更新日:2018年4月13日(金)
米労働省が発表するPPI(生産者物価指数)のうち、食品とエネルギーを除くコア指数、コアPPIは2月の前年比+2.5%から3月には+2.7%へと上昇し、同じく労働省発表のCPI(消費者物価指数)のコア指数、コアCPIも2月の前年比+1.8%から3月は+2.1%と上昇したことで、月末に商務省が発表するPCE(個人消費支出物価指数)でも上昇が見込まれる状況となっています。
2月のコアCPEは前年比+1.6%。携帯電話サービス料の値下げの影響が剥落した3月にはコアPCEも前年比+1.7%から+1.8%以上へと上昇し、3月FOMCでの2018年末見通し+1.9%に急接近することも想定されそうです。
政府機関だけでなく、地区連銀の独自インフレ指標でもこれを後押しする傾向となっています。
アトランタ連銀が発表するスティッキーCPI(粘着価格CPI、固定価格CPI:CPIの構成要素のうち価格変更頻度が少なく、比較的固定的なものに絞った価格変動を示す指数)では、2月の前年比+2.16%から3月は+2.36%へと上昇し、2017年3月(+2.43)以来1年ぶりの高水準となっています。
このスティッキーCPIはCPIとPCEとの連動性が強く、近年は上から順にスティッキーCPI、CPI、PCEと昇順に並び、足下で急上昇の兆しとなっています。
NY連銀が発表する基調的インフレ率(UIG:Underlying Inflation Gauge)のフル・データ・セットメジャー(CPI構成品目に加えて景況感や労働市場などの経済指標や株価、金利などの金融市場の指標も加味して算出)では、2月の前年比+3.07%から3月には+3.14%へと上昇し、2006年7月(3.24%)以来11年8カ月ぶりの高水準となっています。
3月には株価も軟調となり、景況感関連指数などでは失速も目立ち始めており、純粋にCPIベース部分での上昇が大きかったものと推測されます。
UIGは2016年後半から上昇トレンドに入り、2017年前半には他の3指標の最高水準を維持し続けるスティッキーCPIを上抜け、インフレ加速を牽引する傾向が続きます。
金融政策正常化に向かうFRBの政策がFOMC議事要旨でも示されたとおり過熱抑制のための「引き締め」へと変化していく可能性を裏付けるインフレ動向となりつつあり、市場のリスク要因が後退する度にドル高の勢いも強まりそうな状況でもあります。
長期的にはインフレ対策として買われやすい金も、短中期的には米国の利上げペース加速を警戒して株価とともに売られやすくなる局面も訪れることにもなりそうです。
ただし、トランプ米大統領のツイート・リスクがつきまとう米国の中間選挙まではこの限りではありません。
12日のNY金相場は5日ぶりの反落で1.33%の大幅安。前日一時的に1370ドル付近まで急騰して急反落した流れが継続。48時間経過しても72時間経ってもトランプ米大統領の重大決定が発表されることなく、「ミサイルが行くぞ」と市場をざわつかせたツイートは「シリア攻撃はすぐかも?でも違うかも?時期は言わない!」とトーンダウン。貿易問題絡みではTPP(環太平洋経済連携協定)復帰検討なども伝えられ、リスク回避の巻き戻しが加速。株価反発、米長期金利も上昇、為替はドル全面高の流れとなってNY金は1330ドル台半ばまで下落。この日の下げ幅18.1ドル(-1.33%)は2月20日(-25ドル、-1.84%)以来で今年2番めの大幅下落。前回も1360ドル台まで急騰した直後の急反落であり、1360ドル台は今年の抵抗水準としての存在感を高めるとともに急反落警戒水準にも。それでもシリア情勢への警戒感はくすぶり続け、目先1320ドル台から1360ドルまでのレンジ内で方向感模索の展開に。確率は低そうだが事態急変で高値再更新の場合には1400ドルの大台トライの展開となる可能性も。
NYプラチナ相場は0.05%の小幅続伸。前日のNY金の急騰に追随できなかったことでこの日の急反落も回避。ほぼ930ドル台での小動きに終始する形となり、上下の値幅は10ドル弱。1日の値動きが10ドルに満たなかったのは今年4日め。940ドルの節目が超えられない状態も続き、20日移動平均線(939.3)が抵抗線となっての年初からの下落基調も継続。短期的な反発局面が頭打ちとなる状況を打破して中期トレンド好転へと向う為には、年初来下落幅の23.6%戻し(939.3)にも相当するこの水準との攻防が重要に。超えることができれば38.2%戻し(957.3)を超えて960ドル台までの上昇余地も材料不足か。
ドル円は0.48%のドル高円安で107円台へと反発。シリア情勢への警戒感が和らぎ、リスク回避の巻き戻しの展開に。株高・金利上昇の流れが強まった欧州時間に107円台を回復すると、NY時間には107円40銭台まで上昇。106円台後半から107円半ばまでのレンジ上限付近に位置し、3月から1カ月以上超えたことのない107円50銭超へと上値を切り上げることができれば、ドル買い円売り圧力が一段と強まることが予想され、真空地帯を抜けて108円台後半へと水準を切り上げる展開へ。その一方で貿易・地政学リスクなどの再燃でこの1週間の安値水準106円60銭台を割り込むようだと流れが逆転、105円近辺を目指す展開にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場4/12終値とチャート
13日の国内金価格は0.5%安となって4日ぶりの反落。短期上値目標4960円近辺にしっかり到達し、年初来下落幅の半値戻し(4960)も達成したことから上昇基調一服の調整安。現状では調整目安の90日移動平均線(4947)をわずかに下回る程良い調整レベル、次のサポートは200日移動平均線(4930)付近。切り返して4970円の直近高値を超えることができれば短期上昇基調再開で次の目標は1月末水準5010円台まで。
週間ベースでは+36円(0.73%)となり、今年初、昨年9月以来7カ月ぶりの4週続伸。
プラチナ価格は0.17%の小反発。21日移動平均線(3439)との揉み合い状態が続き、4月初旬の急落局面からの急回復も3月末の揉み合い水準で上値を押さえられる状態が継続。現状打開には3450円台を上抜ける必要があり、そうなればもう一段の反発基調継続で次の目標は3月半ばの揉み合い水準3540円台まで。
週間ベースでは+68円(2.02%)で7週間ぶりの反発。上昇率では年初の週以来3カ月ぶりの大幅上昇。
※参考:金プラチナ国内価格4/13とチャート
2018年4月13日(金)時点の相場
国内金:4,945 円 4/13(金) ▼25(0.50%)
国内プラチナ:3,442 円 4/13(金) ▲6(0.17%)
NY金:1,341.9 ドル 4/12(木) ▼18.1(1.33%)
NYプラチナ:934.8 ドル 4/12(木) ▲0.5(0.05%)
ドル円:107.31 円 4/12(木) ▲0.51(0.48%)
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