更新日:2018年5月11日(金)
米労働省が発表した4月の消費者物価指数(CPI)は前年比+2.5%で市場予想どおり。3月の+2.4%からも上昇し、昨年2月(+2.7%)以来1年2カ月ぶりの高水準。食品とエネルギーを除くコアCPIは前年比+2.1%にとどまり、市場予想の+2.2%を下回って3月から横ばい推移となりました。ただしこの+2.1%でも昨年2月(+2.2%)以来1年1カ月ぶりの高水準を維持しています。
内訳では掲載電話サービス料金が1月までの前年比-10%台の水準から2月に-9.4%、3月に-2.4%となって値下げによる影響が剥落し、4月は-0.7%へと下落率をさらに縮小。ガソリン価格も3月の+11.1%から+13.4%へと上昇し5カ月ぶりの高水準となっています。
その一方で中古車価格が3月の+0.4%から-0.9%へとマイナス転換し、航空運賃も3月の-5.7%から-6.9%へと下落率が拡大しています。
コアCPIが予想ほど伸びなかったことを受けて、CMEフェドウォッチで12月に今年4回目以上の利上げとなる確率は49%台から46%台へと後退しています。
インフレ加速懸念が後退し、米10年債利回りも3%割れへと反落し、VIX指数も13.23と1月末以来の低水準となり、利上げペース加速懸念もやや後退したことを好感し、NYダウは6日続伸、ナスダックは7日続伸など株価は堅調推移となり、金も反発しています。
なお、市場予想どおりの伸びを示したCPIが前年比+2.5%まで上昇してきたことにより、4月の賃金上昇率前年比+2.56%に迫る水準となってきました。
これまで消費者物価上昇率を賃金上昇率が大きく上回る状態が続いたことで実質賃金の増加傾向も続き、米国の消費を支えてきましたが、賃金上昇率が2%台半ばで伸び悩む状態が続いている間にCPIが追いつき、そろそろ逆転を警戒する状況となってきました。
賃金上昇率の伸び悩みが続き、CPIがさらに上昇して形成逆転となれば、実質賃金減少となって消費停滞リスクが意識されることになります。
今回は、そうならないギリギリの高水準にとどまった状態、とも言えそうです。
10日のNY金相場は0.71%高となって4日ぶりの反発、4月27日(1323.4)以来ほぼ2週間ぶりの1320ドル台。時間外には一時1310ドルまで下げて反発、NY朝には米4月コアCPIが予想を下回ったことを受けて1320ドル台前半へと急騰。その後はドルの買い戻しにも押されて1310ドル台半ばへと下押しする場面もあったものの、インフレ加速懸念と利上げペース加速懸念後退との思惑や中東情勢リスクなども背景に底堅く推移し、NY時間外も1320ドル台を維持。半月ほど続いた保ち合い上抜けに向けてトレンド好転の兆しもあり、1320ドル台後半以上へと水準を切り上げることができれば一段高の展開も見込まれ、1350ドル付近を目指す流れへと発展する可能性も。
NYプラチナ相場は0.93%の大幅続伸。時間外の910ドル台半ばからNY市場では920ドル台後半へと堅調推移、NY引け後には一時930ドル手前まで上昇。4月24日(935.0)以来、半月ぶりの水準を回復し、節目の920ドルと20日移動平均線(919.7)を上抜けたことにより上値余地は940ドル台まで拡大。ただし今年高値から安値までの23.6%戻し(926.2)との攻防状態にもあり、ここをしっかり超えられないようだと失速も。超えることができれば38.2%戻し(946.7)が次の目安水準に。
ドル円は0.3%のドル安円高となって3日ぶりの反落。米10年債利回りが3%割れへと反落の流れとなったこともあり、東京市場では109円90銭台で頭打ちとなって反落も欧州時間序盤には米10年債利回りの反発とともに上値再トライとなって110円00銭台まで上昇。しかし、5月2日高値も意識されて失速、NY時間には109円70銭台からCPI下振れを受けて30銭近辺まで下落。110円ラインの節目トライに失敗した形となり、短期トレンドも下向きへ。5月2日とこの日の高値110円00銭台でダブルトップ形成の可能性もあり、目先、保ち合い下限の109円ラインを割れると調整局面入りの可能性。ネックラインとなる4日安値108円60銭台を割れると下値目安は107円20銭台まで。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/10終値とチャート
11日の国内金価格は0.28%高で3日続伸。NY金の反発に連れる形で4月19日(4990)以来、3週間ぶりの高値圏となって短期トレンドも好転の兆し。21日移動平均線(4959)が90日移動平均線(4957)をゴールデンクロスし、9日移動平均線(4955)もこれらをまとめてゴールデンクロスへの射程圏内。価格ラインが4990円を上抜けできればそれも達成して強気相場入りへ。そうなれば目標水準5080円台を目指す上昇局面形成も。
週間では+43円(0.87%)で3週間ぶりの反発。
プラチナ価格は0.58%高となって5日続伸。3月22日(3504)以来1カ月半ぶりの高値水準となり、上方向への節目3480円台上抜けの兆し。上昇余地拡大のNYプラチナに付いていく展開となれば3490円台以上へと上値を伸ばすことになり、大幅上昇局面形成への可能性も高まることに。金との価格差も1500円を割れて1495円まで縮小し、4月10日(1473)以来1カ月ぶりの水準となり、拡大ピーク局面を終えて縮小局面入りの様相に。そうなればプラチナ価格の当面の上値目標は12月初旬の保ち合い高値圏となる3660円近辺まで。
週間では+93円(2.74%)となり、年初の週以来の大幅高で3週間ぶりの反発。
※参考:金プラチナ国内価格5/11とチャート
2018年5月11日(金)時点の相場
国内金:4,984 円 5/11(金) ▲14(0.28%)
国内プラチナ:3,489 円 5/11(金) ▲20(0.58%)
NY金:1,322.3 ドル 5/10(木) ▲9.3(0.71%)
NYプラチナ:925.1 ドル 5/10(木) ▲8.5(0.93%)
ドル円:109.42 円 5/10(木) ▼0.33(0.30%)
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