更新日:2016年9月15日(木)
リーマン・ショックから丸8年。この間、FF金利はほぼゼロ金利状態が続き、昨年12月にようやく0.25-0.50%へと引き上げられ、2回めの利上げで0.50-0.75%へ引き上げるかどうかで喧々諤々、市場とFRBの思惑が交錯しながらの据え置き状態が9カ月間続きます。
この、長期に渡ってFF金利がゼロ近辺に据え置かれた期間、米FRBはQE1-2-3と量的緩和によっても景気刺激策を並行してきた訳ですが、この実質ゼロ金利政策の間の景気刺激効果の程度を判断するための指標として、「影のFF金利」と呼ばれる指標があります。
「影のFF金利」とは、長期国債の利回りから示唆される実質的なFF金利水準を調査したもので、シカゴ大学ブース経営大学院のジン・シンシア・ウー(Wu)准教授とバンクオブアメリカ・メリルリンチのファン・ドラ・キア(Xia)氏が共著の学術論文で発表したものとのこと。発表者の名前から「Wu-Xia Shadow Federal Funds Rate」としてアトランタ連銀のサイトで紹介されています。
影のFF金利は、実際のFF金利が0-0.25%に据え置かれた8年間のみ数値化されています。2009年1月にFF金利のゼロ金利化がスタートすると、その半年後、2009年7月には影のFF金利は-0.12%へとマイナス圏に突入し、徐々にマイナス金利拡大、2011年にはマイナス1%台に定着。ピークとなった2014年5月には-2.99%まで低下し、そこから急速に上昇し始めると2015年11月には-0.004%に達しました。およそ1年半の間にマイナス3%から0%まで、ほぼ3%の急騰。
実質3%分の利上げを行わなくてはならないほどの景気刺激効果があった、景気が回復していたということになります。
この間、物価調整も含む実質実効為替レートでの米ドルは、98.35から113.39まで15.04ポイントの急騰となっています。
米ドルの実質実効為替レートは、その2カ月後、2016年1月に116.64まで上昇し、2004年5月(116.69)以来、11年8カ月ぶりの高水準に達しました。
その後は4月にかけて111.57ポイントまでドル安、7月にかけて114.19ポイントへとドル高と高値保ち合い状態。
2014年以降、景気回復とともに「影のFF金利」で実質3%分の利上げと「FF金利」では実際に0.25%利上げ、合わせて3.25%分の利上げが行われ、この間、実質実効為替レートは「FF金利」が5%台だった時よりも前、およそ12年ぶりのドル高水準に到達した状態です。
この状況では、さらなる追加利上げに対しては、異常なほどに慎重にならざるを得ません。
14日のNY金相場は0.15%の小幅高となり、6日ぶりの反発。時間外(東京市場朝)に1316ドル台まで下げたのが安値となり、その後ドル高の流れが失速したことに伴い反発。しかし上値では1330ドル台を超えられず、NY市場では1320ドル台半ばでの小幅保ち合い状態に終始。米欧長期債利回り上昇一服にも支えられ、サポートラインとなる1310ドル台での底堅さも確認。しかしFOMCへの警戒感も続き、上値の重い状態が継続。21日までは1310ドルラインを維持する確率は高いものと予想、しかし維持できなければ1300ドルの大台も割り込んで1270ドル台辺りまでを目指す流れが進行する可能性も。
NYプラチナ相場も6日ぶりの反発となり0.47%の上昇。時間外では1034ドルまで下げて2日連続での安値1030ドル台前半、下値目安1030ドル付近到達に伴う達成感からの反発でNY市場では1040ドルをはさんでの揉み合い。上値は1050ドル手前が既に重く、短期的にはこの近辺から1030ドルまでを主要レンジとする保ち合い形成か。
ドル円は0.15%のドル安円高で小反落。東京市場午前に103円台へと水準を切り上げての堅調推移は午後に103円30銭台の高値をつけて失速、欧州市場のドル売り円買いで102円半ばへ、NY市場では102円40銭をはさんでの揉み合い状態に。今年1月から続く下落トレンドの抵抗線と、複数のテクニカルな節目も集中する102円台後半の重要水準上抜けは短命に終わり、101円台後半から102円台後半までの小幅レンジ内に戻ってきた状態。目先は保ち合い継続の可能性も高まり、改めて上方ブレイクなら104円台へ、下方ブレイクなら100円近辺までが上下の目安水準に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/14終値とチャート
15日の国内金価格は0.19%の小幅続伸。4648円で下げ止まっての反発、続伸にも勢いはなく、ほぼ水平状態にある90日までの移動平均線に挟まれた、4660円から4700円までが目先の主要レンジとなって保ち合い継続の様相。このレンジ内には200日移動平均線も4666円を水平状態で通過中で、これもサポートラインに。長期的にも短期的にも横ばい推移の状態となり、今後示されることになる日米金融政策の方向性の違いと見通し、及びこれに伴う市場全般の混乱度合いなどにも影響され、今後の方向感が醸成されていく過程。動き出しは4640円台と4730円の節目を抜けた方向へ、最初の短期トレンド形成の可能性。
プラチナ価格は6日ぶりの反発もわずかに0.14%の小幅高。下落途中の一服に過ぎず、目先は短期的な下値目安3660円台まで若干の下げ余地も。一方的な下落基調がまだまだ続くような状況にもなく、次週後半にかけてはそれなりの反発局面となる可能性もなくはない。下落し始めた3本の移動平均線が集中する3770-90円付近が強めの抵抗線となる可能性も。下方向には3600円付近までが行き過ぎ警戒水準。
※参考:金プラチナ国内価格9/15とチャート
2016年9月15日(木)時点の相場
国内金:4,674 円 9/15(木) ▲9(0.19%)
国内プラチナ:3,684 円 9/15(木) ▲5(0.14%)
NY金:1,326.1 ドル 9/14(水) ▲2.4(0.18%)
NYプラチナ:1,040.9 ドル 9/14(水) ▲4.9(0.47%)
ドル円:102.40 円 9/14(水) ▼0.16(0.15%)
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