更新日:2014年9月9日(火)
サンフランシスコ連銀の調査論文で「市場参加者はFRBの見方以上に低金利が長期化し、利上げペースも一段と緩慢になると想定している」との指摘があったことが公表されています。市場のボラティリティが低下傾向にあることが、これを示唆している、ということです。これがドル全面高の流れを後押ししたもよう。
なお、この論文によれば、FRBでは2015年末までに金利は1%以上、16年末までに2.5%に到達すると見込んでいるのに対して、民間では最初の利上げは2015年第3四半期、2015年末の金利は0.75%、16年末時点で2.13%と予想しているとのこと。
FOMCでのFF金利予想のドットチャートとこれに基づくFF金利推移見通しを確認すると、「2015年12月のFOMCで政策金利1.00%へ引き上げ」、と仮定しており、「2016年末には予想値平均から2.50%と仮定」した上でのFF金利推移予想となっています。これはドットチャートから平均値を出して想定したもので、FRBの見込みどおりとなっています。ただし、利上げ開始時期は2015年9月と想定していました。
「低金利を当面継続」に惑わされ、可能な限り利上げ時期を遅らせるパターンを想定していましたが、やや利上げペースに無理があるようにも感じていました。
利上げ開始時期を第2四半期に前倒しすることで、利上げのペースも比較的ゆるやかになり、2015年末1.00%に向けて無理なく推移させることができそうです。
ターゲットは6月か7月、でしょうか。
しかし、四半期毎に公表されるFOMCのFF金利見通しの内容は、毎回少しづつ変わります。今年ここまでの経済指標の好調さ等を考慮すると、次週17日に公表されるドットチャートの内容も、さらに前倒し傾向を示している可能性すら想定されます。
8日のNY市場、金相場は1.03%の大幅反落で6月9日以来3カ月ぶりの安値水準へ。ドル全面高の流れは金にも波及、特にドル高円安が急速に進んだNY時間には1,260ドル台半ばから1,250ドル台前半まで急落の展開。下値目標水準1,250ドル近辺に終値ベースでもしっかりと到達したことにより、いったんは下げ止まっている状況。当面のレジスタンスラインは1,270ドル台。
プラチナ相場も0.96%の大幅反落で3月27日以来、5カ月半ぶりの安値水準。それでも目標水準1,400ドル近辺での小動き状態の延長線上で、終値ベースでも完全に到達した形。価格下落に対してRSI上昇のブリッシュ・ダイバージェンスを形成し、下押し圧力の枯渇を示唆。レジスタンスラインは1,430ドル。
ドル円は4月8日の1.25%上昇以来となる0.92%の大幅反発。終値ベースでの106円台は2008年9月30日以来。スコットランド独立懸念による英ポンド急落に伴うドル買いが牽引するドル全面高の流れは、NY時間に入るとドル円でも加速。ドル高方向へのターゲット106円に早々の到達。急ピッチで進むドル高円安の流れで2007年6月高値124円12銭から2011年10月安値75円57銭までの下落幅の61.8%戻しとなる105円58銭を一気に突き抜けており、いったんは一服感も出やすいところ。RSIも低下し、ベアリッシュ・ダイバージェンスを形成。サポートラインは104円70銭台。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/8終値とチャート
9日の国内金価格は前日比わずかに3円安。NY金の軟調推移と円安地合いのバランス均衡状態が続き、4,580円台を中心とする揉み合い傾向が継続。下方向には4,570円、上方向は4,620円台が節目となってレンジ相場を形成、徐々にレンジ幅縮小の兆しも見せ始めており、いずれ大きく動き出す可能性も。どちらかと言えば下方向が優勢で、節目を明確に超えた場合には4,500円割れの可能性も浮上。
プラチナはわずか3円の上昇で小幅に3日続伸。基本的にはゆるやかながらも上方向の流れで5,150円近辺を目指す可能性を維持。しかし足元では5,100円のラインが抵抗線となりつつあり、ここで上値を押さえられる展開が長引くようなら流れが変わる可能性も。下方向には5,060円台が重要な節目。下抜けると5,000円割れの可能性。
※参考:金プラチナ国内価格9/9とチャート
2014年9月9日(火)時点の相場
国内金:4,584 円 9/9(火) ▼3(0.07%)
国内プラチナ:5,096 円 9/9(火) ▲3(0.06%)
NY金:1,254.3 ドル 9/8(月) ▼13.0(1.03%)
NYプラチナ:1,397.5 ドル 9/8(月) ▼13.5(0.96%)
ドル円:106.02 円 9/8(月) ▲0.96(0.92%)
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