更新日:2016年5月13日(金)
ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が12日発表したGold Demand Trends Q1 2016によると、2016年第1四半期の世界の金需要は1289.8トン。2015年第4四半期の1111.3tからは178.5t増(+16.1%)、前年同期(1070.4t)比では+219.4t(+20.5%)。5年間平均(1114.7t)と比較しても+175.1t(+15.7%)といずれも増加。ドル建て価格の平均は1182.6ドルとなり、前年同期の1218.5ドルから2.9%低下していました。
宝飾需要は前年同期比-115t(-19.3%)の大幅減。これを補って全体需要を拡大させたのは投資需要で、前期比+201%、前年同期比+122.2%となる617.6t。
金投資需要の推移ではコインやバーなどの現物需要が前期比-6.9%、前年同期比+0.7%と小幅推移となっているのに対し、ETF関連の投資は3四半期期連続の売り越しから363.7tの大幅買い越しへと逆転。
この金ETF需要の急拡大が金価格を押し上げることになり、四半期ベースでは過去30年間で最高のパフォーマンスとなりました。
なお、SPDRゴールド・シェアの金ETF残高は3月末時点で819.3t。世界全体1974.3tのうち41.5%を占めています。5月12日時点でも845.19tへとさらに増加しており、世界全体での金ETFの買い越しは第2四半期半ばに差し掛かる現在も拡大傾向が続いているようです。
現物投資と宝飾需要を合わせた金消費需要の合計では、世界2位の金消費大国インドが116.5tとなり、前期比-51.6%、前年同期比-39.2%と大幅に落ち込んだことが世界全体の足を引っ張りました。インド政府による金の売上税とこれに伴う宝飾業界のストなどが大きく影響したようです。
世界1位の中国も241.3tとなり、前期比では+1.5%と微増、前年同期比では-12.4%と伸び悩みました。
前年同期比で増加したのは米国の+20.6%、タイの+12.2%、イランの+6.5%、英国の+20%などに限られ、その他の国では-10-20%程度の減少。
なお、日本は6.8tで英国に続き17位となっています。
また、上位16カ国のなかで宝飾需要の比率が高いのは、中国74.3%、インド75.9%以外では、サウジ、UAE、ロシアが80%超、香港、エジプトが90%超となっています。逆に投資需要の比率が高かったのは、ドイツ94.8%、タイ87.2%、ベトナム71%、スイス100%。ドイツとスイスはともかく、タイとベトナムの投資需要は意外です。アジア=宝飾需要、でもないようです。
中央銀行の金準備保有量では、前期比-31.1%、前年同期比-2.6%と小幅減。
上位20カ国の2015年末からの主な変動は、6位中国が+1.99%、7位ロシアも+4.84%と買い増しが続き、トルコは-7.02%の売り越しで12位から13位に1ランクダウン、ベネズエラも-24.4%の売り越しで16位から21位へとランクダウン。以下繰り上げで20位にはオーストリアが280tでランクイン。※参照:世界の金準備保有量ランキング上位100カ国
供給量では、鉱山産出量は1094.9tとなり前期比+13t(1.2%)、前年同期比+2.3t(0.2%)と微増、リサイクルが360.9tで前期比+125.4t(53.2%)と大幅増、前年同期比では-2.3t(0.6%)。金相場上昇がリサイクル急増につながりました。
12日のNY金相場は0.34%の小反落。ドル買い優勢の流れにジリ安の展開で1260ドル台半ばまで下げたところで米新規失業保険申請件数の大幅悪化を受けて1280ドル台へと15ドルの急騰。しかし、これも長続きせずに短時間で元の水準へと収束。5月に入ってじわじわと水準を切り下げる流れが続く軟調気味の推移で調整フェーズはまだ進行中とも思われ、レンジ上限1300ドルラインが徐々に遠くなる状況。下値目安1250ドル前後までを試しに行く可能性も継続。
NYプラチナ相場は1.13%の大幅反落。やはり高値保ち合い継続のなかでも徐々に上値が重くなる様子。上方向への節目は1090ドルから1070ドルへと切り下がり、ここを突破出来れば調整局面終了で高値更新、1100ドルの大台乗せへ、という展開にもつながる可能性は残る状況。しかし、目先は調整局面継続優勢で直近の下値目安1030ドル前後までの再トライへ、行き過ぎの場合には1010ドル付近が次の目安に。
ドル円は0.55%の反発。月末月初の急変動値幅の38.2%から61.8%までのレンジであり、急変動直前の保ち合い水準でもある108円から109円台半ばまでの水準での保ち合い再開の様相。レンジ下限付近でドル高円安へと反発した流れで109円40銭付近まで戻したところで新規失業保険申請件数悪化をきっかけに108円台半ばへと急反落。しかし、円高方向への下値も堅く、今朝には再び109円前後の攻防へ。3日連続で上値を押さえられた109円30銭台をしっかり突破できれば少なくとも110円台半ばへ、加速すれば111円台前半も視野に。108円台前半を割り込んだ場合には、107円台を素通りして106円台へと安値トライ再開の展開となる可能性も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/12終値とチャート
13日の国内金価格は前日比わずかに-1円。3日連続連同一水準で値動き停止状態とはなったものの、短期トレンドは上向き優勢を維持し、上方向への加速はいつでも準備OKの状態。今週末から次週にかけての米消費、物価関連指標で米経済の強さが見られるようならドル高円安にサポートされて動き出す可能性も。上値目標は4830円台近辺、下方向には4700円がサポートライン、下抜けると流れは逆転、4月安値4610円台がターゲットに。
週間ベースでは+42円(0.89%)の反発。
プラチナ価格は3日ぶりの反落で年初来高値から0.84%安。3860円台から3950円までの高値保ち合いレンジ上抜けに失敗し、4000円の大台トライはいったん先送り。しばしの保ち合い継続が優勢か。失速状態が顕著となり、3860円台のサポートラインを割りこむようなら3800円付近まで調整幅拡大も。
週間ベースでは+21円(0.54%)の反発。
※参考:金プラチナ国内価格5/13とチャート
2016年5月13日(金)時点の相場
国内金:4,759 円 5/13(金) ▼1(0.02%)
国内プラチナ:3,917 円 5/13(金) ▼33(0.84%)
NY金:1,271.2 ドル 5/12(木) ▼4.3(0.34%)
NYプラチナ:1,054.0 ドル 5/12(木) ▼12.1(1.13%)
ドル円:109.00 円 5/12(木) ▲0.60(0.55%)
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