更新日:2018年10月30日(火)
米商務省が発表した9月の個人消費支出物価指数(PCEデフレーター)は前年比+2.0%(1.99%)。市場予想どおりながら8月の+2.2%(2.22%)からは低下、2012年3月(2.35%)以来6年4カ月ぶり高水準となった7月(+2.35%)からは2カ月連続の低下。
食品とエネルギーを除いたコアPCEは前年比+2.0%(1.97%)となり、これも市場予想通り。2012年4月(2.04%)以来6年3カ月ぶりにFRBの目標2%に到達した7月(2.03%)から8月(1.96%)を含めて3カ月連続の2.0%での横ばい推移。ただし厳密には8-9月はいずれも2.00%をわずかに下回る水準となり、2012年5月以降では2.00%以上となったのは7月の1回のみ。少なくともインフレ基調に過熱感はない状態です。
内訳では商品価格が8月の前年比+1.0%から+0.3%へと8カ月ぶり低水準となり、サービス価格は8月の+2.8%から+2.7%へと3カ月ぶりの水準へと低下。
商品のなかでは耐久財関連が2カ月連続の低下で-1.6%となり、耐久財以外は8月の+2.3%から+1.4%へと急低下。昨年10月(+1.2%)以来、11カ月ぶりの低水準となっています。
サービス価格では、エネルギー関連が前月の+11.3%から+5.1%へと急低下、2カ月連続の低下で昨年7月(+3.3%)以来1年2カ月ぶりの低水準となりました。
伸び悩む平均時給の上昇率(9月:前年比+2.8%)とPCEを比較すると、PCEインフレが賃金上昇率を上回ったのは一時的に逆転した2012年10月以来一度もなく、その差0.4%まで縮小した7月から、9月には0.76%へと再拡大。実質賃金上昇ペースは減速傾向から再び加速傾向となり、個人消費を下支えする状態で年末商戦へと向かう、好循環となってきているようです。
それでも12月の追加利上げ確率は70%近辺から73%台へと小幅に上昇しており、既定路線となりつつある12月利上げへの異論はなさそうです。ただし、来年3月のさらなる追加利上げの織り込み度合いは49%程度。60%台まで上昇した時期もあった1週間前からは大きく低下。
FOMCで予想する中立金利(3.0%)をインフレ率が大きく下回る水準での推移が続くようなら、トランプ米大統領によるFRB批判の有無に関わらず、中立金利を超えても利上げを続けるとのシナリオは軌道修正を迫られることにもなりそうです。
29日のNY金相場は-8.2ドル、0.66%安となり3日ぶりの反落。ドイツでは14日のバイエルン州に続いて28日のヘッセン州でも与党が惨敗。メルケル首相はこの責任を取って12月のキリスト教民主同盟(CDU)党大会での党首選に出馬しないことを表明。ただし、任期満了となる2021年まで首相を務めるとの意思表示も。今後のリスク要因となる可能性を残しながら、この日のユーロ売りへの影響は限定的。それでもユーロドルが2カ月ぶり安値圏での不安定な推移となり、ドル買いを支えた様子も。ゆるやかなドル高基調に加え、NYダウが300ドル超上昇するなど株価も反発スタートとなったNY市場にかけて軟調推移を余儀なくされたNY金は1220ドル台半ばまで下落。しかし、11月の米中首脳会談で進展がなければ米国が対中追加関税発動を準備との報道などもあり、米株が戻り売りの展開となってダウは一時500ドル超の急反落。株安の流れを受けて金はNY引け後に1230ドル台を回復。1220-40ドルのレンジでの保ち合い推移は継続し、株安と米指標動向などを材料にレンジを抜け出すことになれば、1200ドル近辺か1250ドル台までが目先の変動目安に。
NYプラチナ相場は+2.5ドル、0.3%の小幅高で3日続伸。株高の流れが強まったNY朝には一時2週間ぶり高値水準となる840ドル台半ばまで上昇。しかし、最近の保ち合い上限840ドル超えの水準を維持することはできず、元の水準830ドル台半ばへと戻り売り、株価急反落でのNY金上昇局面には追随できず。わずかに水準を切り上げながらも840ドルの上限ラインはまだ固そう。下値も切り上げる動きにはなっているものの820ドルまでは下げやすくサポートにも。もうじき下げ止まる可能性もある90日移動平均線(822.5)にサポートされる状態が続けば、いずれ上値トライ再開のチャンスをうかがう場面も。レンジブレイクでは上方向には860ドル、下方向なら800ドル割れも。
ドル円は40銭超のドル高円安、先週末の円高分を取り戻す反発となって112円台を回復。米10年債利回りが3.06%台から3.11%台へと反発し、ドル高の流れが強まった欧州時間からNY序盤にかけては株高の流れとともに112円50銭台まで70銭ほどの上昇。ダウの急反落に連れての軟調局面でも112円10銭台までと下値は固く、今朝の東京市場では再び112円40銭台へと堅調推移。調整局面進行の可能性は先週末に111円30銭台まで下げたことで消化済みとなって巻き戻され、あらためて111円台後半から112円台半ばまでの小幅レンジで保ち合いを形成。株価の反発や米指標の好結果などをきっかに上値を試す展開も想定され、112円台後半へと抜け出せば113円台半ばまでが次の上値目標に。逆に再度111円台半ば方向へと反落の展開となれば9月安値圏、110円台半ばから前半までが下値目標にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/29終値とチャート
30日の国内金価格は+12円、0.25%の反発。6月高値4957円から8月安値4458円までの61.8%戻し(4766)の水準が意識され、上げ渋る状態が続いたことで調整局面入りへの警戒感も強まりながら、9日移動平均線(4751)にもサポートされての下げ渋り。4740円台から4770円までの小幅保ち合いを形成し、上限突破できれば一段高の展開で目標水準は4810円近辺まで。保ち合い下放れの展開となれば90日移動平均線が通過する4680円台までが下値目安に。
プラチナ価格は+23円、0.72%高となって続伸。軟調優勢の流れのなかでも10月17日(3253)以来、約2週間ぶり高値水準へと上昇。抵抗水準となっていた21日移動平均線(3218)も上抜けたことで、一段高への可能性も高まる状況となり、当面の上値目標としては6月急落前の保ち合い水準となる3400円台。ただし目先は10月高値3250円台が抵抗水準となる可能性も。下値は3180円台が重要なサポート水準となり、割り込んでしまうと大幅安の展開も想定され、下値目安は3000円の大台割れも。
※参考:金プラチナ国内価格10/30とチャート
2018年10月30日(火)時点の相場
国内金:4,760 円 10/30(火) ▲12(0.25%)
国内プラチナ:3,224 円 10/30(火) ▲23(0.72%)
NY金:1,227.6 ドル 10/29(月) ▼8.2(0.66%)
NYプラチナ:836.9 ドル 10/29(月) ▲2.5(0.30%)
ドル円:112.35 円 10/29(月) ▲0.45(0.40%)
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