更新日:2018年8月22日(水)
世界のプラチナ産出量の7割を占める南アフリカの景気は、過去最高水準を維持しているのに対し、南アフリカの通貨ランドは2年ぶり低水準へと落ち込んでいます。
南アフリカ準備銀行(SARB:中央銀行)が21日発表した6月の景気先行指数(Composite Business Cycle Indicators)は107.1となり、5月の105.9から1.13%上昇しました。前年同月比では+5.83%となり、11カ月ぶりの急上昇となっています。6カ月平均では106.5となり、2011年9月(106.7)以来6年9カ月ぶりの高水準。
この指数の過去最高は2011年2-3月の108.9。今年2月には107.4まで上昇し、2011年6月(108.3)以来6年8カ月ぶりの高水準となっていました。ラマポーザ政権誕生に向けて急上昇してきたこの指数はズマ前政権退陣と政権交代、ムーディーズの格下げ回避となった2月がピークとなり、新政権の景気対策への期待感剥落となった4-5月には105.9へと反落し、ピークアウトも警戒されましたが、6月の反発で再び最高水準付近まで持ち直したことになります。
この指標では、住宅建築計画承認数やサンデー・タイムズ誌の求人広告数、BER(ステレンボッシュ大学経済研究局)のビジネス信頼指数の製造業受注や労働時間、主要輸出商品の価格指数、自動車販売台数や主要貿易相手国の景気循環指標など、全10項目の構成指標から算出されています。
今回の6月分では住宅建築計画数の増加、求人広告数の増加などがポジティブ要因として貢献し、主要貿易相手国の景気循環指標の減速などがネガティブ要因として指摘されています。
景気先行指数、といいながらも2カ月後に発表されるところが南アフリカらしい、とも言えますが、6月にも南アフリカの通貨、南アランドは急落していました。
プラチナ相場の変動要因の一つともなる南アランドの対ドル為替レートでは月間で8%のランド安、1ランド当たりのドルベースの価値は7.5%の下落となっていました。
国内景気が少々良くても通貨への反応は限定的となり、しかし悪ければ通貨安要因となり、米国情勢や他の新興国情勢に大きく左右される南アランドは、今月もトルコリラ急落の影響で大きく水準を切り下げました。
8月16日には対ドル為替レートでは2年ぶりのランド安水準となり、月初からは10.9%のランド安、ドルベースでの価値は9.8%の下落となり、足下の反発局面でそれぞれ8.4%、7.7%まで縮小し、6月のレベルまで戻してきた状態です。
2カ月後に発表される8月分の景気先行指数も若干の低下も予想されそうですが、プラチナ相場と南アランドにとっても、この景気先行指数が高水準を維持している間に、反発局面をもう一段進めておきたいところです。
21日のNY金相場は+5.4ドル、0.45%高となって3日続伸。3日続伸は4月11日以来、4カ月ぶり。この4月11日は今年最高値1369.4ドルまで上昇した日。この日を起点に4カ月余り、ほぼ一方的な下落基調が続いたことに。水準としても1週間ぶりに1200ドルの大台を回復し、8月16日安値1167.1ドルが当面の安値となり、短期トレンドが好転し始めた可能性も。ユーロドルが15日に1.13ドルの壁を破れずに反発してその後4日続伸となり、ドルインデックスは96ポイント台後半まで上昇して失速後95ポイント台前半まで反落基調。ドル高の流れが節目水準突破に失敗して反転したことを受けて、NY金の売り攻めにも一服感という状況に。足下ではトランプ発言をきっかけにドル売りが強まった面もあり、逆の発言がいつ飛び出すかもしれない危うさも。目先、1213ドルまで下げてきた20日移動平均線と4月からの下落幅の23.6%戻し(1214.8)ラインが抵抗水準候補となり、1200ドルを維持できなければ1180ドルまでのレンジで保ち合い推移の展開にも。
NYプラチナ相場は-0.9ドル、0.11%の小反落。時間外には堅調な流れが続き、金の1200ドル台回復とともにプラチナは800ドル台を回復し、1週間ぶり高値となる803ドル台まで上昇。短期上値目標810ドル前後には少し届かず、戻り売り圧力が強まったNY午前には一時790ドル割れ、午後の反発局面では金の1200ドル台再回復に追随し切れず、800ドル台に届かず。引き続き810ドル前後までの反発再トライの可能性を維持し、少し行き過ぎれば817ドルまで低下してきた20日移動平均線付近までを試す可能性も。780-90ドル辺りで足場固めができるかどうかも今後の課題に。
ドル円は0.15%のドル高円安となって3日ぶりの小幅反発。東京市場午前に円高圧力が強まった場面では6月27日(109.69)以来、2カ月ぶりの円高水準となる109円70銭台まで下落したものの、200日移動平均線(109.86)にもサポートされる形で反発。NY市場にかけては前日高値圏、110円半ばまで反発もこの水準では戻り売り圧力も強く、トランプ米大統領の個人弁護士を長年勤めたコーエン氏の「候補者の支持」との有罪答弁なども嫌気されて110円付近まで反落。日足レベルでは下げ渋る形にはなったものの、ドル安円高トレンドは継続中、一時的には200日線を割り込んで109円台前半までの下押しも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/21終値とチャート
22日の国内金価格は+21円、0.47%高となって4日続伸。4日続伸は6月7日以来、2カ月半ぶり。短期トレンド好転に向けての堅調推移も、そのトレンドのレジスタンスラインとなってきた9日移動平均線(4546)にも未だ届かず。まずはこのラインを上抜けできるかどうかが第一関門に。これを超えると流れも変わり始め、重要水準4580円台の節目との攻防へ。
プラチナ価格は+12円、0.4%高で4日続伸。4日続伸は7月26日以来、1カ月ぶり。それでも16日の急落幅162円に対する戻りは71.6%。反落を警戒しながらも3045円まで急低下してきた9日移動平均線との攻防へ。これを上抜けできれば節目の戻り高値3070円台との攻防にも。
※参考:金プラチナ国内価格8/22とチャート
2018年8月22日(水)時点の相場
国内金:4,535 円 8/22(水) ▲21(0.47%)
国内プラチナ:3,027 円 8/22(水) ▲12(0.40%)
NY金:1,200.0 ドル 8/21(火) ▲5.4(0.45%)
NYプラチナ:793.0 ドル 8/21(火) ▼0.9(0.11%)
ドル円:110.19 円 8/21(火) ▲0.16(0.15%)
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