更新日:2018年5月8日(火)
米金利上昇とドル高を警戒して新興国からの資金流出が続いています。
年初の対ドル為替レートを100として騰落率の推移を比較すると、足下では新興国通貨全面安の展開となっています。
5月7日時点でのアルゼンチン・ペソ(USDARS)は119.28。3日には120.97まで上昇していました。対ドルで年初来20%ものドル高ペソ安が進行しています。過去に何度もデフォルトを経験したアルゼンチンでは、ドル高急進の度に通貨ペソが急落する事態に追い込まれます。米10年債利回りが3%台へと急騰した4月末からペソ安が進行し、通貨防衛策として5月4日までの8日間で3回の利上げを行い、政策金利を40%にまで引き上げてようやく落ち着くかどうか、という状況です。
米金利上昇を警戒しての今回の急落前にも、他の新興国通貨と比較しても年初から、厳密には昨年12月の米国の利上げ以降、ドル高ペソ安の流れは進行していました。
自国通貨安急進により高インフレ抑制も妨げられ、2015年末に発足後改革を進めるマクリ政権にとっては試練の時を迎えているようです。
トルコ・リラ(USDTRY)も米国の3月利上げ以降に対ドルでの過去最安値更新が続いた後、4月に入って落ち着き始めた矢先の米金利急騰と格下げによって再び最安値更新となっています。
ロシア・ルーブル(USDRUB)は今年、比較的安定推移となっていましたが4月6日の米国による経済制裁をきっかけにルーブル安が急進していました。
近年安定推移を続けていたインド・ルピー(USDINR)もジワリとルピー安が進行し始めています。
南アフリカランド(USDZAR)は政権交代などでランド高が進行していましたが、材料出尽くしと新政権での改革動向が見えず、徐々に南アランド安が進行し、ほぼ年初の水準まで戻ってきた状態です。
新興国通貨安に伴うドル全面高によって、NY金も年初の水準まで戻ってきた状態です。
そんななかで、日本円だけは対ドルでの円高をキープし続けています。4月には円安傾向となりましたが、足下では円安一服状態となっています。
新興国通貨安がとまらないようだと、リスク回避的な円高がもう一段進行する可能性もありそうです。
2期めの黒田日銀総裁にとっても、試練の時は続いているようです。
7日のNY金相場は0.05%の小幅安となって3日ぶりの反落。東京時間朝に1320ドルにワンタッチしたのがこの日の高値となって反発基調は一服。元の水準1310ドル台半ばへと押し戻されるとアーリー・メイ・バンク・ホリデーで休場となったロンドン市場の時間帯には動意低下。1300ドルで反発した流れは1320ドルの抵抗水準手前で失速した形となり、レンジ内推移を余儀なくされた格好。ユーロドルが昨年末以来の1.19ドル割れを試すなど下げ止まらないことによるドル高地合い継続も金の重石に。また、トランプ米大統領の「イラン核問題に関する方針をNY時間8日午後2時 (日本時間9日午前3時)に発表する」ツイートを受けて3年5カ月ぶりに70ドル台まで上昇していたNY原油が引け後に1ドルほどの急反落。「核合意からの離脱なし」との思惑が働いた様子で、そうなれば中東情勢リスク緩和となって金の下押し要因にも。目先1300ドルのレンジ下限割れの可能性は低いと思われるものの、割り込んだ場合には1280ドル台が下値目安に、逆に1320ドル台の上限突破できれば1350ドル付近を目指す流れにも。
NYプラチナ相場は0.33%高となって3日続伸。金と同様に東京時間午前に920ドルまで上昇したのがこの日の高値となって上値を押さえられると、910ドル台での小動きに終始。結果的に節目の920ドルと20日移動平均線(922.1)にも上値を押さえられた形となり、長めの上ヒゲを残しての失速状態。ただし地合い好転に向けての流れは続いており、あらためて920ドルラインを突破できれば一段高へと向う可能性は高まり、4月高値圏で今年高値から安値までの38.2%戻しとなる940ドル台が次の上値目安に。
ドル円はわずかに0.05%のドル安円高となって小幅に3日続落。日経平均の下落とともに円高が進行した東京市場午前には108円70銭台まで下落。先週末の雇用統計後の安値108円60銭台手前で下げ止まる底堅さも見せて日経平均の反発とともに109円台を回復、東京市場終盤から欧州時間にかけては109円40銭近辺まで上昇。しかしユーロドルの1.19ドル割れからの反発でドル高の流れが巻き戻される形となってドル円も失速。今朝の東京市場ではまたも109円割れ。109円をはさんでの揉み合い状態となりつつあり、この状態がもう少し続けば短期上昇トレンドは終息し、調整局面入りの可能性が高まる状態へ。109円をしっかり割り込んで先週末の108円60銭台も下回ると108円割れ、107円台後半が短期調整目安に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/7終値とチャート
8日の国内金価格はわずかに1円安。NY金の上値が重く、為替の円安も進まず保ち合い下方ブレイクの兆しのままフリーズした状態に。この状態が示唆するのはドル円の調整局面入りによる下押し形成の可能性も。反発への可能性も十分残されるも4990円の抵抗水準までで上値は押さえられやすく、やや優勢と思われる下押しの流れが加速すると下値目安は4850円台まで。
プラチナ価格はわずかに1円高となって続伸。短期トレンドは上向きで今年高値から安値までの23.6%戻し3482円が当面の上値攻防ライン。ここを突破できれば上昇トレンド加速で61.8%戻しとなる3660円台までが当面の上値目標となる可能性。ただし金との方向感逆行状態に違和感もあり、反落で直近安値3396円を下回ると今年安値更新で3350円台までが下値目安にも。
※参考:金プラチナ国内価格5/8とチャート
2018年5月8日(火)時点の相場
国内金:4,940 円 5/8(火) ▼1(0.02%)
国内プラチナ:3,434 円 5/8(火) ▲1(0.03%)
NY金:1,314.1 ドル 5/7(月) ▼0.6(0.05%)
NYプラチナ:913.3 ドル 5/7(月) ▲3.0(0.33%)
ドル円:109.07 円 5/7(月) ▼0.05(0.05%)
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