更新日:2015年10月3日(土)
好調だったはずの米労働市場に暗雲垂れ込めるようなネガティブ・サプライズとなった9月の雇用統計。
非農業部門雇用者数(NFP)の3カ月平均は16.7万人まで落ち込み、回復の目安とされる16.2万人超えの状態からの陥落間近ともなる低調ぶり。NFPの年間平均は19.8万人と節目の20万人を割り込み、2013年平均の19.9万人をも下回りました。
さらに、失業率は先月から変わらずの5.1%を維持したにもかかわらず、労働参加率は62.4%へと前月から0.2ポイント低下し、1977年以降の最低水準へ。
注目された賃金は、平均時給で前月の25.10ドルから25.09ドルへ、前月比-0.04%とまさかの減少。
ただし、悪材料ばかりでもなく、賃金ではより重視される前年同月比の伸び率は2.20%となり、3カ月連続での2.2%台で7カ月連続の2%超を維持。近年ではまずまずの水準を維持しています。
長期失業者の割合も26.6%へと3カ月ぶりに改善、U6失業率は10%に低下。4カ月連続の低下で2008年5月以来の水準まで改善。
夏休みと重なる8月分のNFPは速報時点では低めの数値となりやすく、後日上方改訂されやすいとの見方が広まり過ぎて、8月分の数値が大幅上方改訂される?との期待が一人歩きし過ぎた感もあり、結果的にジブリの呪いにハマってしまった形です。
マーケットのほうは素直に株価急落、為替もドル売り円買い、金が急騰で反応する形となりましたが、NYダウは前日比1.5%もの急落となったところから切り返し、逆に前日比1.23%上昇となりました。VIX指数も8月24日の急騰後、高値圏での推移が続いたなかでは最低水準、平常時と異常時の境界線とされる20ポイント台まで下落してきました。
サプライズ的なネがティプ指標による急落でアク抜けとなったか、もしくは当面の利上げ見送り観測台頭がとりあえずの不透明感払拭につながったか、いずれにしても、昨今の利上げ時期をめぐる不透明感がマーケットの不安要素の一つとなっていた状態から、ゼロ金利継続なら株式市場のサポート材料、という以前の状態へと戻りつつあるのかもしれません。
2日のNY金相場は6日ぶりの反発で2.06%の大幅高となり、1週間ぶりの水準を回復。上昇率が2%を超えたのは8月20日以来1カ月半ぶり。ジリ安となった雇用統計発表前までに1103ドル台まで下落、下値メド1100ドル付近に達していたことがその後の反発力を増した形に。ネガティブ・サプライズに1130ドル台へと急騰するとその後も水準を切り上げて一時1140ドルまで上昇。ドル安株安金利低下の流れが急速に巻き戻されても1130ドル台半ばを維持する堅調さも。1110ドルから1150ドル台までにレンジを縮小し、保ち合い継続で上下どちらかへのブレイクをうかがう展開へ。
週間ベースでは-9.0ドル(0.79%)の小幅反落。
プラチナも6日ぶりの反発ながら上昇率は0.45%と限定的。金に連れてのジリ安の展開では安値更新し、急反発局面での連れ高では反発力不足を露呈。910ドル台までの反発後も乱高下気味の推移で不安定さが見られる状況。短期的には900ドルの下値メドにも到達済で下げ止まりの兆しも見られる、程度の状態からは抜け切れず。底値反発へと向かうにはもう少し時間が必要か。
週間ベースでは-43.8ドル(4.61%)の大幅続落。
ドル円は終わってみれば連日の横ばい推移。雇用統計への期待感から事前のジリ高推移が行き過ぎた時には、期待ハズレの結果に急反落というパターンに陥りやすい、という過去の例にならい、120円30銭台から119円割れへと1円以上もの急落。9月4日以来ほぼ1カ月ぶりの安値水準となる118円69銭まで下げたところで反発すると、米株の反発の勢いに連れるように水準を切り上げ、朝には120円台を回復。あらためて下値の堅さを示した形で118円割れを目指す流れとなる可能性はやや後退した可能性も。しかし、長い下ヒゲを残しながらも終値では120円を維持できず、120円台後半のレジスタンストライもできずじまい。レンジ推移はもうしばらく継続か。
週間ベースでは-0.56円(0.47%)の反落。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/2終値とチャート
2015年10月3日(土)時点の相場
国内金:4,599 円 10/2(金) ▼7(0.15%)
国内プラチナ:3,760 円 10/2(金) ▼17(0.45%)
NY金:1,136.6 ドル 10/2(金) ▲22.9(2.06%)
NYプラチナ:907.3 ドル 10/2(金) ▲4.1(0.45%)
ドル円:119.92 円 10/2(金) ▲0.01(0.01%)
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