更新日：2015年10月30日(金)
欧州、中国、米国と続いた主要国の金融政策決定重点ウィークのトリを務める日銀の結果発表待ちとなった週末の午前中。
ECBが12月の追加緩和・利下げへの可能性を示唆し、中国人民銀行も追加利下げで景気下支えを敢行、FRBも年内利上げへの可能性を残したことで金融市場はリスクオン傾向への地固めが進み始めた様子です。
これに伴い、株高ドル高、ユーロ安に円安、新興国や資源国も売り優勢、そして金も売り優勢の状況となってきました。
ここで日銀の追加緩和決定、もしくは11月会合へと期待をつなぐようなら、円安株高の流れが加速し、金は一段安へと向かうことになりそうです。
さらに米国の労働市場の改善、インフレ上昇の兆しが見られ、年末までに米国の利上げ、日本の追加緩和、欧州の追加緩和が出揃うことになると、金相場はさらに売り圧力が高まり、7月につけた今年安値1072.3ドルを試しに行くことも十分に想定できそうです。
と同時に、米国の利上げフェーズスタートとともに徐々にアク抜けとなり、これが大底トライとなる可能性も高まります。
逆に日銀の追加緩和見送りで黒田総裁の強気姿勢維持、金融政策も当面見送り、財政出動も気配なしなら円高日本株安の流れで相対的なドル安傾向が金相場の下支え要因に。
さらに、米国の低インフレ状態が続き、ドル高懸念も高まり、年内利上げも見送りとなるようなら、金相場は再び堅調推移となり、年末に向けては1200ドルを超えてさらに上値トライへと向かう、というシナリオも十分に想定可能。
このケースでは、金相場は7月安値が既に大底となって長期下落トレンド転換済で、新たな流れが始まっているとの見方が台頭してくることになりそうです。
週足チャートで見るNY金相場は、7月安値から徐々に下値を切り上げる、緩やかな上昇トレンドがスタートしています。
日銀動向次第で急落となった場合でも、1100ドルから1120ドル辺りまでで切り返すことができれば、このシナリオは継続することになります。
29日のNY金相場は2.45％の大幅反落。下げ幅としては3月6日以来で今年2番め。タカ派寄りとなったFOMC後に1150ドル台へと水準を切り下げると1160ドルの節目ラインを超えることはなく、ジリ安の展開。もう少しの下落余地を残す状況となり、下値目標は1130ドル台後半。1180ドルが当面のレジスタンスラインとなり、突破できれば1200ドル台を目指す展開へ。
NYプラチナ相場も1.93％の大幅反落。FOMC後に990ドル台まで下げていた状態からさらに水準を切り下げることはなく、990ドルラインがサポートラインとして機能。金と比べれば地合いはそれほど弱くもない状況で、990ドルから1010ドル台までのレンジ内推移。金に連れて下方圧力がもう一段強まるようなら990ドルの下限割れで流れは下向きとなり、下値メドは960ドル近辺まで拡大。切り返して1010ドル台を超えるような流れになった場合には堅調推移となって目標水準は1050ドル近辺へ。
ドル円はわずかに4銭上昇とほぼ前日から変わらず。朝方の日本の9月鉱工業生産が予想外の上振れで日銀追加緩和観測後退につながったことで円高圧力が高まり120ドル60銭近辺まで下落。その後121円台まで反発も米7-9月期GDPが予想をやや下回り、9月中古住宅販売も低調となったことなどもあり失速。日銀動向への警戒感からも動き難い状況に。追加緩和ありなら123円台を目指す流れ加速へ、見送りなら119円台前半がメドに。
※参考：金プラチナ相場とドル円 NY市場10/29終値とチャート
30日の国内金価格は0.83％の続落。ドル円が動き難い状態となったことでNY金の前日朝以降の下落分をそのまま反映され、4720円台を目指す流れが継続。日銀追加緩和見送りなら一時的に円高加速でオーバーランとなる可能性も。上方向には4850円が当面のレジスタンス。
週間ベースでは-72円（1.49％）で続落。月間では+116円（2.5％）の反発。
国内プラチナ価格は0.39％の小幅反落。やや揉み合い傾向ながら4080円近辺までの下落余地。やはり失望売りと急反発に警戒する状況となり、下値警戒水準は4000円付近まで、上方向には4200円がやや強めの抵抗水準に。
週間ベースでは-85円（2.02％）の反落。月間では+316円（8.31％）の大幅反発。
※参考：金プラチナ国内価格10/30とチャート
2015年10月30日(金)時点の相場
国内金：4,765 円 10/30(金) ▼40(0.83％)
国内プラチナ：4,117 円 10/30(金) ▼16(0.39％)
NY金：1,147.3 ﾄﾞﾙ 10/29(木) ▼28.8(2.45％)
NYプラチナ：993.3 ﾄﾞﾙ 10/29(木) ▼19.5(1.93％)
ドル円：121.12 円 10/29(木) ▲0.04(0.03％)