U6失業率(広義の失業率)とは、一般に使用される失業率(U3失業率)に対してディスカレッジド・ワーカー、縁辺労働者、フルタイム希望なのにやむを得ずパートタイム労働に従事する人などの総数を加算した数値です。
毎月月初に米労働省から発表される雇用統計で、メイン指標として取り上げられる失業率は「U3失業率」のことを指します。
詳細には、U-1からU-6までのカテゴリーがあり、それぞれの失業率の定義は以下のとおり。
U-1:労働力人口に占める、15週間以上の失業者の割合(2.9%)
U-2:労働力人口に占める、解雇、及び一時契約期間完了者の割合(3.1%)
U-3:労働力人口に占める、失業者の割合(=公式の失業率)(6.1%)
U-4:U-3にディスカレッジド・ワーカー(職探しを諦めた人)を加算(6.6%)
U-5:U-4に縁辺労働者(家事や育児との兼業などで働けない人等)を加算(7.4%)
U-6:U-5にフルタイム求職にも関わらずやむを得ずパートタイム労働の人を加算(=広義の失業率)(12.0%)
※括弧内は2014年8月分の雇用統計で発表された数値
米FRBの金融政策が転換期へと向かう現在、労働市場のたるみが注目されるなか、賃金上昇率の状況等とともに、U-1からU-5までを全て包含するU6失業率(広義の失業率)の注目度も高まっています。
全カテゴリーの失業率は改善傾向にありますが、リセッション前の時期、U3失業率は5%、U6失業率では8.8%(U3の1.76倍)。
リセッション時期に最も悪化した数値はU3失業率で10%、U6失業率では17.2%(U3の1.72倍)。
2014年8月の数値ではU3失業率が6.1%、U6失業率は12.0%(U3の1.97倍)。U3失業率に比べ、U6失業率の回復状況は遅れています。
なお、2014年8月の数値で、U-3とU-4の差は0.5%、U-4とU-5の差は0.8%、U-5とU-6の差は4.6%。
リセッション前にはそれぞれ0.2%、0.6%、3.0%ほどの差、最悪期では0.6%、0.7%、5.9%。
職探しを諦めた人の割合はそれほどでもないのに対し、フルタイム求職なのに仕方なくパートタイム労働に従事している人の割合がいかに大きいかが分かります。
この割合はリセッション前から大きく、従来から存在していた労働市場のたるみ、とも言えそうです。
最終更新:2014年09月11日
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