更新日:2017年9月12日(火)
NY連銀が発表した8月の消費者調査では、1年先のインフレ期待中央値は2.49%。2013年以降の最低となった2016年1月の2.42%以来、1年7カ月ぶりの低水準となっています。今年1月には2.98%となり、2014年以前の水準3.0%台へとあと一歩のところまで上昇したのがピークとなって以降、低下傾向がとまりません。
3年先のインフレ期待中央値では、5月に過去2番めの低水準となる2.47%まで下落後、6月には2.78%へと反発しましたが、その後は続落で8月は2.62%。こちらも2016年以降の低迷期からは抜け出せず、今年は失速傾向が続く状況です。
なお、ミシガン大の1年先のインフレ期待値も足下4カ月は2.6%の横ばい推移となっており、やはり2014年以前の3.0%台から水準を切り下げての低迷状態が続いています。
FRB関係者の間でも低インフレへの警戒感が強まり始める状況で、それを覆す材料はなかなか出てこないのが実情です。
やや一方的となっていたドル安の流れはこの日、大きく巻き戻されましたが、低インフレ懸念は今のところ、巻き戻しの気配も見られません。
11日のNY金相場は3日ぶりの反落で1.15%の大幅安。ハリケーン・リスクと北朝鮮リスクの後退で1340ドル付近へと水準を切り下げてスタートした週明け時間外から流れが変わることはなく、NY市場では一段安の展開となって10日ぶりの水準となる1330ドル台へ。国連安保理の北朝鮮制裁決議では、当初案の石油全面禁輸や金委員長の資産凍結などからは米国が譲歩する形で緩和的内容での全会一致の採択。強行過ぎない内容へと収束していく過程が市場の安心感を誘った形となり、米10年債利回りも警戒された2%割れを回避して2.1%台へと急反発、株高・ドル高の流れとなって今朝の時間外でNY金は1330ドル割れを試す展開に。日足では高値保ち合いから窓を空けて反落する形となり、調整局面入りへ。目先の下値目安は1310ドル台辺りまで。
NYプラチナ相場は1.35%の大幅続落。金と同様に先週末からは窓を空ける形で1000ドル台からの軟調推移、8月31日以来の1000ドル割れとなって今朝の時間外では990ドルラインとの攻防に。流れとしては既に調整局面入り、少なくとも990ドル台後半以上へと反発できない限り、調整継続で当面の目安は先週までの上昇幅の38.2%戻しとなる970ドル台。
ドル円は1.46%の大幅反発。やや行き過ぎたドル安からのショートカバーが急速に進行する形となり、ドル円の上昇幅としてはCPIが2%を超えてインフレ上昇が意識された今年1月18日(+2.00円)以来、8カ月ぶりの大幅高。短期的には先週末安値107円30銭台でいったん底打ちし、行き過ぎたドル安円高水準からも巻き戻しの展開へ。109円台前半では戻り売り圧力も再び強まる状態にはあるものの、目先110円台前半辺りまでの反発余地は残される状況か。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/11終値とチャート
12日の国内金価格は0.14%の小幅反発。ドル円の大幅反発に支えられて下げ渋る形となったものの、調整局面は進行中との見方に変わりなし。北朝鮮が次の行動に出るリスクは続くものの、安保理決議を受けて即報復行動へ、との警戒感はやや後退、いったん落ち着きを取り戻した市場の流れはもう少し継続か。短期下値目安は4940円近辺まで。
プラチナ価格は0.29%の小幅続落。調整フェーズ入りした流れは続き、この夏の上昇トレンドの38.2%戻しとなる3708円前後が当面の目標水準。英仏に続いて中国もガソリン・ディーゼル車を販売・禁止とする方針で検討入り、との報道もあり、市場が落ち着きを取り戻すとあらためてプラチナ需要に対する懸念が長期的な重石として意識され始める可能性も。
※参考:金プラチナ国内価格9/12とチャート
2017年9月12日(火)時点の相場
国内金:4,988 円 9/12(火) ▲7(0.14%)
国内プラチナ:3,736 円 9/12(火) ▼11(0.29%)
NY金:1,335.7 ドル 9/11(月) ▼15.5(1.15%)
NYプラチナ:998.8 ドル 9/11(月) ▼13.5(1.33%)
ドル円:109.38 円 9/11(月) ▲1.58(1.46%)
Copyright(C) Let's GOLD