更新日:2017年4月27日(木)
トランプ米大統領が「驚異的」な税制改革案を発表する、と言いながら見送られた2月。それから2カ月後、4月21日には税制改革に関する「重大」な発表を来週行う、と発言していました。公約にも掲げていた減税について、大統領就任100日めとなる4月29日も目前に迫った時期にようやく発表にこぎつけました。
トランプ政権は「最大級の税制改革」になる、などの発言で発表直前まで期待感を高めたことで、株高ドル高の流れも加速しましたが、そうなるとポジティブ・サプライズがない限りは事実を確認して急反落、の展開は必然。
法人税を35%から15%へと大幅に引き下げることをメインとした改革案では、減税分を補完する「国境調整税」は含まれず、海外還流利益の税率については大幅引き下げを検討とするにとどめ、具体化はせず。今後、大筋合意とも伝えられる議会側と詳細を詰めて、6月頃に向けて包括的税制改革案の発表との見通しのようです。
なお、オバマケア代替法案の修正案についての協議も進行中とも伝えられており、これが進めば減税分の補完にもつながり、税制改革へのサポート材料とはなりそうです。
ゆっくりと進みだしたトランプ政権の政策動向を市場も好意的に受け止めて、米株などは再び史上最高値圏へと上昇してきましたが、金価格は1260ドル付近で下げ渋り、米10年債利回りは2.3%近辺で上げ渋る状態となっています。
トランプ政権への期待感剥落とともに金価格は1260ドルを上抜け、米10年債利回りが2.3%を下抜けた4月、デッドラインを超えた金は一時1300ドル付近まで上昇、金利は2.1%台まで低下しましたが、期待感をつなぎとめることに成功(したかどうかは今後次第ですが)しつつあり、再び1260ドルと2.3%の重要水準付近まで戻した状態です。
新債権王と言われるジェフリー・ガンドラック氏は4月初旬に、米10年債利回りは2%付近まで低下し、その後上昇するだろうとの見通しを示していました。結果的には少し手前でいったん反発した状態にはなっていますが、このままの期待感を維持して政策の現実化が進行すれば、今度はトランプラリーでの高値2.6%を目指す展開へと向う可能性が高まります。
そうなると、金価格はトランプラリーの安値圏1200ドル近辺を目指す流れとなることも予想されます。
ただし、期待感が再度剥落方向へと向うようなら、あらためて米10年債利回りは2%方向へ、その時、金は1320ドル方向へと動き出すことにもなりそうです。
26日のNY金相場は0.24%の小幅安で3日続落。米税制改革案期待からのリスク選考の流れでも1260ドル台での揉み合い状態で耐える展開、発表前にはムニューシン米財務長官の「米史上最大の減税」発言に煽られて1260ドルまで下落。しかしサプライズのない発表を受けてリスク・オンも一服、引け後にかけて一時1270ドル台へと反発、今朝の時間外でも1260ドル台後半を維持。下値目安1260ドル近辺まで下げての反発の兆しもあり、200日移動平均線(1257.6)、52週移動平均線(1260.6)にも支えられる形で上昇トレンド中の短期調整局面一服。
NYプラチナ相場は0.95%安となって4日続落。下値余地が残されていたことから軟調推移となり、NY午後の税制改革案発表前には945ドルまで下落。先週の保ち合い下限と90日移動平均線割れに伴う下値目安940ドル台までしっかり下げた形。今朝には950ドル近辺と反発力にもまだ乏しい状態も、いったんは落ち着きどころ。目先は940ドルから980ドルまでのレンジ内で保ち合いながら方向性を探る展開か。
ドル円は0.08%の小幅ドル安円高となって3日ぶりの反落。トランプ政策への期待感再燃に支えられてのドル高円安の流れも噂で買って事実で売る形の典型となり、高値では3月からの下落幅の半値戻し(111.82)をほぼ達成し、長い上ヒゲを残す形に。底打ち反転の流れが続いている可能性は高いものの、3月末高値でもある112円前後の水準ではまだ上値が重く、米株は高値警戒水準、米10年債利回りも2.3%の節目水準で頭打ちとなっていることもあり、いったんは調整の動きも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場4/26終値とチャート
27日の国内金価格は0.33%高となって3日続伸、今年高値となった3月2日(4886)以来ほぼ2カ月ぶりの高値水準。ゆるやかに下値を切り上げる上昇トレンドにあって4月高値がなかなか超えられず、失速懸念も高まりつつあった状態から2週間ぶりに4月高値を更新。NY金と為替の関係逆転の兆しも一服となり、NY金が反発へと向かえば国内金価格一段高へのサポートに。当面の上値目標は今年高値近辺となる4870円台。
プラチナ価格は0.25%安となり、小幅に3日続落。金とは逆行する形で上向きかけていた流れが巻き戻され、失速の兆し。一度は21日移動平均線を上抜けた9日移動平均線も再下落でデッドクロスの兆し、これらをまとめてデッドクロスした価格ラインは今年安値圏手前での揉み合い継続も軟調気味に推移。金との価格差は1198円となり、過去最大となった昨年3月4日(1221円)以来1年1カ月ぶりの水準まで拡大。過去の推移からはピーク水準に到達し、価格差縮小でプラチナ価格は上昇しやすくなる頃だが。
※参考:金プラチナ国内価格4/27とチャート
2017年4月27日(木)時点の相場
国内金:4,846 円 4/27(木) ▲16(0.33%)
国内プラチナ:3,648 円 4/27(木) ▼9(0.25%)
NY金:1,264.2 ドル 4/26(水) ▼3.0(0.24%)
NYプラチナ:948.5 ドル 4/26(水) ▼9.1(0.95%)
ドル円:111.05 円 4/26(水) ▼0.08(0.08%)
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