更新日:2015年3月3日(火)
主要国の2月製造業PMI(製造業購買担当者景気指数)は、それぞれの国の金融政策動向を裏付けるような結果となっています。
米国と並び、近い将来の利上げ、金融引き締めへの転換が予想される英国が好調維持となった以外は、景気拡大と後退の境目となる50前後での団子状態を形成するような流れに。
インドでは、モディ政権への期待から景況感が先行上昇していた昨年の流れが頭打ちとなり、ここ2ヶ月間で急落。1月には1年間据え置いていた政策金利を引き下げ、緩和政策により景気を支えます。なお、予想されていた金の輸入関税引き下げが見送られたことで、引き下げ待ちで輸入を控えていた業者がやむなく輸入再開に向かうと見られ、金の輸入量が急増するもの見られています。また、インドでは以前のようにドル高に伴うルピー安が進行しなくなり、他の新興国に較べて為替が安定してきたことで、インドの金価格もNY市場に連動するようにゆるやかな下落傾向となっています。緩和策により景気が持ち直せば、インドの金消費需要はさらに拡大することも予想されます。
ユーロ圏は50そこそこの水準から抜け出せない状態が続き、量的緩和導入により景気回復を図ります。そのなかで一時低迷が懸念されたドイツが51.1へとやや持ち直し、フランスは10カ月連続50割れでさらに47.6へと下落する低迷ぶりが続きます。
原油安や通貨安、ウクライナを巡る西側制裁などによる影響で景況感も急落していたロシアは、大幅利上げ後にいったん利下げと景況感も金融政策も乱高下状態。足元では原油安の一服、ウクライナ停戦合意などで状況改善し、いったん持ち直し。
唯一、利上げフェーズにあるブラジルも高インフレと景気低迷に厳しい状況が続き、景況感も乱高下気味。
なお、日本は51.6、インドやユーロ圏をやや上回る水準で緩和政策継続中。
米国では55.1となり、好調を維持する英国の54.1を凌ぎます。なお、ISM発表の製造業PMIでは4カ月連続低下で52.9となっていますが、それでもインドやユーロ圏以下の集団を引き離し、日本の数値よりも高い状況。
相対的には米国の景況感が強い状態が続くことが、緩和から正常な状態(1回めの利上げ)へと向かうことをサポートしています。
2日のNY金相場は4営業日ぶりの反落で0.4%安。ゆるやかな反発傾向が続いた日中には2週間ぶり高値水準となる1,223ドルまで上昇して失速。NY時間にかけて急速に進み出した株高ドル高の流れに呼応するように反落の流れが加速すると1,200ドル台半ばまで下落。上ヒゲの長い陰線を形成し、反発方向への勢いがやや削がれた感も。目標水準1,230ドル近辺への再トライ余地を残しながら、下方向には1,190ドル台半ばを割れるようなことがあれば、今年安値トライへの警戒感が高まる可能性も。
プラチナ相場は0.36%上昇し4日続伸。いったんは下落トレンドを抜け出した形で目標水準1,200ドル付近に迫る1,190ドル台半ばまで上昇。もう一伸びの余地も。さらに水準を切り上げるためには足場固めも必要に。
ドル円は0.4%上昇し3日続伸。2月11日以来3週間ぶりに120円の大台へ。ISM製造業景況指数などが冴えない結果となるなか、個人消費支出が増加に転じたことに株高の流れも加わり、30銭ほど急騰。ゆっくりと121円台前半の目標水準を目指すドル高優勢の流れが継続。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/2終値とチャート
3日の国内金価格は3日ぶりに0.42%の反落。反発への流れも今年高値5,298円から4,934円までの23.6%戻しライン5,020円が抵抗水準となり、いったん足踏み。ここを突破できれば38.2%ライン5,073円から5,080円辺りまで上昇余地拡大へ。
プラチナは0.25%の小幅高で5日続伸。5日続伸となるのは12月初旬以来3カ月ぶり。21-90日までの移動平均線が集中する4,900円近辺にぶつかっていったん減速も流れは好転しつつある状況。当面の上値抵抗線は4,950円。
※参考:金プラチナ国内価格3/3とチャート
2015年3月3日(火)時点の相場
国内金:4,997 円 3/3(火) ▼21(0.42%)
国内プラチナ:4,903 円 3/3(火) ▲12(0.25%)
NY金:1,208.2 ドル 3/2(月) ▼4.9(0.40%)
NYプラチナ:1,189.9 ドル 3/2(月) ▲4.3(0.36%)
ドル円:120.12 円 3/2(月) ▲0.48(0.40%)
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