更新日:2018年4月24日(火)
米10年債利回りが4年3カ月ぶりの高水準となり、23日には一時3%目前まで上昇、いよいよ3%ラインとの攻防状態となってきました。日本の10年債利回りが0%近辺で固定されている現状では、日米金利差もまもなく3%ラインとの攻防を迎えることになりそうです。
自身の進退問題にも揺れる麻生太郎財務相は先月末、「日米の金利差が3%ならドル高円安に振れるだろ」との発言。
過去の日米金利差とドル円の推移を比較してみると、長期的な相関性は意外と低く、1990年以降現在までの週足ベースでの相関係数は0.24768。
相関性の強い時期もあれば、無関係、逆行する時期もあります。
1990年代半ばや1999年には金利差が3%以上へと急拡大した時期にドル円は急速に円高へと逆行していました。
ただし、その後も金利差が3%以上の水準を維持していたことでドル円も遅れて反転し、ドル高円安傾向が強まる時期を迎えていました。
今年も2月以降は金利差拡大に逆行する形でドル安円高が進行しましたが、金利差が3%へと近づくに連れて、ドル高円安方向へと反転してきました。
足下では米国のインフレ見通しが強まり、利上げ見通しも加速方向にあり、年内あと3回の利上げ見通しも50%を超えてきました。リスク回避の債券買いで金利低下への警戒感も後退しつつあり、金利上昇とドル高双方共通の要因が強まる状況にあります。
日米金利差とドル円との30日相関係数も先週末時点の0.217台から週明けには0.390台となり、短期的な相関性は急速に強まりつつあります。
2007年以来、11年ぶりに日米金利差が3%超へと拡大することになれば、遅れて反転し始めたドル高円安の流れももう一段加速する可能性は高まりそうです。
日本の連休谷間に開催される5月FOMCでタカ派的な見通しが示されれば、そのきっかけとなるかもしれません。
23日のNY金相場は1.07%の大幅安となって3日続落、3月21日(1321.5)以来1カ月ぶり安値圏へ。朝鮮半島では週末の南北首脳会談に向けて融和ムードが広まり、欧州では4月ユーロ圏製造業PMI速報値が4カ月続落で14カ月ぶり低水準となるなど拡大基調は維持しながらも減速傾向が続き、逆に米国の製造業PMI速報は続伸で3年7カ月ぶり高水準となって1年5カ月ぶりにユーロ圏の数値を逆転。米3月の中古住宅販売件数も予想を上回る好結果となり、米10年債利回りが一時3%手前まで上昇したことなどもあってドル全面高の流れに。NY金は時間外の1330ドル後半から軟調推移でNY朝には1330ドル割れ、一時1320ドル台前半まで下落。先週末に1340ドルの節目を割り込んだことで下落基調が加速、90日移動平均線(1324.2)を割り込むのは昨年12月26日以来4カ月ぶり。軟調な流れはもう一段進行する可能性が高く、200日移動平均線(1301.4)前後までが当面の下値目標水準に。
NYプラチナ相場も1.01%安となって3日続落。時間外には930ドルのサポート水準での揉み合い状態、しかし金に連れての軟調推移でこの水準を維持できなくなるとNY朝には一時920ドル割れ。その後は920ドル台に戻す底堅さも見られるものの、下値トライの流れへと傾斜。金の軟調推が続けば今年安値(910.3)を更新し、900ドル前後までを試しに行く可能性。
ドル円は0.99%の大幅ドル高円安となって4日続伸。上昇率では中朝首脳会談が行われた3月28日の1.4%に次いで今年2番めの大幅上昇となり、2月9日以来2カ月半ぶりのドル高円安水準。米長期金利上昇とドル全面高の流れが加速し始めた欧州序盤に108円を突破すると、ほぼ一方的にドル高円安の流れとなって108円70銭台まで上昇。先週末に107円半ばの節目を突破したことによる短期上値目標108円台半ばにもいきなり到達。米10年債利回りが3%手前となり、一服感も生じやすいところ、しかし3%を超えてくるようならドル円も一段高へ。昨年11月高値からの下落幅の半値戻し、109円半ばから後半が次の目標水準に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場4/23終値とチャート
24日の国内金価格は0.3%高で3日ぶりの反発。円安急進と90日移動平均線(4951)にもサポートされる形となって保ち合い下限割れを回避。目先、ドル高円安の流れがもう一段進行する可能性とNY金のもう一段下落する可能性とのせめぎ合いとなり、通常なら後者優勢で国内価格には下押し圧力が強まるところ。金利上昇とドル高の流れが市場の牽引役となる現状でも後者優勢となりやすいものの、最近のNY金には意外と底堅さもあって予想外に下げ渋る展開も。4940円から4990円までが当面の主要レンジとなり、下方ブレイクなら3月前半までの保ち合い水準4850円台辺りまでの大幅安も想定される一方で、上方ブレイクなら2月上旬の5060円台辺りを目指す展開となる可能性の両睨み。
プラチナ価格も3日ぶりの反発で0.41%高。やはり円安と21日移動平均線(3432)にサポートされて9日移動平均線(3449)もわずかに上抜け。3430円台の節目割れを回避し、3490円の上限までのレンジで保ち合い形成、やはりNYプラチナの一段安の可能性と円安との攻防の狭間で方向感が見出し難い状況に。保ち合い状態を経て、上方ブレイクできれば3600円台前半へと大幅に水準を切り上げる可能性と、下方ブレイクなら3300円割れへと大幅安の展開となる可能性も。
※参考:金プラチナ国内価格4/24とチャート
2018年4月24日(火)時点の相場
国内金:4,961 円 4/24(火) ▲15(0.30%)
国内プラチナ:3,450 円 4/24(火) ▲14(0.41%)
NY金:1,324.0 ドル 4/23(月) ▼14.3(1.07%)
NYプラチナ:922.4 ドル 4/23(月) ▼9.4(1.01%)
ドル円:108.73 円 4/23(月) ▲1.07(0.99%)
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