更新日:2015年12月10日(木)
6年10カ月ぶり安値水準に低迷するNY原油相場と7年ぶり安値水準から反発の兆しも見られ始めるNYプラチナ相場。2015年の金融市場混乱要因の一つとして象徴される資源安を牽引してきた両者の2015年の年間騰落率は、9日時点でプラチナ-28.38%、原油-30.24%。8日時点ではプラチナ-29.98%に対して原油が-29.59%。-30%の大幅下落水準での攻防が続いています。
中国の需要減が進行するなか、OPECを中心に産油国の思惑が交錯し、需給バランス見通しが大きく相場を左右する原油。片やディーゼル車の排ガス触媒需要の動向が大きく影響し、VWの不正問題が追い打ちをかけるなか、貴金属として金との連動性も高いプラチナ相場。主な変動要因は異なりますが、両者ともに投機筋により、その変動が増幅されやすいという面や、ドル建て資産の宿命でもある対ドルとの逆相関が生じやすいという同じような面も持ち合わせます。
NYプラチナ相場とNY原油相場の2015年の推移には、ほとんど連動性は見られません。年間の相関係数は0.5280と無関係状態を示します。しかし、6月以降の半年間に限ると相関係数も0.8049へと跳ね上がり、やや似通った下落基調をたどっています。
年前半には、それぞれの需給バランスへの思惑が相場変動の主要因となり、年後半には、米国の利上げへの警戒感や歴史的安値水準となったことにも乗じた投機的な売り買いが交錯した様子も見受けられます。
結果的に年間では同レベルの下落率に達しているプラチナと原油は、いずれも今後の需給改善見通しは芳しくはなく、底値見通しが立ちにくい状況でもありますが、米FOMCを控えて安値圏での乱高下状態となり、セリング・クライマックスへの可能性も感じさせるような状況と見ることもできそうです。
9日のNY金相場は0.11%の小幅続伸。抵抗水準1080ドル台半ばまで水準を切り上げたところから、原油急騰、急反落の流れに追随するように1070ドル割れへと急落。しかし、株安ドル安の流れが続いたことで反発。ただし上値も限定的となり、1070-1080ドル台のレンジで揉み合い形成の様相。リスク回避的な流れでの買いも限定的、下値も限定的となりつつある様子も見られ、次週FOMCまでは現状水準レベルでの保ち合い状態継続か。上限突破では1100ドル台へと急騰の可能性、下値は1050ドルがサポート水準。
NYプラチナ相場は3日ぶりの反発で2.28%の大幅高。反発局面では金の上げ幅を上回る荒っぽい展開。大きな流れではまだ下方向、短期的には上向き局面のなかでの乱高下状態は底値での最終局面を思わせるような値動きとも。880ドルの抵抗線超えなら910ドル台へ、840ドル台半ばを割り込めば安値更新で800ドル台が下値メドに。
ドル円相場は1.21%の大幅ドル安円高で続落。原油安に振り回されるように株安とともにドル売り円買い進行で1カ月ぶりの円高水準へ。122円台半ばのサポート水準を割り込んだことで急落状態となり、一時121円割れ寸前まで下落。FOMC1週間前に保ち合い下方ブレイクとなり、円高方向へのメドは120円台前半までもう一段の円高余地を残す状況。そこまで下げてFOMCと前後してドル高方向へと反発、というシナリオも想定可能か。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場12/9終値とチャート
10日の国内金価格は1.14%の大幅反落。NY時間のフラッシュ・クラッシュ的な円高に巻き込まれる形で今年安値圏へと大きく押し戻された状態。NY金の底堅さが今のところは維持されており、サポート材料に。ただし円高リスクが若干残る状況にあり、FOMC前に安値トライへと向かう可能性も。今年安値4471円まででサポートされない場合には4400円の大台割れの可能性も。
国内プラチナ価格は0.36%の小幅安で3日続落。急遽高まった円高リスクに下値警戒感もやや拡大。NYプラチナの不安定な状態からは、円高とNYプラチナ安のダブルパンチの可能性も否定できず、再び下げ幅拡大の可能性も。それでも当面は3530円までがサポート水準に。リスク回避的な流れがさらに強まるようなら、一段安で3400円台半ばまでが下値警戒水準に。
※参考:金プラチナ国内価格12/10とチャート
2015年12月10日(木)時点の相場
国内金:4,499 円 12/10(木) ▼52(1.14%)
国内プラチナ:3,598 円 12/10(木) ▼13(0.36%)
NY金:1,076.5 ドル 12/9(水) ▲1.2(0.11%)
NYプラチナ:865.8 ドル 12/9(水) ▲19.3(2.28%)
ドル円:121.45 円 12/9(水) ▼1.48(1.21%)
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