更新日:2014年8月22日(金)
本日、日本時間23時から予定されるイエレンFRB議長の講演では、FRBは利上げを急いでいないこと、労働市場のたるみがいかに重要か、といったハト派的な内容になるだろう、そして無風通過の可能性大、との見方が大勢を占めているようです。実際、そのとおりになる可能性は非常に高いのではないかと考えます。しかし、労働市場には改善傾向が見られることも事実であり、これをイエレン議長が自ら強調することはないにしても、受け手側がどう捉えるかによっては、ややタカ派的な印象を受けることもあり得るでしょう。
講演内容がハト派であったとしても、無風通過とは限りません。無風通過と見る向きが多ければ多いほど、少しの波風で市場が大きく動き出す可能性は高まります。また、タカ派的な印象を受ける場面が少なかったとしても、それはそれで市場は織り込み済。既に先日のFOMC議事要旨からタカ派的な一面を受け止めて、ドル高の流れは既にスタートし始めた可能性もあります。株式市場も以前のようにタカ派=売りとはならず、利上げ観測=好調な経済状況と捉え始めて堅調推移が続きます。これに伴い金は軟調推移に移行中。
また、たとえイエレン議長の講演が無風に終わろうとも、その後にドラギECB総裁の講演が控えます。ECBによる追加緩和、量的緩和を示唆する可能性もあり、少なくともさらなるユーロ安を主導したい総裁からは、何らかのけん制的な発言が飛び出す可能性もあります。ユーロ安主導のドル高の流れで市場が動き出す可能性も十分に考えられます。
何より今回は、ジャクソンホールのシンポジウム。その主催はカンザスシティ連銀。ホスト役(ホステス?)でもあるジョージ総裁は、開催前からタカ派色を全面に打ち出しています。利上げに踏み切る時期が到来したと主張し、金利正常化への着手で後手に回るのは望ましくないこと、政策上注目すべき指標の一部は既にゼロ金利を上回るべきというシグナルを発していること、労働市場にギャップは残るが金融政策は将来を見越す必要がある、などと発言しています。2014-2015年の投票権は持たないものの、FOMC関連メンバ内にタカ派ムードが徐々に広がりつつある様子も見逃せません。
21日のNY市場、金相場は1.53%の大幅下落となり5日続落。前日引け後のFOMC議事要旨への反応が除々に表れ、日本時間から売り優勢の流れ、欧州時間にはレンジ下限1,280ドル近辺での攻防、結局このラインを守り切れずに6月18日以来2カ月ぶりの1,270ドル台へ。ボラティリティ拡大の兆しとサポートライン割れで下落トレンド開始の可能性。当面の下値目標水準は1,250ドル近辺。
プラチナ相場は0.69%安で今年最長となる7日続落。欧州経済停滞でディーゼル車販売減に伴うプラチナ需要減少懸念などもプラチナの売り材料に。4月28日以来4カ月ぶりの安値水準へと値を下げてボラティリティも拡大傾向。短期下落トレンドの勢いは1,440ドル近辺の目標水準到達では消化し切れずに加速中。次の目標水準として1,400ドルの大台前後、やや下抜けて1,380ドル程度まで続く可能性も。
ドル円は0.09%の小幅上昇で4日続伸。利食い売りに押される場面も103円60銭までにとどまり、むしろ104円台をうかがう勢いが継続。ドル買い円売りへのトレンドが加速しつつある様子で、次の上値目標水準104円60銭付近を目指す流れが継続する可能性。サポートラインは102円30銭辺り。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/21終値とチャート
22日の国内金価格は0.63%の反落。8月15日の4,630円を超えることが出来ないまま4,580円の重要な節目を下抜け。4,680円を目指した短期上昇トレンドは反転し、目先は下方向へのトレンドが始まった可能性。下値目標水準は4,520円台。
週間ベースでは-52円(-1.12%)、4週間ぶりの反落。
プラチナはほとんど横ばい推移ながら6日続落。下げ止まり感は続いており、目先は5,070円程度が下値メドとなる可能性が高いと見られるが、NYプラチナにもう一段の下げ余地があることから、ドル高傾向があまり進まないようなら5,000円の大台付近が警戒ラインとして浮上する可能性も。
週間ベースでは-72円(-1.4%)で続落。
※参考:金プラチナ国内価格8/22とチャート
2014年8月22日(金)時点の相場
国内金:4,578 円 8/22(金) ▼29(0.63%)
国内プラチナ:5,083 円 8/22(金) ▼1(0.02%)
NY金:1,275.4 ドル 8/21(木) ▼19.8(1.53%)
NYプラチナ:1,419.3 ドル 8/21(木) ▼9.9(0.69%)
ドル円:103.85 円 8/21(木) ▲0.09(0.09%)
Copyright(C) Let's GOLD