更新日:2018年4月6日(金)
米商務省が発表した2月の貿易収支は575.9億ドルの赤字。赤字幅は市場予想の568億ドル程度を大きく上回り、1月の-566.7億ドルからも赤字幅は1.6%拡大。6カ月連続の赤字拡大となり、2008年10月(-601.9億ドル)以来9年4カ月ぶりの水準。
輸出は2044.5億ドル、輸入は2620.4億ドルで、いずれも1月からは1.7%増となって過去最大を更新。輸入は5カ月連続の過去最大更新。
貿易赤字も急拡大ですが、内需も急拡大で米国経済の好調ぶりを示す結果となっています。
国別の貿易収支では、対中国が-292.6億ドルとなり、1月の-359.5億ドルからは赤字幅を大幅に縮小。昨年4月(-276.3億ドル)以来、10カ月ぶりの水準となっています。米国の貿易赤字に占める中国の割合も、昨年夏の70%台後半から縮小傾向が続き、2月は50.8%となっています。
赤字額では中国の6分の1程度の規模でデッドヒートを続ける2位争いでは、メキシコが1月の-41.4億ドルから2月は-60.6億ドルへと急拡大して2位に浮上。1月2位の日本は-56.5億ドルから-55.0億ドルへと小幅縮小で3位。4位ドイツは-53億ドル台で横ばい推移。
2位グループ3カ国合計での赤字額合計は-169.2億ドルとなり、1月の-151.7億ドルから増加。それでも160-170億ドル前後での横ばい推移は続き、3カ国合計で中国の半分程度の赤字幅、赤字シェアは全体の10%程度づつで計30%程度の状態が続きます。
対中国での赤字額が大きく縮小したこともあり、米中貿易戦争激化懸念を増幅する材料とはならなかったようには見えます。
また、この日クドロー米国家経済会議(NEC)委員長は「米中の輸入制限は提案であり実行には2カ月を要する」こと、「交渉段階」であることなどを強調し、ロス商務長官も「交渉によって米国が中国と合意に至る」との楽観的な見方を示しています。
しかし今朝の東京市場では、トランプ米大統領が米通商代表部(USTR)に、「中国に対して1000億ドルの追加関税が必要か検討」するよう指示したとの報道も伝えられ、大きく後退し始めていた貿易戦争への警戒感が揺り戻しの状態となっています。
市場が警戒する米国発貿易問題への不透明感はある程度晴れつつありましたが、トランプ米大統領の言動・ツイートに対する不透明感は払拭されることはなく、市場のリスク要因として警戒され続けます。
5日のNY金相場は0.87%の反落。前日からの米中貿易摩擦への懸念後退の流れが続き、軟調推移の展開に。ダウは連日200ドル超の大幅高で3日続伸、欧州株も2%の大幅高などリスク後退に伴う株高とドル全面高の流れに押される形で金は時間外の1330ドル台後半からNY市場朝にかけて1320ドル台半ばまで下落。しかし、目先のレンジ下限となる水準ではいったん下げ止まり、今朝の時間外では「中国への1000億ドルの追加関税検討」報道で米中貿易摩への警戒感再燃となって1330ドル台へと反発。ある程度好結果も予想される雇用統計前に再び貿易問題への警戒感も交錯する形となり、リスク選考の流れ進行に向けてもやや不透明に。若干下値警戒感も高まるNY金は、底堅さも見せた1320ドル台の水準を割り込めば1300ドル近辺まで一段安の展開に。
NYプラチナ相場は0.3%の小幅安となって3日続落。12月19日(914.1)以来3カ月半ぶりの安値水準は変わらず。時間外に920ドル台前半へと反発した流れは長続きせず、金の軟調推移とパラジウムの大幅安の展開にも連れる形でNY朝には910ドル付近まで下落。910ドル付近を何度か試して反発する形となり、下値目安920ドル台に対して若干行き過ぎたこの水準ではある程度底堅さも確認することに。またパラジウム価格が再びプラチナ価格を下回り、900ドルまで下げて下げ渋る状態となり、パラジウムも反発できればプラチナも反発へ。
ドル円は0.62%のドル高円安となって3日続伸。2月21日(107.77)以来、1カ月半ぶりのドル高円安水準に。米中貿易摩擦解消期待でドル全面高の流れとなり、東京市場午後には107円台を回復。株高と米10年債利回り上昇の流れも続き、NY市場にかけては米政権高官からの楽観発言などもあり107円40銭台まで上昇。今朝の東京市場での追加関税検討報道を受けて40銭ほど急落も107円台はなんとか維持する状態にあり、上方向への節目となっていた107円手前の水準を上抜けたことでドル高円安の流れが加速しやすい地合いに。雇用統計でネガティブ・サプライズな結果が飛び出すか、追加関税に関する詳細な続報でも出ない限りは短期上昇トレンド継続が予想され、当面の上値目標は11月高値から3月安値までの38.2%戻しとなる108円半ばから50%戻しとなる109円台後半辺りまで。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場4/5終値とチャート
6日の国内金価格は0.25%の続伸。貿易問題緩和に伴うドル安円高の巻き戻しの勢いが強まり、NY金の軟調推移には市場の警戒感が残る状態となり、国内金価格のゆるやかな反発基調は継続。3月27日(4911)以来10日ぶりの水準を回復し、上昇トレンド継続をかけた節目水準に到達。雇用統計が適度な好結果、もしくはネガティブではない程度に低調な結果となればゆるやかな上昇トレンドは継続しやすくなり、節目の4910円台、年初来下落幅の38.2%戻しとなる4920円を超えることができれば次の上値目標は50%戻しの4960円近辺まで。
週間ベースでは+46円(0.95%)となり、年末年始以来3カ月ぶりとなる3週続伸。週間上昇率では年初の週(+96円、1.91%)以来で今年2番めの大幅高。
プラチナ価格は0.12%の小幅高となって6日ぶりの反発。短期下値目安3360円台にほぼ到達したことから一応の下げ止まりも、流れとしては引き続き下値警戒感継続中。金との価格差は4日連続の過去最大更新で1535円。長期的な三番底を形成した状態からの反発に向けては3450円台の節目突破が待たれることに。さらなる下値警戒水準としては2016年10月安値3352円近辺も。
週間ベースでは-55円(1.6%)となり、2015年12月以来2年4カ月ぶりとなる6週続落。
※参考:金プラチナ国内価格4/6とチャート
2018年4月6日(金)時点の相場
国内金:4,909 円 4/6(金) ▲12(0.25%)
国内プラチナ:3,374 円 4/6(金) ▲4(0.12%)
NY金:1,328.5 ドル 4/5(木) ▼11.7(0.87%)
NYプラチナ:915.3 ドル 4/5(木) ▼2.8(0.30%)
ドル円:107.44 円 4/5(木) ▲0.66(0.62%)
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