更新日:2019年5月10日(金)
米商務省が発表した3月の貿易統計で、貿易収支は500億ドルの赤字。市場予想の501億ドルの赤字をわずかに下回り、8カ月ぶり低水準となった2月の492.85億ドルの赤字からは小幅に拡大。
輸出は3カ月連続の増加で2119.66億ドル、過去最大となった昨年5月(2128.55億ドル)以来、10カ月ぶり高水準。
輸入は2カ月連続の増加で2619.68億ドル、3カ月ぶりの高水準。ただし、過去最大となった昨年10月の2672.32億ドルには届かず。
輸入は5カ月連続、輸出は10カ月連続で過去最大を更新できない状態が続いています。
対中国のモノの貿易額では、輸出が2カ月連続の増加で104.27億ドル、昨年6月以来9カ月ぶりの高水準。
輸入は311.76億ドル、過去最大となった昨年10月の522.33億ドルからは5カ月連続で減少し、2016年3月(298.38億ドル)以来、3年ぶりの低水準。
この結果、対中国の貿易赤字額は207.49億ドルとなり、過去最大となった昨年10月の431.03億ドルから5カ月連続縮小。2014年3月(204.87億ドル)以来、5年ぶり低水準まで縮小しています。
良し悪しは別として、対中関税の効果が大きく表れているようです。
その他の主要赤字国では、対ドイツでは輸出入ともに過去最大を更新し、対日本では輸入額が2012年3月以来7年ぶり高水準となり、対メキシコでは赤字額が過去最大。対中国での輸入減少分は、その他の赤字国からの輸入増で補う形となっています。
今後、これらの国へも関税対応などで輸入額が減少することになれば、米国の輸入額全体の伸び悩みも続き、貿易額全体の伸び悩みも懸念されるところです。
さしあたり、本日の対中国の関税引き上げが予定どおり実現することになれば、中国からの輸入額はさらに減少傾向が続く可能性もあり、貿易赤字縮小には貢献することにはなりそうですが、その他の弊害も懸念されます。
輸入物価上昇に伴い、消費への影響も懸念され、インフレ加速も想定されることにもなります。アトランタ連銀のボスティック総裁も「今のところコスト増の大部分は最終消費者に転嫁されていない」ものの、25%への引き上げが消費者負担へとつながることに懸念を示しています。さらに広範囲に25%の関税付加となればその影響もかなり大きくなります。
消費へのマイナス材料となるなかでインフレ加速を誘発し、FRBも利上げを再開せざるを得ない状況となれば、トランプ大統領にとってもブーメランとなって跳ね返ってくることにもなりそうです。
9日のNY金相場は+3.8ドル、0.3%の反発。米中貿易協議の行方と関税発動を警戒してのリスク回避ムードは続くものの、金への逃避需要も限定的。NY朝にはNYダウが一時400ドル安へと急落し、米4月PPIも予想を下回りドル安と長期金利の低下も進行した流れを受けて1280ドル付近から1289ドルまで急騰。しかし、トランプ大統領が中国の習近平国家主席から「素晴らしい書簡」を受け取ったことや電話会談を開く可能性についても言及したことなどをきっかけに流れは逆転。米株の急速な買い戻しとドル高金利上昇に伴い、金は1280ドル台半ばに収束。株式市場や為替などのボラティリティが拡大する状況にも、金市場は比較的落ち着いた値動きとなっており、本日日本時間午後の関税発動の有無、米中協議の動向を受けてマーケットが荒れた場合の反応もある程度抑制された展開にも。1290ドルの節目超えなら上値トライの流れで目標水準1310ドル台へ、1270ドルの節目割れの際には調整進行で下値目安1240ドル台へ。
NYプラチナは-13ドル、1.5%の大幅安となって3日続落。3月28日(843.8)以来、1カ月半ぶりの安値水準。前日NY引け後の860ドル台前半での保ち合い推移から、欧州時間には欧州株の大幅安にも連れる形で軟調推移、860ドルを割れてNY市場では850ドルの節目で下げ渋り。NY引け後には一時850ドル割れを試した後に860ドル台へと急反発。この後、リスク回避地合いが強まって850ドル割れへと再反落となった場合には3月末安値水準830ドル台までを下値目安に一段安の展開も。
ドル円は30銭超のドル安円高となって5日続落、2月1日(109.50)以来、3カ月ぶりの安値水準に。5日続落となるのは年末年始以来、4カ月ぶり。東京時間にはトランプ大統領の「中国はディールを破った」発言などを受けて109円80銭台まで下落、欧州時間序盤には109円60銭台まで一段安、NY時間には米株急落とドル安の流れとなって一時109円40銭台まで下落。しかし、今度はトランプ大統領の「習近平国家主席と電話会談を実施する可能性」発言などを受けて急速に買い戻し。米中貿易摩擦への警戒感が高まるなか、トランプ発言に振り回される展開に。依然として流れは下方向優勢の状態で108円台半ばまでが当面の下値目安、ただし本日の状況次第でいったん大きく巻き戻しとなる可能性も。関税回避となれば110円台回復も、90日移動平均線(110.61)が抵抗水準にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/9終値とチャート
10日の国内金価格は+2円、0.04%の小幅高となって5日ぶりの反発。NY金よりも為替のボラティリティが上回る、最近では珍しい局面。今朝の東京市場で日経平均が反発スタートとなっていることにも連れて円高の巻き戻しが進行中。関税引き上げ決行となった場合でも米中通商合意に向けた協議継続となる可能性も想定され、本日午後の市場では乱高下の後にリスク回避の巻き戻しといった展開も想定できそう。そうなれば国内金価格は次週、4900円台回復に向けた流れへと切り返す展開にも。そうならなければ短期下値目安4820円台に向けた流れ継続へ。
週間ベースでは-44円、0.9%安で4週続落。
プラチナ価格は-24円、0.73%安となって8日続落。8日続落となるのは2017年12月以来、1年5カ月ぶり。水準としては4月1日(3249)以来、6週間ぶりの安値水準。短期下値目安3280円を下抜けてのオーバーランとなり、週末にはこれまで市場が織り込んできた流れが事実確認で巻き戻しとなる可能性もあり、下落一服も。860ドルへと急反発している今朝のNYプラチナが再び850ドル割れへと向かうようだと3200円近辺に向けて一段安の展開にも。
週間ベースでは-155円、4.55%の大幅続落。週間下落率では3月4日からの週(-199円、5.98%)以来、2カ月ぶりで今年2番めの大幅安。
※参考:金プラチナ国内価格5/10とチャート
2019年5月10日(金)時点の相場
国内金:4,865 円 5/10(金) ▲2(0.04%)
国内プラチナ:3,251 円 5/10(金) ▼24(0.73%)
NY金:1,285.2 ドル 5/9(木) ▲3.8(0.30%)
NYプラチナ:851.4 ドル 5/9(木) ▼13.0(1.50%)
ドル円:109.71 円 5/9(木) ▼0.33(0.30%)
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