更新日:2018年8月3日(金)
ワールドゴールドカウンシル発表のレポートによると、2018年第2四半期の世界の金需要は合計964.3トン。前期比-31.2トン(-3.1%)、前年同期比では-43.2トン(-4.3%)となり、3四半期ぶりの低水準。上半期合計では1959.9トンとなり、2009年以来の低水準に落ち込みました。
産業需要が前期比+1.2トン(1.4%)、前年比+1.8トン(2.2%)と小幅増となった以外、宝飾、投資、公的機関保有はいずれも小幅に減少しています。
産業用途の比率は8.6%に過ぎないものの、メモリ、ワイヤレス、プリント回路基板(PCB)セクターからの強い需要を背景に、エレクトロニクス需要で年間ベースで3%の増加となっています。
テクノロジ関連で使用される金は、今後もさらなる成長が見込まれています。
投資需要は281.4トンとなり、前期比-7.2トン(-2.5%)、前年比では-28.9トン(-9.3%)。半期ベースでは570.1トンで前期比+33.5トン(6.2%)、前年比-141.7トン(-19.9%)。
第2四半期の内訳では、ETF関連分が33.8トン、コインやバーなどの現物投資が247.6トン。
ETF関連は前期比では+6.7トンと小幅増となりましたが、前年比では-28.7トン(-45.9%)の大幅減。好調な米国経済を背景に株式投資などへの資金流入が増大し、相対的に金ETFへの資金流入減となった模様。
宝飾品需要と現物投資需要を合わせた金消費需要では、中国とインドの2カ国で世界の53%を占めています。
インドの宝飾品需要はルピー安による金価格高騰と季節的要因により低調となり、前年比では8%低下して147.9トンとなりましたが、長期平均水準となっています。
前年の第2四半期にはGST(物品サービス税)導入前の駆け込み需要で増加していたことも影響しました。
長期的に見れば、インドのジュエリー需要は比較的健全で、過去5年間の平均149.1トンをわずか1%下回り、過去10年間の第2四半期平均(144.1トン)を3%上回っています。
世界の金消費大国上位の顔ぶれは、中国、インド、米国までのトップ3は不動。
イランが前回の7位から4位に急浮上、トルコも6位から5位へと上昇したことでドイツが4位から6位へ、タイも5位から7位へとランクダウン。インドネシアが9位から8位となってベトナムが8位から9位へと逆転、サウジアラビアは15位から10位へとジャンプアップ、香港が10位からランク外の11位へと転落。
12位以下はUAE、ロシア、パキスタン、韓国、スイス、日本、英国、エジプト、ブラジルと続きます。
なお、第2四半期の供給量は鉱山産出量、リサイクルともに伸びて前年比3%増となっています。リサイクル供給ではトルコとイランが推進して294.7トン、前年比4%の増加。需給バランスでは5四半期連続の供給過多となっています。
2日のNY金相場は-7.5ドル、0.61%の続落。昨年7月13日(1217.3)以来、1年と半月ぶりの安値水準。イタリアでは予算案を巡って政局不安も懸念されるなどしてユーロ売りが強まっており、対ドルでは3日続落となって1.17ドル近辺の保ち合い下抜けの兆しも。他通貨に対してもドル高の流れが強まってドルインデックスは節目の95ポイントまで上昇。NY市場で売り圧力が強まった金も1220ドル台後半から1220ドル割れへと軟調推移。終値ベースではかろうじて保ち合い下限の1220ドルを維持した形も、引け後には2週間ぶり安値となる1215ドルまで下げる場面もあり、1220ドル台には戻しきれない状況。雇用統計でのネガティブサプライズなどがなければこのまま軟調な展開が続く可能性が高まり、当面の下値目安は1200ドルの大台を割り込んで1180ドル程度まで。
NYプラチナ相場は+11.0ドル、1.35%の大幅反発、も大幅安となった前日の38.5%戻し。時間外では2週間ぶり安値となる814ドルまで売られ、NY市場では金と逆行する形で一時830ドル台後半まで反発。しかし20日移動平均線(832.8)上抜けに失敗する形となって820ドル台半ばへと失速。米中貿易戦争を巡って警戒感が高まれば売り圧力が強まり、後退すれば急反発、落ち着けば金に追随と不安定な状態が続く状況。下値警戒感は一時的に後退下形だが金の軟調推移がもう一段進行することになれば、これに追随する展開にも。810ドル台を割り込めば今年最安値圏、800ドル前後を最後試すことに。
ドル円は5銭程度のドル安円高となって小幅に続落。ドル高優勢の流れとなるなかでも米中貿易摩擦への警戒感から円高のほうがやや勝った欧州時間には111円30銭台まで下押し。株高の流れが強まったNY時間には買い戻されて111円70銭台まで反発。20日移動平均線(111.66)との攻防も続くなか、雇用統計を控えての小康事態に。ポジティブサプライズなら113円近辺までの一段高も、ネガティブな結果なら111円前後のサポート水準との攻防へ。この水準を割り込むようだともう一段の調整局面進行となる可能性が高まり、当面の下値目安は109円台後半まで。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/2終値とチャート
3日の国内金価格は-31円、0.66%の続落。ドル高地合いが続いてNY金の軟調な流れも続きやすく、ドルの次に買われやすい地合いにある円に対してはドル高が進行し難い状況となり、結果的に国内金価格は売り圧力が強まりやすい地合い。2016年12月30日(4649)以来、1年7カ月ぶり安値水準となり、短期下値目安4630円台までもう少しの下げ余地も。4720円が当面の抵抗水準となり、超えることができれば反発局面形成で4780円近辺までが上値目標に。
週間ベースでは-33円(0.7%)、3週続落。
プラチナ価格は+19円、0.6%の反発。ただし大幅安となった前日の4分の1戻しにとどまり、7月の抵抗水準となってきた9-21日移動平均線(3189-3198)にも届かず。金の軟調推移に追随する展開となって3150円を割れると7月3日につけた安値3117円再トライ、勢い余って3100円近辺までの下値トライにも。3230円が当面の抵抗水準となり、これを超えることができれば7月以降の安値もみ合い圏からの脱却へと向かう可能性も。
週間ベースではわずかに-1円(0.03%)の小反落。
※参考:金プラチナ国内価格8/3とチャート
2018年8月3日(金)時点の相場
国内金:4,657 円 8/3(金) ▼31(0.66%)
国内プラチナ:3,171 円 8/3(金) ▲19(0.60%)
NY金:1,220.1 ドル 8/2(木) ▼7.5(0.61%)
NYプラチナ:828.2 ドル 8/2(木) ▲11.0(1.35%)
ドル円:111.63 円 8/2(木) ▼0.05(0.04%)
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