更新日:2017年10月31日(火)
米商務省が発表した9月の個人消費物価指数(PCEデフレーター)は市場予想どおりとなり、前年比+1.6%へと上昇しましたが、食品とエネルギー関連を除くコアPCEは前年比+1.3%。
PCEインフレは3カ月連続の+1.4%で底打ちし、ようやく反発し、9月FOMCでの2017年末見通し中央値、前年比+1.6%に到達しましたが、コアPCEインフレは+1.5%の見通しに対して0.2%下方乖離の状態。2015年11月(1.3)以来1年9カ月ぶりの低水準となった8月から横ばい推移となり、2011年4月以降の6年半の期間では最低水準での低迷状態が続き、2%を下回る水準での推移は5年5カ月めとなっています。
過去の実績として、2011年にコアPCEインフレがこの水準から2.0%まで上昇するのに8カ月を要しました。仮に次月以降、コアPCEインフレが順調に上昇し始めたとしても、FRBの目標2%に到達するのは早くても来年半ば頃となりそうです。次期FRB議長が誰になったとしても、少なくとも2018年半ば頃までは利上げペースが加速するような政策変更は予想し難いところです。
なお、サービス関連の価格は8月の前年比+2.0%から+2.1%へと小幅に加速し、今年2月の+2.6%から減速傾向が続いた状態は8月の+2.0%で底打ち、反発に転じた様子です。商品価格は8月の前年比+0.1%から9月+0.6%へと上昇し、これも2月の+1.2%からの減速傾向が6月の-0.4%で底打ちしての加速基調が続いてはいますが、いかんせん低水準での推移が続きます。
また、同時に発表された個人消費支出は前月比+1.0%となり、2009年8月以来8年1カ月ぶりの大幅な伸びとなっています。ハリケーンの影響もあったようですが、米国の消費センチメントは好調が続きながらもインフレ基調がなかなか上向かない状況も続きます。
同じ日、欧州委員会が発表した10月のユーロ圏の消費者信頼感指数は16年半ぶりの高水準となったのに対し、ドイツの10月消費者物価指数の速報値は前年比+1.5%にとどまっています。ここでもECBの目標2%を下回る状態が続きます。
米欧ともに、消費センチメントはいたって好調で景気を支えながらもインフレ基調は加速しない状態が続き、株高を支援する環境が続きます。
30日のNY金相場は0.46%の続伸。NY市場では、米下院で法人税率引き下げの段階的導入検討との報道で米株急落、金利低下、ドル売りの流れが強まったことで金は一時1280ドル付近まで上昇。また、2日発表見通しとされる次期FRB議長指名ではパウエル理事の可能性大との見方が多く、さらにはトランプ陣営の選対本部長がFBIに出頭などロシアゲート疑惑再燃なども金のサポート材料に。ただし、ホワイトハウス側は法人税率の件とロシア疑惑の件につては後にきっぱりと否定しており、一方的な流れにもなり難いところ。
この週末から週明けにかけて、米10年債利回りは2.40%台、ドルインデックスは95ポイント台、ドル円は114円台といずれも重要な節目まで上昇して反落の兆しとなっており、短期的な流れはいったん終息した可能性もあり、NY金も短期下値目安1250ドル台に対して先週末安値1263ドルまでで失速した状態に。目先は1260ドル台後半から1290ドルまでのレンジで米経済指標動向などに振られながら方向感を再度見極める展開に。あらためて下押し圧力が強まるようなら心理的節目ともなる1250ドル近辺までは下げやすく、サポート水準にも。1290ドルの節目を超えるようなら1320ドル台までが次の上値目安に。
NYプラチナ相場は0.89%高となって3日ぶりの反発。920ドル台での横ばい推移からの下放れの動きを切り返す形となり、910ドル台での底堅さをあらためて確認。下値トライ再開への警戒感は残るものの、あらためて910ドルから950ドルまでのレンジで反発のチャンスをうかがう展開へ。まずは920ドル半ばで水平状態の20日移動平均線が抵抗水準となる前に上抜けておきたいところ。
ドル円は0.44%のドル安円高となって続落。米税制改革期待への懸念報道、パウエル氏優勢の見方、ロシア疑惑報道での軟調推移が続き、9月PCEデフレーターも予想以上には強まらず、113円割れ寸前まで下落。短期的には、上値目標115円近辺を目指した流れが金曜高値114円40銭台までで力尽きた可能性。7月高値とほぼ同水準まで上昇したことによる達成感もあり、9月初旬の安値から右肩上がりに引いたサポートラインを割り込む状態に。今朝の東京市場では113円ラインの攻防で底堅さもみられるものの、これを維持できず、さらに112円半ばの節目を割り込んだ場合には再度下落トレンド形成へと向う可能性も高まり、当面の下値目安は110円近辺まで。あらためて114円トライに成功できれば115円再トライの可能性も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/30終値とチャート
31日の国内金価格は0.24%の反落。18日の4976円をわずかに下回り、10月安値となった6日(4936)以来の安値水準に。4970円台から5010円台までの高値保ち合いレンジ下限割れのピンチ。再び下押し圧力が若干強まる状況となり、このまま4970円台を割り込んでしまうと調整局面拡大へと向う可能性が高まり、10月安値を下回って4900円の大台ラインでも下げ止まらないような展開も想定され、下値目安は最大で4880円台辺りまで。ただし、NY金の下げ止まりの兆しがダマシに終わらなければ高値保ち合い維持へ。
月間ベースでは-12円(0.24%)となり、4カ月ぶりの小反落。
プラチナ価格はわずかに1円の小幅安で3日続落。20日の3596円をわずかに下回り、10日(3570)以来3週間ぶりの安値水準に。3590円台から3630円台までの安値保ち合いレンジ下限割れのピンチに。反発への勢いは大きく後退し、このまま3590円台を割り込むと10月安値3550円まででは下げ止まらない可能性が高まり、今年安値3529円更新トライへ。ただし、NYプラチナの底堅さが続くようなら安値保ち合い継続から反発基調再加速のチャンスも。
月間ベースではわずかに+1円(0.03%)となって小反発。
※参考:金プラチナ国内価格10/31とチャート
2017年10月31日(火)時点の相場
国内金:4,975 円 10/31(火) ▼12(0.24%)
国内プラチナ:3,595 円 10/31(火) ▼1(0.03%)
NY金:1,277.7 ドル 10/30(月) ▲5.9(0.46%)
NYプラチナ:922.7 ドル 10/30(月) ▲8.1(0.89%)
ドル円:113.18 円 10/30(月) ▼0.51(0.44%)
Copyright(C) Let's GOLD