。
総需要は200.6トン。前年比-8.9%、2013年以降では最少。需給バランスは24.1トンの供給余剰。供給余剰は2年連続。
2023年見通しでは、総供給量が231.0トンで2.8%増、総需要は248.4トンで23.8%増、4年ぶり高水準。需給バランスは-17.4トンで3年ぶりに供給不足となる見込み。
地上在庫は2022年は138.6トンとなって2013年以降で最大。2023年には121.3トンへと減少見込み。
<供給>
■鉱山産出量:42.6トン 前期比-2.7%、前年比-19.2%、3四半期ぶりの低水準。うち南アフリカは30.3トン(前期比-2.0%、前年比-23.5%)で3四半期ぶり低水準。ロシアは5.0トン(前期比-10.6%、前年比-10.1%)。2カ国合計シェアは82.8%となり、3四半期ぶり低水準。
※2022年通年では173.5トン。2013年以降で最大となった2021年からは-11.4%の大幅減。2023年見通しは173.3トンで-0.1%と微減見込み。
■リサイクル:11.9トン 前期比-6.0%、前年比-18.8%で2年半ぶりの低水準。※通年では52.3トン、前年比-17.2%で2013年以降では最低。2023年は57.7トンへ10.3%増の込み。
<需要>
■自動車触媒:23.7トン 前期比+5.0%、前年比+12.0%、4年ぶり高水準。
※2022年通年では92.0トン、前年比+11.7%で4年ぶり高水準。2023年見通しは+9.8%で101.0トン、6年ぶり高水準に。
■宝飾品:14.1トン 前期比-6.0%、前年比-11.5%、2年半ぶり低水準。2四半期連続の前年割れ。
※2022年通年では58.9トン、前年比-3.0%で2年ぶり低水準。2023年には60.2トン、+2.2%の見込み。
■産業用:14.8トン 前期比-18.7%、前年比-24.5%。2年半ぶり低水準。
※2022年通年では69.7トン、2013年以降で最大となった2021年から-11.4%。2023年には+11.8%で77.9トンへ、過去最大レベル回復見込み。ガラス関連が2020-21年の連続+70%超の大幅増から2022年は-34.9%と大幅減、2023年には+55.5%の大幅増見込み。
■投資:-1.8トン 6四半期連続の売り越し。第3四半期の-8.6トンからは大幅縮小。ETF関連は-2.1トンと減少幅を縮小、取引所在庫は+0.2トンへとプラス転換。ただし地金・コイン等の現物投資需要が0.03トンとほぼゼロ状態へと激減。
※2022年通年では-20トンとなって2年連続の売り越し。2023年には+9.3トンへと3年ぶり買い越し転換見込み。
★2022年通年での需要全体における自動車触媒需要の占める割合は45.8%。2021年の37.4%から急拡大で過去最大。宝飾品は29.4%、産業用34.8%。※投資は-10%。
<価格と消費需要・ETF需要>
宝飾品需要と現物投資需要を合わせたプラチナ消費需要は14.1トン。前期比-20.9%、前年比-24.9%で2015年以降では最低。前期比マイナスは3四半期ぶり、前年割れは3四半期連続。
NYプラチナの第4四半期平均価格は978.8ドル。第3四半期平均の878.3ドルからは100ドル程の反発。ETFの売り越し幅縮小とともに3四半期ぶりの反発。
※2021年通年では65.9トン。前年比-6.9%の続落、2013年以降では最低。2023年には74.2トンへ、+12.6%増の見込み。
2023年見通しについては、中国の景気回復に伴う消費需要回復、世界的な自動車需要回復基調の継続、投資需要の回復なども見込まれています。
