更新日:2017年3月30日(木)
トランプ政権スタートから2カ月が経過した第1四半期末、紆余曲折の政権運営と政策動向に失望感も漂い始める状況とはなっていますが、この状況やこれまでの期待感継続による影響度合いはともかく、米国の経済指標はここ数カ月で目覚ましい改善ぶりを示す結果が続出しています。
数年ぶり、数十年ぶりといった歴史的高水準(低水準)を記録した主なマクロ経済指標の一覧をまとめてみます。
<インフレ>
・PCE:前年比+1.9%(1月)※4年3カ月ぶり
・CPI:前年比+2.7%(2月)※4年11カ月ぶり
<雇用>
・失業率:4.6%(2016年11月)※9年3カ月ぶり(12月以降4.7-8%)
・U6失業率:9.2%(2016年12月)※8年8カ月ぶり(1月9.4%、2月9.2%)
・長期失業者の割合:23.8%(2月)※8年ぶり
・賃金上昇率:前年比+2.85%(12月)※7年6カ月ぶり(1月2.6%、2月2.797%に鈍化)
・求人件数:597.3万件(2016年7月)※2000年以降最大(8月ヵら1月まで560万件前後)
・新規失業保険申請件数:21.0万件(2月25日までの週)※47年2カ月ぶり(この後3週間は25万件前後)
<景況感>
・ISM製造業景況指数:57.7(2月)※2年4カ月ぶり
・ISM非製造業景況指数:57.6(2月)※1年4カ月ぶり
・マークイット製造業PMI:55.1(1月)※1年10カ月ぶり(2月54.2、3月53.4に低下)
・NY連銀製造業景況指数:18.7(2月)※2年5カ月ぶり(3月は16.4に低下)
・フィラデルフィア連銀製造業景況指数:43.3(2月)※33年1カ月ぶり(3月は32.8に低下)
・ダラス連銀製造業活動指数:24.5(2月)※10年10カ月ぶり(3月は16.9に低下)
・リッチモンド連銀製造業指数:22.0(3月)※6年11カ月ぶり
・カンザスシティ連銀製造業活動指数:20(3月)※6年ぶり
<住宅>
・ケースシラー住宅価格指数:192.81(1月)※9年3カ月ぶり
・中古住宅販売件数:569万件(1月)※ほぼ10年ぶり(2月は548万件)
・新築住宅販売件数:62.2万件(2016年7月)※8年6カ月ぶり(以降2月まで60万件未満)
<消費>
・米消費者信頼感指数:125.6(3月)※16年3カ月ぶり
・ミシガン大消費者信頼感指数:98.5(1月)※13年ぶり(2月96.3、3月97.6)
雇用関連指標では、失業率や失業保険申請件数などはほぼ完全雇用となり、求人件数もそれに近いレベルに到達しているものと思われ、今後は上昇余地を残す賃金上昇率やU6失業率など米労働市場の「たるみ」部分の解消動向と、これら一覧レベルには当面達しないと思われる労働参加率の動向などに注目が移りそうです。
景況感も一部地区連銀レベルでは歴史的高水準をつけて一服感も見られる状況となり、今後は一定の高水準を維持できるかどうかが注目されそうです。好調が続く住宅市場では、在庫不足や住宅ローン金利上昇にともなう頭打ちも警戒されそうなフェーズに入ってきているようです。消費関連も依然好調が続き、インフレ上昇基調もここ数カ月で加速の兆しが鮮明となり、横ばい推移状態が続くコア指数の動向が注目されることになります。ただし、インフレ期待値はようやく上昇へと反転し始めたばかりです。
そして、第2四半期以降は、トランプ政策がこれら好調を示す経済指標を下支えする好影響をもたらすのかどうか、その成果への注目度も高まることになります。
29日のNY金相場は0.15%の小幅続落。英国メイ首相がEU離脱を正式に通知した日、既定路線のため市場への影響は限定的となったものの、これから始まる2年間のEUとの離脱条件交渉には不透明感もつきまとうことになり、多少の波乱局面への警戒感も。それを暗示するかのように金は東京市場午前の時間帯に1246ドルまで下げた後は底堅く推移し、1250ドル台を維持。この1週間は1250ドルを挟んでの揉み合い状態が続き、小さな三角保ち合いを形成。上方向への節目1260ドルを超えるにはそれなりの材料が必要となりそうで、超えると1300ドルトライへ。下方向へと動き出した場合には20日移動平均線が水平移動中の1230ドル前後が目先の下値目安水準に。
NYプラチナ相場は0.51%の続落。金との価格差は301.2ドルとなり、11月3日(308.9ドル)以来ほぼ5カ月ぶりの水準に拡大。ただし、300ドル超は価格差拡大基調の反転警戒水準。南アフリカのお家芸とも言える政局混乱は、ゴーダン財務相解任反対勢力によりいったん落ち着きを取り戻す状況にはあるものの、これもトラブルメーカーのズマ大統領政権が続く限りはくすぶり続ける問題。目先は3月安値圏930ドル近辺までの下落基調継続見込み優勢の状況。
ドル円は111円をはさんでの揉み合い状態となり、10銭ほどのドル安円高へと小反落。この日もボストン連銀ローゼングレン総裁とサンフランシスコ連銀ウイリアムズ総裁からのタカ派発言も聞かれたものの、反応は限定的。111円台前半で上値を押さえられる状況は2.4%水準で上げ渋る米10年債利回りに同調する形で上値の重い状態が継続。この水準を突破できれば112円台半ば辺りまでの反発も見込まれ、逆に110円台半ばを割り込むと109円近辺までの一段安が警戒される保ち合い状態はもう少し継続か。いずれも金利動向次第の状況。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/29終値とチャート
30日の国内金価格は0.31%上昇し、小幅に4日続伸。ゆるやかに下降する21日移動平均線を、ゆっくりと上昇し始めた9日移動平均線にサポートされる形で上抜け、小幅保ち合い上限節目4790円もわずかに上抜けたことで反発局面加速への可能性が高まる状況。9日移動平均線も21日移動平均線をゴールデンクロスとなれば、上値目標4850円近辺に向けた流れも本格化へ。
プラチナ価格は3日ぶりの反発で0.57%高。下方向へのオーバーランから直近の下値目安3680円近辺へと巻き戻し。NYプラチナに若干の下げ余地が残る状況からは、一本調子での反発基調も予想し難いところ。上方向には3700円の節目から200日移動平均線が水平移動する3730円までが当面の抵抗水準に。下方向には3660円でサポートされるかどうか、安値再更新なら3620円近辺まで一段安の展開も。
※参考:金プラチナ国内価格3/30とチャート
2017年3月30日(木)時点の相場
国内金:4,792 円 3/30(木) ▲15(0.31%)
国内プラチナ:3,682 円 3/30(木) ▲21(0.57%)
NY金:1,253.7 ドル 3/29(水) ▼1.9(0.15%)
NYプラチナ:952.5 ドル 3/29(水) ▼4.9(0.51%)
ドル円:111.04 円 3/29(水) ▼0.10(0.09%)
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