更新日:2018年4月12日(木)
米労働省が発表した3月の消費者物価指数(CPI)は、前月比では市場予想の0.0%に対して-0.1%。2月の+0.2%からも減速。コアCPIは前月比+0.2%と予想どおりの結果。
前年比ではCPIが+2.4%。2月の+2.2%から急加速となり、1年ぶりの高水準。コアCPIも前年比+2.1%となり、2月の+1.8%から0.3%の急加速で13カ月ぶりの高水準。
ただし、いずれも想定の範囲内にとどまりました。
内訳では、携帯電話サービ料が2月の前年比-9.4%から3月は-2.4%へと急上昇。値下げの影響が剥落したことが前年比での上昇に大きく貢献。
また、中古車も2月の前年比-0.1%から3月は+0.4%とようやくプラス転換。
その他、航空運賃は-5.4%から-5.7%と下落基調継続、ガソリンは+12.6%から+11.1%と2桁上昇を維持。
前日のPPIに続き、CPIでもインフレ加速の兆しが確認されたことで、前年比ベースでの物価上昇圧力は増すと全員が見込んだFOMC議事要旨とも整合し、何人かが予想した利上げペース加速に同調するFOMCメンバも今後増加する可能性もありそうです。
利上げペース加速ならドル高・株安・金にも売り要因。しかし、この日はドル安・株安、金は急騰。
シリア情勢緊迫化を警戒した市場はインフレ動向への反応を先送り、目先の危機を警戒する展開となりました。
シリア・アサド政権側の化学兵器使用の疑いに対してトランプ米大統領が軍事行動の可能性を匂わし「48時間以内に重大決定」を下すとした9日から48時間経過する11日、シリア情勢悪化が警戒されて市場はリスクオフの流れ。東京時間から堅調に推移したNY金は欧州・NY市場にかけては1350ドル超え、「ミサイルがシリアに来るのでロシアは準備せよ」とのトランプ・ツィートで米株急落、米長期金利急低下となって原油と金の買いが加速。
NY原油は2014年12月以来、3年4カ月ぶり高値となる67ドル台まで上昇。NY金も一時2016年8月以来、1年8カ月ぶり高値となる1370ドル付近まで急騰。
アサド政権側を支援するロシアの株価も通貨も急落し、ロシアルーブルは10日には対ドルで2016年12月以来1年4カ月ぶりのルーブル安。
シリアの隣国トルコでも、従来から国内政治リスクや国内紛争リスクに加えてのシリア情勢悪化でトルコリラの対ドル、対円での過去最安値更新が続きます。
シリアへの米軍事介入については英仏との協議の動向にも左右され、不透明感も漂うところですが、一時的にはリスク回避の流れがもう一段エスカレートする場面が訪れたとしても、月末までに終息することになれば、月末発表のPCEでもインフレ加速が確認され、5月1-2日のFOMCで6月利上げとペース加速見通しなども示唆されてドル高円安、金は調整局面入りへ、そんなシナリオも想定されそうです。
11日のNY金相場は1.05%の大幅高となって4日続伸。想定の範囲内にとどまった米3月CPI上昇への反応は限定的となり、リスク回避の金買い圧力が強まると保ち合い上限の1350ドルを突破したことでさらに加速。今年最高値となっていた1月の1365.4ドルを一時的には上抜けて1370ドル目前まで急騰。上値目標1370ドル台にはわずかに届かず、NY引け後のFOMC議事要旨でのタカ派見通しなどで1350ドル台へと急反落。アサド政権を支援するロシアに対してわずかながらも配慮を見せた感もあり、シリアへの軍事行動に踏み切ったとしても極めて限定的にとどまる可能性もあり、NY金の高値トライの流れも短期的にはいったん終息の可能性も。目先、1370ドル台再トライか、調整局面入りなら1330ドル近辺までがサポート水準に。
NYプラチナ相場は0.13%の小幅反発。金に連れて比較的底堅く推移、930ドル台から一時2週間ぶり高値水準となる940ドル半ばまで急騰も、その後の失速局面では930ドル半ばへと元の水準に。行って来いとなって今回も20日移動平均線(940.6)と940ドルの節目水準上抜けには失敗。目先しばらくは金の高止まりに追随する形で現状水準以上を維持する可能性はあり、節目の940ドル超え再トライのチャンスも。リスク回避局面での上げ幅はどうしても金には及ばず、金との価格差は4月4日の422.1ドルを超え、425.7ドルへと過去最大を更新。貿易摩擦懸念が緩和された後の地政学リスクを受けて、NY金との30日相関係数は過去6年余りでで最低となる-0.447台まで低下、短期的には逆相関寄りの状態に。
ドル円は0.36%のドル安円高で107円割れへと反落。東京市場から上値の重い状態が続き、シリア情勢への警戒感が強まった欧州時間には106円60銭台まで下落。米3月CPIの結果を受けて107円手前まで反発も一時的にとどまり、FOMC議事要旨には107円台回復もこれも一時的。インフレ加速の兆しよりも地政学リスクへの警戒感が勝る状況となり、106円台後半から107円半ばまでのレンジ下限付近に収束。目先、シリア情勢が想定をはるかに超えるような事態とならない限り、106円半ばを割り込んだ場合でも下値目安は105円半ば辺りまで。事態が収束方向へと向かい、107円半ばを超える展開となれば次の上値目安は108円台後半も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場4/11終値とチャート
12日の国内金価格は0.44%高で3日続伸。2月15日(4975)以来、ほぼ2カ月ぶりの高値水準となり、短期上値目標4960円近辺までしっかり到達。目先はシリア情勢次第も、大きな影響がなければ上昇一服となりやすく、90日移動平均(4947)から200日移動平均(4929)辺りまでではサポートされやすく、そうなればいったん保ち合い形成後あらためて上値再トライの機会も。
プラチナ価格は0.32%安となって5日ぶりの反落。反発基調転換後の調整局面も限定的にとどまるも、21日移動平均(3444)超えが目先の課題。この水準を上抜けて3450円台の節目も突破できれば上方視界良好となり、もう一段の反発局面継続へ。金との価格差は過去最大となった4月6日の1535円に迫る1534円へと再び急拡大。
※参考:金プラチナ国内価格4/12とチャート
2018年4月12日(木)時点の相場
国内金:4,970 円 4/12(木) ▲22(0.44%)
国内プラチナ:3,436 円 4/12(木) ▼11(0.32%)
NY金:1,360.0 ドル 4/11(水) ▲14.1(1.05%)
NYプラチナ:934.3 ドル 4/11(水) ▲1.2(0.13%)
ドル円:106.80 円 4/11(水) ▼0.39(0.36%)
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