更新日:2018年10月31日(水)
欧州連合統計局が発表した第3四半期のユーロ圏GDP速報値は、前期比+0.2%、前年比+1.7%。いずれも市場予想を下回り、第2四半期の前期比+0.4%、前年比+2.2%からも鈍化。約4年ぶりの小幅な伸びにとどまりました。しかもイタリアは前期比でゼロ成長となり、ドイツでもゼロ成長予想となっています。
ユーロ圏では、ソフトデータの減速基調がハードデータの減速を裏付ける結果となり、その傾向は第4四半期も続きそうな状況となっています。
欧州委員会が発表した10月のユーロ圏景況感指数(ESI)は109.8。115.2でピークをつけた昨年12月以降は実に10カ月続落となり、昨年5月(109.0)以来1年5カ月ぶりの低水準。
ユーロ圏景況感指数の減速基調はなかなか歯止めがかかりません。
ユーロ圏の水準を若干上回るドイツは111.2となり、足下3カ月は続落となって昨年6月(111.2)以来1年4カ月ぶり低水準。フランスは105.1と大きく水準を切り下げ、4カ月続落で昨年3月(104.8)以来、1年7カ月ぶり低水準となっています。
その他ユーロ圏主要国では、イタリアが107.1で4カ月続落、昨年7月以来1年3カ月ぶり低水準、オランダは108.2で3カ月続落、昨年5月(107.4)以来1年5カ月ぶり低水準など軒並み低調。唯一、スペインは107.4となり、2年ぶり低水準となった9月の105.5から3カ月ぶりの水準へと上昇。
なお、小売業の数値が9月の2.4から10月は-0.8へと急落し、2016年10月(-0.9)以来、2年ぶり低水準となって景況感悪化を牽引した形です。
好調だった建設業も10月にはやや鈍化、サービス業は1年4カ月ぶり、製造業は1年半ぶりの低水準へと減速。
また、消費者信頼感指数は速報から変わらず-2.7となり、1年4カ月ぶり低水準となった9月(-2.9)からはわずかに上昇した程度にとどまります。
この日発表された米国の10月消費者信頼感指数が2000年9月以来18年ぶり高水準へと一段高となったのとは対象的となり、米欧間の逆行状態は続きます。
また、今朝発表された中国(国家統計局)の10月製造業PMIも好不況の節目50が意識される水準へと落ち込み、2年3カ月ぶり低水準となったことも今後のユーロ圏の景況感へのマイナス要因となりそうです。
ユーロ安によってドル高へと押し上げられやすい地合いも、まだ続きそうな状況です。
30日のNY金相場は-2.3ドル、0.19%安で小幅続落。前日NY引け後に1230ドルを回復したのも束の間、米長期金利上昇とドル高の流れが強まって軟調推移の展開に。欧州時間にはユーロ圏GDP下振れなどもあり、ユーロ安ドル高の流れとともに1220ドル付近まで下落。保ち合い下限付近では底堅く、いったんは持ち直すもNY市場では米10月消費者信頼感指数の好結果もあり、株価反発とともにドル高の勢いも再加速、NY金は1220ドル後半から前半へと押し戻される形に。ユーロドルが8月安値とで二番底を形成し、終値ベースではほぼ1年4カ月ぶり安値圏にも到達しており、ドルインデックスも1年4カ月ぶり高水準となる97ポイント付近まで上昇。ドル高の勢いがさらに強まるかいったん反落か、という状況とともにNY金も保ち合い下限の1220ドルとの攻防へ。月末月初の米指標などをきっかけに1220ドルを割り込めば1200ドルの大台ライン近辺までの調整局面入りも。
NYプラチナ相場は+2.1ドル、0.25%高となって小幅に4日続伸。10月17日(840.6)以来、2週間ぶりの高値水準に。先週末から830ドル台半ばでサポートされ続け、NY朝には節目の840ドルを再トライ。しかし、この日もこの水準を維持できず2日連続で840ドル台に上ヒゲを残す形となり、抵抗感の強さも。やや軟調な展開となっているNY金が持ち堪え、保ち合い上限方向へと持ち直すような展開となれば、プラチナも840ドルの抵抗線突破の可能性も。そうなれば上値目標は7月高値圏860ドル近辺へ。
ドル円は70銭超のドル高円安で続伸。10月8日(113.16)以来、3週間ぶりのドル高円安水準となって113円台を回復。前日には対中追加関税も示唆したトランプ米大統領が中国との貿易協定に肯定的な見方を示したこともあり、上海総合指数も日経平均も反発基調が強まり、連れ高となったドル円も112円台後半へと上昇。113円台手前ではいったん戻り売り圧力が強まる場面もあったものの、NY終盤にかけてはダウが400ドル超の大幅高へと急騰したことにも牽引されるように113円ラインを突破。112円近辺から112円台半ばまでの保ち合いレンジを大きく上抜けたことで、雇用統計などへの期待感が高まるだけでも113円台半ば辺りまでは上値を伸ばすような展開にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/30終値とチャート
31日の国内金価格は-6円、0.13%の小反落。上昇一服感はより鮮明となり、短期的には一段高へと向かう可能性よりは保ち合い推移継続か、相応の調整局面形成へと向かう展開かのどちらかへという状況にも。NY金が1220ドルの節目割れとなった場合にはドル高円安の流れで下押し圧力緩和も期待されるものの、国内価格は4740円台を維持できなくなれば一段安の展開が予想され、下値目安は9月高値圏4680円台辺りまで。予想外の展開となって4770円の節目を上抜けた場合には上値再トライで目標水準は4800円台へ。
月間ベースでは+134円(2.9%)で続伸。月間上昇率としては昨年2月(+173円、3.7%)以来、1年8カ月ぶりの大幅上昇。
プラチナ価格は+16円、0.5%高となって3日続伸。金とは逆行状態にあることも上値トライへの勢いが強まらないことの一因にも。目先はダブルトップ形成の可能性を残す10月高値3250円台をしっかり上抜けることができれば、一段高の展開も見込まれ、最大3400円台までが当面の上値目標に。NYプラチナが840ドルの節目を上抜けることも必要条件に。
月間ベースでは+78円(2.47%)で続伸。
※参考:金プラチナ国内価格10/31とチャート
2018年10月31日(水)時点の相場
国内金:4,754 円 10/31(水) ▼6(0.13%)
国内プラチナ:3,240 円 10/31(水) ▲16(0.50%)
NY金:1,225.3 ドル 10/30(火) ▼2.3(0.19%)
NYプラチナ:839.0 ドル 10/30(火) ▲2.1(0.25%)
ドル円:113.09 円 10/30(火) ▲0.74(0.66%)
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