更新日:2017年12月14日(木)
利上げ決定のFOMC後には材料出尽くしとなって流れが反転、3年連続のドル安円高・金高の流れスタートへ、との予想に対してフライング気味に転換点を迎えた可能性も出てきました。
既に100%の織り込み状態となっていた今回の追加利上げ発表前に、今後の利上げ見通しに向けても重要な材料の一つとなるインフレ指標が予想外に低調となったこともフライング・スタートを後押しした格好に。
FOMCでの物価目標の指標となる個人消費支出物価指数(PCE)の先行指標となる米11月の消費者物価指数(CPI)では、コアCPIが前年比+1.7%と市場予想を下回り、今年5月から9月までの5カ月間続いた+1.7%の低迷状態から、10月には+1.8%へと加速の兆しが見られていたのに対し、再び失速してしまった状態です。
ガソリン価格が前年比+16.5%と10月の+10.8%からさらに加速したことにも支えられ、CPIは10月の+2.0%から11月に+2.2%へと反発しましたが、携帯電話サービスは10月に続いて前年比-10%台を維持し、航空運賃は10月の-1.3%から11月には-2.5%へと下げ幅を拡大したことなどが低インフレ継続要因となっている模様です。
FOMCでのFF金利予想中央値の推移では、2018年見通し、2019年、2020年いずれも低インフレ継続への警戒感もあって低下傾向となっていた9月FOMCまでの予想から、今回12月には低調となったコアCPIを無視する形で強気方向へと反発しています。
PCE、コアPCE予想ではいずれも2019年末までに2.0%の目標水準到達との確たる信念に基づくFF金利予想となったようです。
ただし、長期見通しだけは2.75%へと低下傾向継続。原因不明の低インフレ状態の先行き不透明感もくすぶる状況のようです。
足下では米税制改革法案の上下院のすり合わせも進展し、上院での議席数を減らした共和党と民主党との差がわずか2議席となった状態でも、年内法案成立への可能性も高まりつつある状況からは、3年連続のドル安円高・金高の流れ本格化に向けての不透明感も漂います。
13日のNY金相場は0.56%高となって5日ぶりの反発。NY引け後のFOMCを経て1250ドル台後半へと水準を切り上げ、実質1週間ぶりの水準を回復。FOMC前の様子見状態からNY朝にも米11月のコアCPI下振れを受けて1240ドル台前半から後半へと小幅に急騰していたところからの一段高。FOMCでは2018年の利上げ見通しが強気にならなかったことへの安心感、メンバ変更による不透明感、今回の利上げに反対2名のハト派感などもあり、短期トレンドはいったん底打ちの可能性も。ただし税制改革法案年内成立の可能性も高まっていることが目先の売り要因にも。1240ドルのサポートラインを維持できなければ1220ドル前後までの下落トレンド継続も見込まれるものの、ここを維持できれば底打ちから保ち合い、反転への可能性継続。上方向への節目としては9月高値1362.4ドルから12月12日安値1238.3ドルまでの38.2%戻しとなる1285.7ドル。年末年始にかけて節目突破なら1300ドル台再トライへ。
NYプラチナ相場は0.03%の小幅続落。NY時間外では880ドル台後半へと反発し、下げ止まりをかけた保ち合い形成から反発への可能性を模索する展開へ。目先860ドル台までの一段安の可能性をわずかに残しながら、上方向へは900ドルの大台前後が強めの抵抗水準となりそうな状況に。9月高値から12月13日安値872.4ドルまでの23.6%戻しとなる908.8ドルを突破できれば38.2%の931.3ドル近辺、秋の保ち合い水準回復の展開へも。金との価格差は373.2ドルへと拡大し、9月26日の過去最大377ドルと合わせてダブルトップ形成への可能性も示唆。価格差ピーク水準からの縮小方向への反転とともにプラチナの底値反転、反発基調がスタートする可能性も。
ドル円は0.89%の大幅安となって1週間ぶりのドル安円高水準、前日の113円半ばから112円半ばにかけて3段落ちの展開に。東京市場正午過ぎには米アラバマ州の上院補選での民主党勝利を受けて113円10銭台まで急落。113円30銭台まで戻したNY市場朝にはCPI下振れを受けて113円割れへと急落。113円をはさんでの揉み合い状態で迎えたFOMCの結果に対しては112円台半ばへ。税制改革法案の年内成立の可能性というプラス材料もあるものの、114円近辺までの上昇を見込んでいた短期ドル高円安トレンドは完全に腰折れ。113円台後半が抵抗水準となって112円前半をサポートとするレンジであらためて方向感を模索する展開へ。112円前半を割り込むようだと9月半ばの水準110円半ばが意識される軟調推移となって3年連続年末年始の下落相場へ。あらためて113円後半へと反発できれば今年の保ち合い高値圏114円半ばを目指す流れとなる可能性も残る状況。目先は前者優勢のレンジ内推移継続か。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場12/13終値とチャート
14日の国内金価格は0.16%の小幅続伸。わずかながらも上昇基調を維持する200日移動平均線(4872)との攻防状態のなかで、わずかに上抜けの兆しも。NY金の売り基調とドル高円安の流れが予想外に早期反転の兆しとなり、国内価格のもう一段の下げにもストップがかかった状態に。年末に向けては米税制改革法案の行方に左右されることが予想され、あらためて4820円台辺りまでの一段安の可能性も残る状況。低金利、低インフレ状態にサポートされるNY金の反発基調が強まるようなら国内価格も底入れ反発へ。4890円から4900円の大台ラインまでの水準が上方向への節目となり、突破できれば4950円前後まで上昇余地拡大へ。
プラチナ価格は0.26%の小幅高となって9日ぶりの反発。今回の急落局面での下値最大目安3400円台半ばのほぼ中央値3451円までしっかり下落したことに伴う一服感。金との価格差も過去最大となった前日の1418円から1417円へと小康状態に。NY金とプラチナの早期反転への可能性を背景に、国内金プラチナ価格差のトリプルトップ形成へと縮小方向へ反転の可能性を示す状況とともに国内プラチナ価格の底入れも。目先は3400円の大台ラインまでの下値警戒感を残しながらも、反発方向へ3500円の大台早期回復が待たれる状況に。
※参考:金プラチナ国内価格12/14とチャート
2017年12月14日(木)時点の相場
国内金:4,877 円 12/14(木) ▲8(0.16%)
国内プラチナ:3,460 円 12/14(木) ▲9(0.26%)
NY金:1,248.6 ドル 12/13(水) ▲6.9(0.56%)
NYプラチナ:875.4 ドル 12/13(水) ▼0.3(0.03%)
ドル円:112.53 円 12/13(水) ▼1.01(0.89%)
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