更新日:2017年1月13日(金)
NY連銀が今週発表した2016年12月の1年期待インフレ中央値は2.81%となり、11月の2.54%から急反発し、2015年10月(2.82)以来1年2カ月ぶりの高水準となっています。2016年1月の2.42%が近年の底値となり、低水準での揉み合い状態から急上昇し始めた様子です。なお、NY連銀の3年期待インフレの数値も11月の2.71%から12月には2.83%へと急反発し、半年ぶりの水準となっています。
いっぽう、12月末に発表されていたミシガン大の1年期待インフレ指数の12月確報値では、11月の2.4%から2.2%へと急落し、6年3カ月ぶりの低水準となっていました。ミシガン大の5年期待インフレの12月確報値も、11月の2.6%から2.3%へと急落し、過去最低を更新していました。
2013年の3%台から2016年にかけて2.5%付近まで、ともに低下傾向が続いてきたインフレ期待値は、年末時点で全く逆方向を示す結果となりました。
トランプ期待を反映する形で1年後のインフレ予想が急騰したNY連銀の数値に対し、ミシガン大の数値では従来通りのインフレ見通し低下傾向が続き、むしろトランプ期待よりも逆効果を警戒するかのように一段と低下した状態となっています。
両者の違いとしては、NY連銀は1200世帯へのインターネット調査、ミシガン大確報値は500人への電話アンケート調査。調査対象エリアについては不明ながら、地元周辺と仮定した場合にはNY州は大統領選でヒラリー勝利、ミシガン州は接戦でトランプ勝利。平均時給が失速した11月雇用統計が発表された12月上旬以降の結果も影響し、その月末に発表されたミシガン大と、平均時給が急騰した12月雇用統計発表後の1月になってから公表されたNY連銀、しかし調査対象月は双方とも12月で大きなズレはないものと推測され、いずれも決め手には欠ける要素。
やはり、トランプ政権への期待と、そうでもない、むしろ期待しないとの見方が大きく分かれている、というのが米国の現状なのかもしれません。
賃金上昇に伴うインフレ上昇の影響を反映する見方が強ければ、本日発表予定のミシガン大1月速報値では、反発している可能性もあります。
また、セントルイス連銀のブラード総裁も言うように「トランプ政権の政策が影響するなら2018年から」であることを考慮するなら、インフレ見通しの本格上昇には、もう少し時間を要する可能性もありそうです。
12日のNY金相場は0.27%の小幅高で4日続伸。トランプ会見以降のドル売りの流れに呼応して買いが先行、時間外では1200ドルの大台到達で一時1207ドルまで上昇。上値目安となる1200ドルの大台前後にしっかりと到達したことによる達成感からNY市場では早くも大台割れ。きれいに下値を切り上げる上昇トレンドを描くチャート形状からは、その勢いに依然衰えは見られないようにも見えるものの、大台到達に短期上値目安達成、11月から12月までの下落幅に対する38.2%戻し達成、一目均衡表の雲の下限、若干長めの上ヒゲに過熱感上昇など複数の反落要因も抱える状況。1170ドルまでの間でいったんは調整へ。
NYプラチナ相場は0.85%の反発。時間外での金の上昇局面に連動して上値を切り上げ、1000ドルの大台トライへと向うも994ドルまでとやや力不足。NY市場以降の反落の流れでは980ドル割れを試す展開となり、いったん調整局面入りの可能性も。970ドルのサポート水準を維持して再度上値トライへと向うようなら1000ドルの大台ワンタッチ、といった展開も。ただし970ドル割れなら950ドル辺りまでの調整へ。
ドル円は0.6%のドル安円高で4日続落。トランプ会見後の反発も東京市場での株安とともに失速、欧州市場にかけては安値を更新し、12月8日(113.12)以来、1カ月ぶりの円高水準となる113円70銭台まで下落。115円のサポート水準割れに伴う下値トライの目安114円割れをしっかりと達成した形となり、短期的なドル売り円買いの流れはいったん終息する可能性も。20日のトランプ政権発足までは、117円の上限までの間でいったん落ち着くような展開か。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場1/12終値とチャート
13日の国内金価格は0.13%の小幅安となり、4日ぶりの反落。NY金の堅調維持と為替の円高も限定的となったことから、短期上値目標到達後の反落も限定的に。年末から続いた上昇局面はほぼ終息し、向こう1週間程度は一服状態となる可能性、調整目安となりやすいのは4680円程度まで。調整後に切り返し、高値更新の場合には8月高値圏4740円台辺りまでが次の上値目安候補に。
週間ベースでは+30円(0.64%)となり、3週続伸。
プラチナ価格は3日ぶりの反発で0.13%の小幅高。年初の急騰局面からの調整終了との判断はまだ、水準的には10月安値から1月高値の23.6%戻しとなる3750円台辺りまではサポートされやすい水準も見当たらない状況。現状では急落リスクこそないものの、きっかけ次第では大幅調整の可能性も。逆に再度高値更新の展開となれば、3920円台辺りまでが次の上値目安候補に。
週間ベースでは-3円(0.08%)の小反落。
※参考:金プラチナ国内価格1/13とチャート
2017年1月13日(金)時点の相場
国内金:4,714 円 1/13(金) ▼6(0.13%)
国内プラチナ:3,846 円 1/13(金) ▲5(0.13%)
NY金:1,199.8 ドル 1/12(木) ▲3.2(0.27%)
NYプラチナ:984.7 ドル 1/12(木) ▲8.3(0.85%)
ドル円:114.70 円 1/12(木) ▼0.70(0.60%)
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