更新日:2014年7月22日(火)
月初から続く南アフリカの金属労働組合(NUMSA)のストでは、組合側から賃上げ要求幅引き下げが提示され、ようやく終結に向けた歩み寄りが見られます。トヨタやフォードが一部の生産ラインを停止し、メルセデス・ベンツも供給ラインに影響を受け、BMWやVW、日産なども生産停止に追い込まれるのでは、との懸念もあった自動車業界にもようやく光明が見えてきた様子。経営者側が提示していた賃上げ率をNUMSA側が拒否していたものの、今回はNUMSA側が折れる形で、ほぼその水準での妥結方向へと向かうものとみられるようです。
一方、先月終了した5ヶ月間のプラチナ鉱山ストの影響で、プラチナ大手のアムプラッツは一部の鉱山売却を決定した模様。鉱山ストによって、同社のプラチナ生産量のうち、42万オンス(約13トン)以上が失われたとのこと。しかし、売却対象鉱山で働く労働者は同社の半数以上、13トンのプラチナとともに多数の労働者の職が失われることになります。
黒人労働者の低賃金などの問題も抱え、高失業率が続く南アフリカの労働環境はなかなか改善が進まないようです。
先日、南ア中銀は今年2度めの政策金利引き上げを決定し、5.75%としましたが、これも景気回復に伴う良い利上げではなく、南アランド安に伴う物価上昇圧力の高まりへの対応策。南ア中銀総裁による2014年GDP伸び率の見通しは前年比+2.1%から+1.7%へと下方修正され、その理由として、ストライキの影響も挙げています。なお、今年1月に行われた1回めの利上げも、通貨安防衛の為でした。
国内重要産業でのスト多発で経常赤字が拡大し、失業率の高止まりが続き、通貨安傾向からも抜け出せず、好ましくないインフレだけが進行する南アフリカ経済の苦悩はまだまだ続きそうです。
21日のNY市場、金相場は0.34%の小幅反発。マレーシア機墜落の真相究明は進まず、ロシア対欧米の対立の構図だけが進展し、イスラエル・パレスチナ紛争状態も継続し、ガザの死者数も増加。市場は地政学リスクへの警戒感継続と織り込み進展との対立の構図、リスク資産の株売り、安全資産の債券・金買い優勢の傾向も勢いを弱めつつ継続。短期的には下方向への流れのなかでの反発の域を脱せず、1,280ドル近辺までの下落リスクも継続。1,320ドルを超えると上方向への節目1,340ドルへのトライも。
プラチナ相場は0.23%の小反発。この日も高値圏では長期レンジの上限1,500ドル近辺が抵抗線に。この水準を上抜けると、再び年初来高値更新トライ、さらに上値を目指す可能性も。しかし、まだ現状は下押し圧力のほうがやや強めの状況、1,470ドル程度までの下押しリスクも継続。
ドル円はわずかに0.02%上昇。上下20銭の小幅推移で、安全資産買いとしての円買いも進まず、むしろ、わずかながら円安傾向へ。上方向への節目は101円70銭、下方向へは100円台半ば辺りまでの円高進行リスクも継続。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/21終値とチャート
3連休明けとなった22日の国内金価格は0.35%の反落。9-21日移動平均線が集中する4,600円の節目がレジスタンスとなり、短期的な反落傾向の流れを変えられず。4,550円で水平状態の90日移動平均線から4,540円近辺が目先のサポートライン候補。抜けると4,500円前後の下値メドへの到達確率アップ。
プラチナは0.67%の反落。地政学リスク一服に伴い、先週の反発分を帳消しにし、元の短期下落トレンド再開の兆し。下値目標水準は5,100円近辺、5,220円が上方向へのレジスタンスに。
※参考:金プラチナ国内価格7/22とチャート
2014年7月22日(火)時点の相場
国内金:4,581 円 7/22(火) ▼16(0.35%)
国内プラチナ:5,183 円 7/22(火) ▼35(0.67%)
NY金:1,313.9 ドル 7/21(月) ▲4.5(0.34%)
NYプラチナ:1,493.4 ドル 7/21(月) ▲3.5(0.23%)
ドル円:101.39 円 7/21(月) ▲0.02(0.02%)
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