更新日:2014年3月20日(木)
無風通過も予想された今回のFOMC、予想通り債券購入額は月額100億ドル縮小し合計550億ドルへ。フォワードガイダンスからの「失業率6.5%」という数値基準の撤廃もある程度予想された範囲内。しかし、経済見通しでは、FOMCメンバー16人中、利上げ開始時期を2015年と予想した人数が13人、金利見通しとして2015年末の水準を1%と予想するメンバーが最多となったことで利上げ時期前倒しの可能性への思惑が浮上。
しかもイエレンFRB議長の記者会見では、量的緩和終了から最初の利上げまでは「相当な期間」があるとしながらも、「6ヶ月程度」とも。失言とも受け止められた様子もあるものの、全く思ってもいないことを口走る可能性は低く、思わぬサプライズ。
今後も順調にテーパリングが進めば今年秋にも終了し、それから6ヶ月後の来年春にも利上げがスタートし、年末にかけて1%へ、というストーリーが成り立つことに。
6年ぶりとなる米国の政策金利引き上げが、今後のドル高の主要なサポート材料となり、金利を産まない金にとってのマイナス材料、という時代が始まることになります。
ただ、FRBの予想やFRB議長による時期的な予想は意外とあてにならないという実績もあります。
昨年5月にバーナンキ前FRB議長が量的緩和縮小開始の可能性を示唆し、その時期と見られた9月は見送られ、結局今年1月へ(発表は12月)とずれこみました。
フォワードガイダンスからの数値基準撤廃による不透明感も、市場の混乱要因のひとつとなりかねません。
実際に米国の利上げフェーズがスタートするまでにも、紆余曲折の日々が待ち受けていそうです。
NY市場、金相場は1.3%の大幅安で3日続落。前日のウクライナ情勢一服感からの売り優勢の流れが継続し、FOMC声明文発表前のNY時間、既に1,340ドル割れへと下落。緩和縮小継続の声明文発表で1,330ドルへと切り下げ、イエレンFRB議長の会見開始とともに若干の乱高下を挟み、利上げ時期前倒しへの思惑と同時に1,320ドル台へ。終値ではレンジ下限の1,330ドル台キープも引け後の下落で実質下限割れ。緩和縮小終了後の利上げ開始時期が主要テーマとなり、今後はその時期の明確化、それを裏付ける材料(経済指標や発言など)が注目されることになり、それが金の売り材料に。年初から続いた上昇トレンドは完全に終了し、レンジ相場へも移行し切れず、短期的にはいったん下げ基調となる可能性も。その場合、当面の下値メドは1,300ドル近辺。
プラチナ相場は0.68%安の4営業日続落。金に連れ安の流れで1,460ドル台のレンジ下限割れ。当面の下値メドは1,400ドル近辺。ただし南ア鉱山の労使交渉で合意できない状態が2ヶ月経過、供給懸念の高まりとともに何らかの動きが見られる可能性もあり、急激な相場変動リスクも。
ドル円は0.88%の反発。予想通りQE縮小継続となったFOMCで101円50銭台から102円20銭台へと急騰、その後の利上げへの思惑から102円50銭台へとさらに上値を切り上げ、一目均衡表の雲の下限を突破、高値では102円70銭台の90日移動平均線付近まで上昇。今朝は102円30-40銭近辺での雲の下限付近との攻防に。レンジ下限割れによる下落リスクはいったん仕切り直し、逆に103円30銭のレンジ上限トライへの可能性も浮上。利上げへの思惑が今後のサポート要因となり、流れに変化が見られる可能性も。上下の節目は103.30円、101.30円。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/19終値とチャート
国内金価格は1.11%の大幅安で3日続落。4,610円台のサポートラインを大きく下抜けたことで下値余地拡大。当面のメドは4,490円近辺。90日移動平均線が緩やかに上昇を続け、ドル高円安基調が進む可能性が高まりつつあることはサポート材料。
プラチナは0.06%の小幅反発で急騰後の急落基調に一服感も。4,870円の節目手前、4,900円の大台ラインもサポートライン候補。
※参考:金プラチナ国内価格3/20とチャート
2014年3月20日(木)時点の相場
国内金:4,563 円 3/20(木) ▼51(1.11%)
国内プラチナ:4,940 円 3/20(木) ▲3(0.06%)
NY金:1,341.3 ドル 3/19(水) ▼17.7(1.30%)
NYプラチナ:1,451.7 ドル 3/19(水) ▼10.0(0.68%)
ドル円:102.33 円 3/19(水) ▲0.89(0.88%)
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