更新日:2015年9月19日(土)
FOMCでの利上げ見送りの影響は予想外に大きく、とりわけ日米欧の主要株式相場は大きく下落しました。世界経済、さらには米国経済の先行き不安を煽る結果となり、なぜ利上げしなかったのかと不満の声も多数聞かれます。
今利上げしたら金融市場は大混乱に陥る、などFOMC前には利上げ見送り絶対賛成派が多数を占めていたと思われるのに対し、いざそのとおりの結果となると、今度は利上げ見送り反対派(利上げ賛成派)の不満が噴出。どちらに転んでも市場関係者の不満の声は尽きることはありません。
もっと言えば、どちらの結果でも株式相場は下落していた可能性もありそうです。
NYダウは289ドル下落し、前日比1.74%の下落。今年のNYダウの平均騰落率0.72%(絶対値)の2倍以上の値動きに。今年の平均値自体も昨年の平均騰落率0.5%を大きく上回っています。1.7%以上の上昇または下落となった日も、昨年1年間で6日しかなかったのに対し、今年は既に倍以上の14日。そのうち9日が8月以降に集中しています。
金融市場の混乱回避の目的もあったはずの利上げ見送りは、今のところその効果は見られません。
日経平均で見ると、昨年の平均騰落率0.88%に対して今年は0.87%。意外にもほぼ同水準の値動きとなっています。しかし、8月以降に限定すると平均騰落率は1.61%と約2倍に跳ね上がっています。金曜日の下落率1.96%を基準に、騰落率1.9%超の日はこの夏ここまで合計11日。うち上昇3日、下落8日と圧倒的に下落優勢の大荒れ状態。金曜夜間の日経平均先物は17,800円まで下げており、シルバーウィークの間の値動きにも警戒感が高まる状況となっています。
そんな株式相場の混乱を横目に見ながら、今回の利上げ見送りの恩恵を受ける形で金相場は大幅上昇。これで底打ちとの可能性もささやかれ出しています。
世界的な景気先行き不安が高まり、世界同時株安状態が収束方向しないようなら、金相場のもう一段の上昇も十分考えられますが、利上げの可能性が消滅した訳でもありません。利上げへの警戒感が先送りされただけで、デリケートな相場状況がまだしばらく続きそうな気配は拭いきれません。
18日のNY金相場は1.86%の大幅反発。FOMC後の急騰で日本時間早朝に1130ドル台到達後は夕方まで揉み合い継続、欧州時間にかけて株安ドル安の流れ加速とともに一段高。一時半月ぶりに1140ドル台まで上昇し、終値でも9月1日以来の高値水準に。上げ幅も8月20日以来1カ月ぶりの大幅高。利上げ見送りが追い風となってさらに上値を目指すかどうかはやや難しいところ。短期的な上昇目標1130ドル台前半を上抜け、ドル売りの流れも早々と収束の兆しを見せ始めており、90日移動平均線や一目均衡表の雲の上限など複数のテクニカル指標も集中し、減速感が出やすい水準。1120ドル辺りをサポートライン候補としていったん調整の余地も。
週間ベースでは4週間ぶりの反発で+34.5ドル(3.13%)。
NYプラチナ相場も1.65%の大幅反発。金に連れ高となり、不安定な株価に連れて上下に振られながらも980ドルを維持。底値からの反発基調がもう一段進む可能性は高まり、目標水準1000ドル前後を目指す展開へ。株価と同様に不安定さも払拭し切れておらず、960ドル台前半へと反落するようなら今年最安値圏トライへと引き戻される危うさも抱える状態。
週間ベースでは+19.5ドル(2.02%)となり、4週間ぶりの反発。
ドル円は前日からほぼ変わらずの1ドル=120円の水準を維持。利上げ見送りに伴うドル全面安の流れから、東京時間午後には株安進行とともに円高基調も加速。しかしドル円は119円05銭付近までの円高で切り返すと一転ドル高円安へ。短期的な下値目安119円ちょうど付近まで下落したことと、円売りポジションがかなりの低水準となっていることから、円売りの巻き戻しによる円高の勢いにも限界があることが示唆された形。しばらくは120円60銭付近までを上限とした揉み合い継続か。
週間ベースでは-0.57円(0.47%)の反落。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/18終値とチャート
2015年9月19日(土)時点の相場
国内金:4,665 円 9/18(金) ▲14(0.30%)
国内プラチナ:4,046 円 9/18(金) ▼9(0.22%)
NY金:1,137.8 ドル 9/18(金) ▲20.8(1.86%)
NYプラチナ:984.4 ドル 9/18(金) ▲16.0(1.65%)
ドル円:120.00 円 9/18(金) ▲0.00(0.00%)
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