更新日:2018年5月5日(土)
米労働省が発表した4月の雇用統計で、平均時給の賃金上昇率は前年比+2.56%。市場予想の+2.7%程度を下回り、3月の+2.64%(+2.72%から下方修正)からも低下し、昨年11月(+2.47%)以来5カ月ぶりの低水準となりました。
トレンドを示す3カ月移動平均では前年比+2.59%となり、8年7カ月ぶり高水準となった2月の+2.67%からは2カ月連続の減速。
2016年以降、賃金上昇率は前年比+2.6%前後での揉み合いが続く伸び悩み状態となっています。
この日、ダラス連銀のカプラン総裁や、来月からNY連銀総裁就任が決まっているサンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁からは賃金上昇に向けての肯定的なコメントも聞かれましたが、実態としては賃金自体の上昇トレンドは続いてはいるものの、加速はしていない状態が続いています。しかも金融危機前の前年比+3%台には程遠い水準にとどまっています。
PCEインフレでは目標とする2%前後に到達しつつある状況となってはいますが、賃金上昇による消費加速で需要増、いわゆるデマンドプルインフレ、良いインフレを加速させるような状態にはなっていない様子もうかがえます。
その他の指標では、失業率3.9%は17年4カ月ぶり低水準となった他、やや低調にも見える雇用者数は年間平均で前月比+20万人を維持しており、U6失業率7.8%は2001年7月(7.8%)以来16年9カ月ぶり低水準、長期失業者の割合20%は2008年8月(19.8)以来9年8カ月ぶり低水準。スラック解消に向けた進展は続いています。
改善傾向が続く労働市場の現状を示した4月の雇用統計では、インフレ加速をサポートする賃金上昇率の加速が見られなかったことにより、ここまで続いたドル高の流れ再加速をサポートすることはできなかったようです。
4日のNY金相場は0.15%の小幅続伸。雇用統計を控えて1310ドル台半ばでの小幅揉み合いから、発表直後にはやや低調となった結果を受けて1317ドル付近まで急騰後に1308ドルまでの急反落。この日の高値と安値をつける10ドル弱の乱高下を経て元の水準へと反発の流れとなって終了。インフレ加速をサポートするような結果とはならなかったことで反発に向けた流れは変わらず、しかしながら反発をサポートするほどの結果でもなかったことから上方向への勢いも限定的に。目先は1300ドルから1320ドル台のレンジ内推移がもう少し続きそうな状況に。
週間ベースでは-8.7ドル(0.66%)、12月以来4カ月ぶりとなる3週続落。
NYプラチナ相場は0.7%の続伸。雇用統計後の乱高下を経ての反発基調の勢いは金よりも強く、一時的に900ドルを割れた後には900度台半ばの元の水準を突き抜けて910ドル台へと上昇。890ドル台でしっかり底値をつけて反発基調へと向う流れが強まりそうな状況にも。短期トレンドは好転しつつあり、目先は920ドルの節目水準と20日移動平均線(923.4)を上抜けできるかが当面のポイントに。
週間ベースでは-6.1ドル(0.67%)で3週続落。
ドル円はわずかに0.06%のドル安円高で小幅続落。下値サポートラインとなる109円ちょうどをはさんでの小幅揉み合い状態から、雇用統計後には10日ぶり安値となる108円60銭台まで急落。それほど悪くもない結果に対して押し目買い圧力も強く、切り返すも上値も重く109円20銭台までと限定的に。2日前の高値圏での十字線に対して陰線をはさんで下ヒゲ十字線を形成し、反発への可能性も示す形とはなったものの短期トレンドは逆転間近の様相にも。目先109円ラインを完全に割り込めば調整局面加速で108円割れも。
週間ベースでは+0.07円(0.06%)の小幅高となり、2016年12月以来1年4カ月ぶりとなる6週続伸。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/4終値とチャート
2018年5月5日(土)時点の相場
国内金:4,941 円 5/2(水) ▼7(0.14%)
国内プラチナ:3,396 円 5/2(水) ▼14(0.41%)
NY金:1,314.7 ドル 5/4(金) ▲2.0(0.15%)
NYプラチナ:910.3 ドル 5/4(金) ▲6.3(0.70%)
ドル円:109.12 円 5/4(金) ▼0.07(0.06%)
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