更新日:2015年10月21日(水)
米商務省が発表した9月の住宅着工件数は120.6万件となり、市場予想の114.2万件を上回り、前月比でも+1.4%の予想を大きく上回る+6.5%となりました。件数としては2007年10月以来、7年8カ月ぶりの高水準となっていた6月の121.1万件に次ぐ高水準。前月比の数値は上下に大きくブレる為、12カ月移動平均で見ると、2014年11月と今年2月に0%をわずかに割り込んだ後は上昇傾向となり、9月時点で1.9%。概ね好調時の水準である+2%近辺での推移が続いています。
先行指標となる建設許可件数では予想を若干下回りましたが、前日に全米住宅建設業者協会(NAHB)が発表した10月のNAHB住宅市場指数は64となり、2005年10月以来10年ぶりの高水準となっていました。
このNAHB住宅市場指数は、PMIなどと同様に現場レベルの景況感をアンケートに基づいて集計し、50が好不況の境目となる指標。
マークイットが発表した9月米国製造業PMIの53.1、ISM発表の9月製造業PMIの50.2などと比較すると、住宅市場の景況感の良好さが際立ちます。と同時に製造業の景況感の低迷ぶりも目立ちます。
低調な製造業の影響もあり、7-9月期の米GDP予想は1.0%を下回る水準での推移が続きます。
なお、住宅市場関連では、ケースシラー住宅価格指数も堅調推移が続いています。住宅価格が上昇すれば、資産価値も上昇し、個人消費への強力なサポート材料にもなり、GDP押し上げへと繋がることになります。
ただし、政策金利が引き上げられることで住宅ローン金利も上昇し、住宅市場へのマイナス材料に。利上げ前の今が住宅購入の最後のチャンス、とも言える時期に差し掛かり、利上げを決定する側としてはこの住宅市場の動向にも気を配ります。
利上げが住宅市場の成長鈍化につながり、逆に言えば住宅市場が好調だからこそ利上げのチャンスというジレンマを抱えることになります。
賃金上昇率が鈍く、インフレ率低迷状態が続く現状は、そんなことを気にする以前の状態かもしれません。
20日のNY金相場は0.4%の反発。米9月住宅着工件数の好結果を受けてやや売られたものの、ECBの融資調査結果で与信環境改善が示されたことからECBの追加緩和観測がやや後退し、ユーロ高ドル安傾向に連れて金も底堅く推移。1170ドル近辺がサポート水準として機能し始めている様子も。直近高値1190ドル付近の抵抗水準突破なら少なくとも1200ドル台超えへ。
NYプラチナは0.54%の反発。再び金との連動性を高めつつ、押し目もそこそこに堅調推移で高値圏での揉み合い形成。1020ドル台後半へと上値を伸ばすようなら1040ドル台へ、逆に1010ドル割れへと反落なら990ドルまで下値余地拡大へ。
ドル円は0.28%のドル高円安となり、小幅に4日続伸。住宅着工件数の上振れもありドル買い優勢の流れも120円手前では頭打ち。それでもテクニカルな節目を複数上抜けて地合いは改善、円高方向への流れも大きく巻き戻され、再び保ち合い状態へ。大幅円高リスクもいったんは大きく緩和されたような状況に。円安方向には120円台半ばが強めの抵抗線状態にあり、抜けると大幅にドル高円安が進行する可能性。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/20終値とチャート
21日の国内金価格は4日ぶりの反発で0.73%高。適度な調整を終えて切り返したところ、4850円が抵抗線となっていったんストップ。このラインを超えると8月高値4900円近くまで上値を伸ばす可能性。NY金の堅調推移に円安傾向も加わるようなレアケースとなった場合にはさらに加速、4950円付近まで上昇する可能性もなくはない。4810円を割り込んだ場合には4750円までが調整余地に。
国内プラチナ価格は5営業日続伸となり1.01%高。想定外の一方的過ぎる上昇基調。5月19日以来5カ月ぶりとなる90日移動平均線トライも目前となり、このままの勢いが続くなら一気に上抜けてしまう?可能性も。しかし、5カ月前にも90日移動平均線超えは1日天下に終わっており、今年のプラチナ価格にとっては鬼門。上下の重要水準としては8月高値4383円、ここからの下落に対する61.8%戻し4145円。
※参考:金プラチナ国内価格10/21とチャート
2015年10月21日(水)時点の相場
国内金:4,846 円 10/21(水) ▲35(0.73%)
国内プラチナ:4,216 円 10/21(水) ▲42(1.01%)
NY金:1,177.5 ドル 10/20(火) ▲4.7(0.40%)
NYプラチナ:1,020.1 ドル 10/20(火) ▲5.5(0.54%)
ドル円:119.84 円 10/20(火) ▲0.34(0.28%)
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