更新日:2018年8月1日(水)
米商務省が発表した6月の個人消費支出物価指数(PCEデフレーター)は前年比+2.2%。5月の+2.2%(+2.3%から下方修正)から横ばい推移。
食品とエネルギーを除くコアPCEは前年比+1.9%。市場予想の+2.0%を下回り、5月の+1.9%(+2.0%から下方修正)から変わらず。
内訳でも商品価格が前年比+1.4%で高水準ながらも5月から横ばい推移、サービス価格は+2.6%で3カ月連続横ばい推移となっています。
そのなかで、エネルギー関連サービスだけが5月の+12.2%から+13.1%へと突出した水準でさらに加速した状態です。
先月、5月データ時点ではコアPCEも2012年4月(2.0)以来6年1カ月ぶりにFRB目標2.0%に到達した形になっていましたが、今回の改定で未達となってしまいました。
なお、今回の改定では過去データ全般が対象となっており、これまでの推移も若干変わってきているようです。
先月時点でのコアPCEの推移では、今年前半の急騰でPCEとともに一気に2.0%ラインに到達した状態となっていました。
しかし、最新データではコアPCEは3月時点で2%付近、小数点2桁表示すると前年比+1.96%まで上昇し、4月以降は+1.86%、5月+1.94%、6月は+1.90%となっています。
PCEは3月時点で完全に2.00%を超えていますが、コアPCEは2.00%近辺まで上昇した後、1.90%前後でのもみ合い状態が続いています。
FRBのシンメトリックな目標2.0%の中央値にこそ届いていないものの、コアPCEはその付近まで上昇した水準をキープし、加速し過ぎない程良いインフレ状態が続いていることになります。
利上げペース加速につながらない現状を好感する形で株高基調となり、金の売り圧力も緩和された状態となっています。
コアPCEは2012年4月に前年比+2.04%のインフレ率を記録して以降、目標2.00%未達の状態が6年2カ月間続いています。
31日のNY金相場は+2.1ドル、0.17%の小幅高。米6月のPCEインフレ指標が強過ぎず、予想の範囲内にとどまったことによる安心感もあり、一時的には1220ドル台前半まで売られる場面もあったものの、NY市場では買い戻し優勢の展開。米中通商協議再開検討などの報道も好感材料となり、一時2週間ぶり高値となる1237ドル台まで上昇。しかし、6月半ば以降の下落トレンドの抵抗線となってきた20日移動平均線(1238.1)に上値を押さえられ、7月半ば以降の保ち合い上限となる1230ドル台半ば以上を維持することが出来ずに失速。保ち合い下限の1220ドル付近ではしっかり反発しており、引き続き上限再トライのチャンスも。突破に成功できれば7月高値1260ドル台後半を目標に一段高の展開にも。
月間ベースでは-20.9ドル(1.67%)となり、4カ月続落。4カ月続落は2013年12月以来4年7カ月ぶり。
NYプラチナ相場は+14.3ドル、1.72%の大幅高となって4日ぶりの反発。7月12日(846.4)以来約3週間ぶりの高値水準となり、抵抗線となりつつあった20日移動平均線(834.9)と節目の840ドルを上抜け。830ドルが当面のサポート水準となり、反発し始めた20日線もサポートに切り替わる可能性。金に先行する状態が不安要素ながら、目先は上昇局面形成へと向かう可能性は高まり、当面の上値目標は6月後半高値圏となる870ドル台まで。金との価格差は387.8ドルとなり、7月2日のピーク428.3ドルから、5月22日(383.2)以来2カ月ぶりの水準まで縮小。
月間ベースでは-11.9ドル(1.39%)で続落。
ドル円は80銭超のドル高円安となって続伸。日銀の「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」という名の金融緩和政策の緩和措置には乱高下の反応。長期金利の変動許容幅拡大と当座預金のマイナス金利適用分の縮小、長期金利のフォワードガイダンス導入などを決めた今回の会合では、インフレ目標未達状態長期化に備えての金融政策長期化の為の微調整。それでも出口への思惑を一切否定したことで円高リスクは後退。NY市場では米6月PCE、7月シカゴPMI、消費者信頼感指数なども好結果となり、米中通商協議への期待感とともにドル高をサポート、ドル円は10日ぶりのドル高円安水準となる111円90銭台まで上昇。今朝の東京市場では111円台後半でやや夏枯れ状態。現状維持のFOMCよりは週末の雇用統計、本日のISMなどが目先のきっかけ材料にも。ドル高円安方向には113円が抵抗水準となり、突破すると12月高値113円台後半まで。円高方向には111円前後がサポートとなり、割り込むと6月後半安値圏109円台後半まで。
月間ベースでは+1.11円(1.0%)で続伸。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/31終値とチャート
1日の国内金価格は+37円、0.79%高となって4日ぶりの反発。いつ下げ止まってもおかしくない状態長期化から反転のきっかけは日銀。曖昧な内容でも円高リスク払拭に貢献したことで国内金価格も1年半ぶり安値水準でようやく下げ止まり。半月ぶりに9日移動平均線(4705)を上抜けて反発基調スタートの兆しとなり、4月高値から7月安値までの下落幅に対する23.6%戻し(4753)、21日移動平均(4754)近辺、4750円台を早期回復できるかどうかがポイントに。
プラチナ価格は+49円、1.54%の大幅反発。ポジティブシナリオどおりの展開となって抵抗水準となりつつあった9-21日移動平均線をまとめてゴールデンクロス、7月26日につけた戻り高値3224円もわずかに上抜けて上方視界が開けた状態に。NYプラチナが時間外に節目の840ドルを割り込んでいることが懸念材料も、堅調推移を維持できれば国内価格も一段高へ。当面の上値目標は6月後半高値圏、3340円台辺りまで。
※参考:金プラチナ国内価格8/1とチャート
2018年8月1日(水)時点の相場
国内金:4,717 円 8/1(水) ▲37(0.79%)
国内プラチナ:3,226 円 8/1(水) ▲49(1.54%)
NY金:1,233.6 ドル 7/31(火) ▲2.1(0.17%)
NYプラチナ:845.8 ドル 7/31(火) ▲14.3(1.72%)
ドル円:111.88 円 7/31(火) ▲0.84(0.76%)
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