更新日:2016年8月27日(土)
無風通過との予想も少なくなかったジャクソンホール、今年はドル安の流れが反転する転機となった可能性も浮上してきました。
イエレンFRB議長が講演で「利上げの根拠がこの数カ月で強まった」、「雇用と物価の目標達成に近づいている」などと発言すると、瞬間的にドル買いの反応。
しかし、利上げ時期を示唆するものでもなく、従来どおりの表現との見方も可能で決め手にはやや欠ける表現にとどまったこともあり、ドル円では100円90銭台まで買われた後に急失速
、わずか15分後には100円05銭辺りまで売り込まれ、再び100円割れ再トライの展開へ。
同じような展開は、1時間半ほど前にも見られました。
米4-6月GDP改定値が市場予想通りの前期比年率+1.1%へと0.1ポイントの下方修正となり、同個人消費が+4.4%へと予想と速報値の+4.2%を上回ったことを受けてドル円は100円30銭台で小幅に上昇、しかし直後には戻り売りに押されて100円20銭台へと下洛。
個人消費上振れ後の戻り売り局面をイエレン発言で支えて反発も、再び戻り売りの展開となったところで流れを大きく変えたのは、フィッシャーFRB副議長の発言だったかもしれません。「イエレンFRB議長の発言は9月利上げの可能性と整合」するとの援護射撃で100円台半ばで燻ぶるドル円を押し上げる展開に。
この日、イエレン発言を支援したのはフィッシャー副議長だけではありませんでした。
前後して、クリーブランド連銀のメスター総裁も「利上げを行うことは理にかなっている」とし、アトランタ連銀ロックハート総裁も「今年2回の利上げは想定可能」。パウエルFRB理事も「緩やかな利上げプログラムが適切」とやんわり支持。
この数日間では多数のFRBメンバーが早期利上げを支持する発言を行っており、FOMC投票権保有者のなかでは、FRB理事5名中、正副議長と理事1名の計3名が支持。地区連銀総裁5名中では、NY連銀ダドリー総裁、クリーブランド連銀メスター総裁、カンザスシティ連銀ジョージ総裁の計3名。
明確に反対しているのはセントルイス連銀のブラード総裁ただ一人。10名の投票権保有者のうち、6名が早期利上げに前向きな姿勢を表明し、今後極端にネガティブな指標が飛び出さない限りは年内利上げは濃厚、という状況となってきました。
やや押しが弱かったイエレン議長の発言をフィッシャー副議長がフォローし、ほぼFRBの総意とも言える前向き姿勢が早期利上げ観測再燃へと市場を駆り立てた様子です。
Fedウォッチの9月利上げ織り込み度も20%台から36%へと跳ね上がり、12月利上げの確率は51.8%の五分五分状態から63.7%へと急騰しています。
ドル安優勢の展開が続いていた8月の流れが反転の兆しを見せ始め、ショートレンジでの戻り売り局面を耐えて反発の流れへと切り返し始めたドル円も2週間ぶりの102円手前まで上昇。
次週、日足レベルの戻り売り圧力にも耐えられるかどうか、という局面に差し掛かってきました。この状況を1320ドル台で下げ渋るNY金も注視する状況となっています。
26日のNY金相場は0.1%の小幅高で3日ぶりの反発。イエレン発言にドル売り金買いとなった初期反応では1330ドル付近から1340ドル台半ばまで急騰し、切り返して1321ドルまで急反落。結局は前日からほぼ変わらずの1320ドル台半ばに収束。一時的な乱高下を経て、結果的に直近下値目安1320ドル台に落ち着いた状態。2日連続で安値は1321ドル、この水準での底堅さも見られるものの、ドル安の流れが反転し始めた可能性があり、一足先に調整局面入りしていた金の売り基調と合わせ、ドル買い金売りの流れが今後加速する展開も予想される。短期的な流れはいったん区切りをつけた状態で、次のきっかけ次第では1300ドルの大台付近までが下値目安となりやすい状況。
週間ベースでは-20.3ドル(1.51%)の反落。
NYプラチナ相場も3日ぶり反発でわずかに0.06%の小幅高。金に連れての乱高下状態では高値1094ドル、安値は1060ドルまで。上値は若干控えめで1100ドルに抵抗感も、日足では前日から横ばい推移の1077ドルを中心に上下に長いヒゲを残す十字線を形成。6月24日安値(955.3)から8月10日の今年高値(1199.5)までの上昇幅の半値戻し(1077.4)到達で、反発への可能性も示唆する状況。しかし、大勢的には下方向優勢の状態は変わらず、次の動き出しでは61.8%戻し(1048.6)、1050ドル前後が意識されやすいところ。
週間ベースでは-40.7ドル(3.64%)の大幅安で3週続落。
ドル円は1.26%の大幅ドル高円安となって3日続伸、2週間ぶりの101円台後半へ。イエレン議長の発言直後の乱高下では100円台後半の上値の重さと100円の大台ラインでの底堅さを確認。早期利上げ観測再燃により、抵抗感が増しつつあった100円台後半の水準を突破すると、さらに加速して102円手前まで。100円70銭の節目もしっかりと上抜けたことで、3年8カ月の円安トレンドの調整局面が50%戻しの水準で終息する可能性へも望みがつながった状態。102円台到達の場合には、年初からの下落トレンドの抵抗線付近となる103円台後半までは上値を伸ばし易い展開へ。
週間ベースでは+1.59円(1.58%)となり、5週間ぶりの反発。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/26終値とチャート
2016年8月27日(土)時点の相場
国内金:4,580 円 8/26(金) ▼15(0.33%)
国内プラチナ:3,726 円 8/26(金) ▼22(0.59%)
NY金:1,325.9 ドル 8/26(金) ▲1.3(0.10%)
NYプラチナ:1,077.7 ドル 8/26(金) ▲0.7(0.06%)
ドル円:101.79 円 8/26(金) ▲1.26(1.26%)
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