9日のNY金は+16.0ドル、0.88%の反発。時間外序盤の1815.4ドルが安値となり、急落後の反発再トライの展開に。前日安値を下回らず、1810ドル台の節目でしっかりサポートされてロンドン市場では前日わずかに下抜けた上昇軌道の90日移動平均線(1821.8)を上抜け、NY朝には米新規失業保険申請件数が予想外の増加。米10年債利回りが4%割れへと急低下、ドル安の流れとともに1830ドル台へと急上昇、高値では1840ドル付近まで上値を伸ばしてNY引け後も1830ドル台半ば。2月末安値(1810.8)と前日安値(1813.4)とでダブルボトム形成への可能性を残しての反発となり、流れとしては底打ち反発へと向かいやすい状況にも。雇用統計も予想外にネガティブな結果となればその流れを後押し。1860ドルの節目を上抜けることができればダブルボトム完成で一段高の展開へ、短期的には1890ドル台、1900ドル付近までが上値目標に。逆に好調維持となって反発再トライにも失敗、1810ドル台の節目割れへダブルボトム崩れとなれば下値トライ再開、短期下値目安は1780ドル台。
NYプラチナは+8.7ドル、0.92%の続伸。時間外は940ドルを挟んでの小幅保ち合い、ロンドン序盤にかけては930ドル台半ばの安値をつけて切り返し。3日連続930ドル台前半で下げ渋る形となっての反発局面では、NY朝に950ドルを回復、失業保険申請件数の結果を受けてのドル安局面では一時960ドル台まで上昇。しかし、これを維持できずに失速するとNY引けにかけて950ドル割れ。終値ベースでは20日移動平均線(947.3)と200日移動平均線(948.2)上抜けも、NY引け後にはいずれも下抜けて940ドル台半ば。2月半ばから後半にかけての上限960ドル台が目先の抵抗水準となり、その手前には200日線も抵抗線に。これらを突破できれば980ドルの節目との攻防トライへ。下方向へは930ドルがサポート、割れるようだと反発局面腰折れ、900ドルの大台割れをかけた攻防へ。
ドル円は126銭のドル安円高、0.92%安となって4日ぶりの反落。前日東京午後につけた今年高値137円90銭台で短期的にはいったんピークアウトした可能性も。調整局面が進行し始めたこの日は東京朝の137円30銭近辺から午後には137円割れ、欧州時間には136円半ばから136円近辺へ。136円ラインではいったんサポートされてNY朝には136円40銭近辺まで反発も、新規失業保険申請件数の悪化を受けて135円90銭台まで小幅に急落。それでも下値も堅く、NY午後にかけては136円近辺で下げ渋り。今朝の東京市場では再び136円割れ、135円80銭台まで下げる場面も。200日移動平均線(137.47)近辺、137円半ばが上限となり、高値保ち合い下限は135円80銭。この節目を割れるともう一段の調整進行、下落基調の90日移動平均線(134.83)との攻防、134円半ばまでが短期下値目安に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/9終値とチャート
10日の国内金価格は+32円、0.37%高で4日ぶりの反発。短期的には上昇トレンドが崩れつつある状態でなんとか持ち堪えるような状況に。しかし右肩上がりの9日移動平均線(8766)超への再浮上には失敗。雇用統計後に8720円の節目を割れると一段安へ、8700円の大台と21日移動平均線(8698)も割り込んで8660円程度までが短期下値目安に。9日線を上抜けて8800円の大台回復、さらに8840円超へと抜け出すようなことがあれば過去最高値更新へ、8880円台辺りまでが上値目標にも。
週間ベースでは-67円、0.76%の反落。
プラチナ価格は+2円、0.04%の小幅続伸。実質4480円付近での膠着状態となり、急落後の下げ渋りで反発局面が崩れそうな状況を耐えるような格好に。上昇軌道を維持する9日移動平均線(4522)を早期上抜けできれば反発局面再開へ、逆にほぼ水平状態の21日移動平均線(4428)を割れるようだと短期トレンド逆転で軟調局面へ。
週間ベースでは-97円、2.12%安で3週ぶりの反落。
※参考:金プラチナ国内価格3/10とチャート
2023年3月10日(金)時点の相場
国内金:8,758 円 3/10(金) ▲32(0.37%)
国内プラチナ:4,483 円 3/10(金) ▲2(0.04%)
NY金:1,834.6 ドル 3/9(木) ▲16.0(0.88%)
NYプラチナ:949.3 ドル 3/9(木) ▲8.7(0.92%)
ドル円:136.12 円 3/9(木) ▼1.26(0.92%)
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