更新日:2014年8月14日(木)
この秋、10月のQE3完了を既定路線とする米FRBの金融政策の焦点は、その後に訪れる利上げのタイミング。市場予想では2015年半ば以降が優勢とみられる現状も、雇用統計やGDP、消費者信頼感指数やCPI、景況感など好調を示す経済指標も続き、米国の景気回復基調を背景に利上げ時期の前倒し観測も台頭し始め、FRB内部のタカ派メンバーからも前倒しを支持する意見も聞かれます。
しかし、イエレン議長始めFRBの大勢は、ゼロ金利の当面継続。あくまで慎重姿勢を貫く背景には、早まった利上げによる景気腰折れへの警戒感があります。非伝統的手法で景気回復を支えてきた今、ここでタイミングを間違えるととんでもないことになる、それならインフレのほうがマシ、という論理のようです。イエレン議長が、現状の景気回復基調を過大評価すべきではない、という論調になるのも理解できそうです。
一方、景気回復策として非伝統的手法を続ける日本では、昨日4-6月期のGDP速報値が発表され、年率換算-6.8%と3年ぶりの大幅な落ち込み。もともと消費増税の影響が見込まれ、直前の予想の多くが-7%台となっていたこともあり、想定の範囲内という見方も多く、株式市場などの反応は限定的。安倍総理や甘利経済財政相も「1-6月の半年間でならして見れば前年よりも成長」と、楽観的ともとれる発言も。しかし、消費の落ち込みは前期比-5.0%、予想の-4.3%を大きく下回り、前回増税時の97年4-6月期よりも大幅な落ち込みとなるなど、懸念材料も多々。
7-9月期には回復が見込まれるとしても、その度合には一抹の不安も。さらに懸念されるのは、中途半端な回復度合いでそこそこの評価を元に日銀の追加緩和も見送り、そのまま年末の消費再増税の判断で10%への増税決定という流れ。実施は2015年10月とタイムラグはあるものの、今年4月の増税後の回復状況がそれほどでもない状態のまま追加増税決定となってしまうようなことにでもなれば、それこそ、ゆっくりと進み始めていたはずの景気回復の腰を折ってしまうことにもなりかねません。
状況は違えど、日米ともに景気動向への過大評価は禁物、という時期にさしかかってきているようです。
13日のNY市場、金相場は0.3%続伸。終値ベースでは7月17日以来、4週間ぶりの高値水準。米7月の小売売上高が低調だったことを受けてこの日の安値1,306ドル付近から1,310ドル台半ばへと急騰、その後もこの日の高値圏を維持。1,280-1,320ドルのレンジ上限が抵抗線としての存在感を高めるなか、9日移動平均線が21日移動平均線をゴールデンクロスし、徐々に上方向への勢いが強まる気配も。
プラチナ相場は0.16%の反落。小売売上高の低下はプラチナ需要にとってもマイナスイメージが強く、金に連れ高とはならず。短期下落トレンドの勢いはかなり弱まっているようにも見受けられ、1,462.5ドルまで上昇してきた90日移動平均線辺りがサポートラインとして意識されそう。1,440ドル近辺までの下値リスクへ警戒感も残る状況。
ドル円は0.15%の小幅上昇で3日続伸。小売売上高の下振れに102円台半ばから102円20銭台まで下げた後には元の水準へと反発。102円30銭の200日移動平均線を上抜けると同時に9日移動平均線も上抜け、その下では21日移動平均線も90日移動平均線をゴールデンクロスし、ドル高円安方向への流れが強まる兆しも。102円台から102円80銭のレンジ上限トライへと向かう展開となるか。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/13終値とチャート
14日の国内金価格は0.35%上昇し、3日続伸。7月14日以来、1カ月ぶりの高値となり、その日の価格4,659円が意識される水準に。短期上昇トレンド加速の兆しが継続し、この水準をクリアすると、ようやく今回の上値目標水準4,680円近辺が見えてくることに。
プラチナは0.17%の小幅反発。5,130-40円付近で下値を支えられて下げ渋る状態が続くものの、上値も重く反発も限定的。減速感が見られながらも短期的な下落トレンドは継続中。5,100円付近までの下落リスクも残る状況。
※参考:金プラチナ国内価格8/14とチャート
2014年8月14日(木)時点の相場
国内金:4,627 円 8/14(木) ▲16(0.35%)
国内プラチナ:5,169 円 8/14(木) ▲9(0.17%)
NY金:1,314.5 ドル 8/13(水) ▲3.9(0.30%)
NYプラチナ:1,469.9 ドル 8/13(水) ▼2.3(0.16%)
ドル円:102.41 円 8/13(水) ▲0.16(0.15%)
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