更新日:2019年4月12日(金)
米労働省が発表した3月の生産者物価指数(PPI)は前年比+2.2%。市場予想の+1.9%を上回り、1年8カ月ぶり低水準となっていた2月の+1.9%からも反発。CPIと同様にガソリン価格の上昇がPPIを押し上げた格好に。
食品とエネルギー関連を除いたコアPPIでは、市場予想どおりで前年比+2.4%。小数点以下2桁では2月の+2.45%から3月は+2.44%とわずかな低下ながら、昨年5月(+2.41%)以来、10カ月ぶりの低水準となっています。
また、食品とエネルギー、貿易サービス関連を除くコアPPI2では、前年比+2.04%。昨年9月の+3.13%をピークに6カ月連続の低下となり、2017年8月(+1.93%)以来、1年7カ月ぶりの低水準。
NY連銀消費者調査での1年期待インフレも3月は2.82%となり、2月の2.79%からは小幅上昇にとどまり、1月までの3.00%近辺から一段下がった状態が続きます。
ミシガン大調査の1年インフレ期待値も3月は2.5%となり、昨年夏の3.0%から低下傾向が続き、2017年11月以来1年4カ月ぶり低水準となっていました。
一般消費者もインフレが加速するとは考えておらず、むしろ鈍化傾向を予想する状況で、実際のインフレ指数もエネルギー関連の上昇が総合指数をサポートしているだけで、それ以外の分野へ波及はしていない状態が続きます。
この状況に、NY連銀のウィリアムズ総裁は「FRBは忍耐強く待つ余地がある」との発言。クラリダFRB副議長はいずれインフレ率は目標2%に向けて上昇するとの予想を維持しながらも、現状は賃金上昇にもかかわらず「物価上昇は抑制された」状態であるとの見解。
この状況に、ドル高も、金高も抑制された状態が続きます。
11日のNY金相場は-20.6ドル、1.57%の大幅安となって5日ぶりの反落。3月28日(1289.8)以来、2週間ぶりの安値水準となり、その日(-20.6ドル、1.57%)と並び今年最大の下げ幅。前日までのドル安と金利低下の巻き戻しの流れとなって欧州時間から徐々に調整、1310ドルを割れると売り圧力が強まってNY朝には1300ドルに到達、米3月PPIが予想を上回り、失業保険申請件数も49年ぶり低水準となったことでドル高と米長期金利上昇の勢いが強まり1300ドル割れ。一時1290ドル台前半まで下落も3月末以降の下値サポート水準となっている1290ドル前後が意識されて下げ渋り。1300ドル付近での横ばい推移が続く20日移動平均線(1303.0)をはさんでの保ち合いが続く状態となり、ブレイク後の変動幅拡大も。上方向に1310ドル半ばを超えると上値トライの展開で昨年4月高値圏1360ドル台が目標水準にも、下方向には1280ドル台半ばを割れると下値模索の展開で12月半ばの押し目水準1240ドル近辺までが目安にも。
NYプラチナ相場は-13.6ドル、1.5%の大幅反落。NY午前までは金の下落局面にも追随せず、900ドルの大台を維持して下げ渋り、しかし午後には耐え切れずに大台割れ。ただし前日安値890ドルを下回らず、引け後には900ドルを回復する場面も。高値保ち合いをなんとか維持する状態も、改めて890ドル割れへと向かうようなら2月高値870ドル台までが目先の下値目安にも。切り返す展開となって910ドル超へと水準を切り上げることができれば昨年4月高値圏940ドル台辺りまでが次の上値目標にも。
ドル円は70銭ほどのドル高円安となって4日ぶりの反発。東京市場朝に111円台を回復した後は111円10銭台が上限となって小幅保ち合い推移が欧州時間まで継続。NY時間に入ると2.47%付近で下げ渋っていた米10年債利回りが反発へ、ドル高の流れも追随し、米指標の好結果にもサポートされて水準を切り上げる展開となって111円70銭近辺まで上昇。今朝の東京市場では一時111円80銭台を試し、70銭台での攻防状態に。連日の米インフレ指標がそこそこの好結果となったこともあり、ドル安の巻き戻しとなって保ち合いレンジを110円90銭台から111円70銭台までへと上半分に切り上げる形に。上限を突破することになれば一段高の展開で12月高値圏113円台後半までが上値目標に。下限割れへと切り返す展開となった場合には1月末安値108円台半ばまでが当面の下値目安となる可能性も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場4/11終値とチャート
12日の国内金価格は-33円、0.66%安となって4日ぶりの反落。反発基調に入った9日移動平均線(4974)がゆるやかに上昇する21日移動平均線(4979)をなかなか上抜けできない状態が上値の重さを象徴し、2月高値5091円から徐々に上値を切り下げる形となり、ほぼ4900円台後半を主要レンジとする保ち合い状態に。5010円以上へと切り返すことができれば高値更新へと向かう可能性も残され、その場合には5100円台トライが上値目標にも。下値は現状水準が最初のサポート水準、上昇基調の90日移動平均線(4913)近辺が重要なサポート水準。ここを割り込むようだと中期上昇トレンドが崩れ始める可能性が高まり、今年安値4800円割れが当面の下値目安にも。
週間ベースでは-4円、0.08%の小反落。
プラチナ価格は-17円、0.5%の反落。価格ラインを頂点に90日までの移動平均線が上から昇順に並び、90日線(3153)もゆるやかな上昇軌道に入ったことで全て上向きの強気相場を維持。ただし、200日移動平均線(3173)は90日線よりも上に位置し、中長期的には強気転換し切れていない状態。重要水準3400円を挟んでの三角保ち合いから上方向へ、3430円台を突破できれば3500円台を目指す流れにも、下方向へ3370円台を割れるようだと21日線の3300円近辺までの下押しも。
週間ベースでは-41円、1.19%の反落。
※参考:金プラチナ国内価格4/12とチャート
2019年4月12日(金)時点の相場
国内金:4,972 円 4/12(金) ▼33(0.66%)
国内プラチナ:3,414 円 4/12(金) ▼17(0.50%)
NY金:1,293.3 ドル 4/11(木) ▼20.6(1.57%)
NYプラチナ:895.3 ドル 4/11(木) ▼13.6(1.50%)
ドル円:111.64 円 4/11(木) ▲0.69(0.62%)
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