更新日:2023年4月29日(土)
かつてはサプライズが好感され、もてはやされ、しかし終盤にはそれがマイナスに作用することもあった時期が終わり、新たな展開も求められる次の時代へ。
サプライズを是としない、市場との対話を重視するとも言われる植田新総裁の初回日銀政策会合は予定どおり(と思われた)現状維持。
サプライズなしの現状維持が、まさにサプライズとなったかのように、想定以上の円安急進。
ドル円は東京時間午後の結果発表を受けて133円80銭近辺からほぼ1円の急騰。その後もジリ高推移となって東京市場終了後には、135円近辺から135円80銭台へと再び急騰し、欧州時間にも136円10銭台まで上昇。YCC調整を織り込み、想定以上に進行していた円買いの巻き戻しが急速に進行したような格好にも。
結果、NY朝のPCE発表の頃にはもはや息切れ状態。
3月PCEは前年比+4.16%となって市場予想の+4.1%をやや上回るも2月の+5.07%からは低下。1年半ぶりの+5%割れで1年10ヵ月ぶりの低水準。
コアPCEは前年比+4.60%。こちらは市場予想どおりで2月の+4.69%からは低下。2021年10月(4.31)以来、1年5ヵ月ぶりの低水準。ただし5ヵ月連続4%台後半で下げ渋り、という状態にも。
モノの価格が前年比+1.6%となって2月の+3.6%から一段と低下、9ヵ月連続の低下で2年1ヵ月ぶりの低水準。サービス価格は+5.5%となり、近年最高となった2月の+5.8%から3ヵ月ぶりの水準へと低下。サービス価格も上昇一服。エネルギー関連が前年比-9.8%と2年2ヵ月ぶりの前年割れとなったことが総合指数低下を牽引。
ダラス連銀発表のトリム平均PCEは前年比+4.68%。2月からはわずかに0.01%上昇し、3ヵ月ぶりの高水準。11ヵ月連続4%台、9ヵ月連続4%台後半。
クリーブランド連銀発表のメディアンPCEは前年比+5.83%。2月から0.06%上昇し、2ヵ月ぶりの高水準、1982年9月以降の40年7ヵ月では2番めの高水準。10ヵ月連続5%台、15ヵ月連続4%超。
インフレ高止まりの側面も、現状維持。
28日のNY金は前日からわずかに+0.1ドル、0.01%の小反発。2000ドルの大台回復をかけた攻防が連日続くなか、ほぼ横ばい推移の現状維持。ただしこの日は2000ドル以下での推移が大半に、前日NY市場でつけた安値1982ドルからの反発局面が大台ライン近辺で押さえられ、この日の時間外には大台付近での保ち合いからの戻り売り。ロンドン市場にかけて1990ドル台前半へと押し込まれ、NY朝の米3月PCE発表直後には小幅乱高下となって一時1980ドル台半ばまで下落する場面も。それでもNY午後には2000ドル超へと切り返し、ただしこれを維持し切れない上値の重さも。引き続き大台ラインを中心に1990ドルから2010ドルまでのレンジで保ち合い継続となってFOMC待ちへ。上限突破なら2030ドル近辺、下限割れなら1970ドル近辺までが短期的なレンジを拡大余地。
週間ベースでは+8.6ドル、0.43%高で3週ぶり反発。月間では+12.9ドル、0.65%の続伸。
NYプラチナは-3.1ドル、0.28%の続落。4月17日(1059.6)以来2週間ぶり安値圏での小幅安。1090ドル台半ばでの小康状態となったアジア時間には1100ドルを試すこともなくロンドン市場にかけて軟調推移。1090ドルの節目を割り込んでの一段安も1080ドル割れでは下げ渋り、安値では1070ドル台半ばで切り返し。3日前の25日安値1077ドルとでダブルボトム形成への可能性も残してNY市場で徐々に下値を切り上げるとNY午後には一時1090ドル台へ、ただしNY引け後には再び1090ドル割れ。1090ドルの節目割れに伴う短期下値目安1070ドル近辺にもほぼ到達したような格好にもなり、ダブルボトムの可能性を残して調整一服か。もしくは1090ドル維持に失敗なら1070ドル近辺再トライの可能性も。
週間ベースでは-48.6ドル、4.27%安で7週ぶりの反落。11月以来5ヵ月ぶりの大幅安。月間では+87.0ドル、8.67%の続伸。11月以来5ヵ月ぶりの大幅高。
ドル円は229銭のドル高円安、1.71%の大幅続伸。終値ベースでは今年高値となった3月8日(137.38)以来、1ヵ月半ぶりのドル高円安水準に。上げ幅としては今年の絶対値平均73銭の3.1倍、2月3日(+2.47円、1.92%)以来で今年2番めの急騰。日銀政策発表前には133円30銭台まで下げる場面もあったものの、発表後は133円80銭近辺から急騰。欧州時間にも一段高、NY市場ではPCE結果で一服も高値では136円50銭台まで上昇。保ち合いレンジ上限133円80銭突破に伴う短期上値目標136円台前半にしっかり到達。一服状態でFOMCの待ちへ。目先のサポート候補としては3月安値(129.64)から4月高値(136.56)までの23.6%戻し(134.93)近辺。
週間ベースでは+214銭、1.6%高で3週続伸。7週ぶりに52週移動平均線(135.91)上抜け。月間では+3.45円、2.6%の反発。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場4/28終値とチャート
2023年4月29日(土)時点の相場
国内金:9,350 円 4/28(金) ▼3(0.03%)
国内プラチナ:5,025 円 4/28(金) ▼31(0.61%)
NY金:1,999.1 ドル 4/28(金) ▲0.1(0.01%)
NYプラチナ:1,090.1 ドル 4/28(金) ▼3.1(0.28%)
ドル円:136.28 円 4/28(金) ▲2.29(1.71%)
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