更新日:2019年5月11日(土)
米労働省が発表した4月の消費者物価指数(CPI)は前年比+2.00%。市場予想の+2.1%は下回りましたが、昨年11月(+2.18%)以来、5カ月ぶりに2%を回復。
食品とエネルギーを除くコアCPIは前年比+2.06%、ほぼ市場予想どおりで3月(+2.04%)からはわずかに上昇。ただし、昨年7月(+2.35%)をピークに緩やかな低下基調は続いているようです。
CPIが+2%を回復したのは原油価格上昇の影響が大きく、原油価格は月間平均で12月の48.78ドルから4月の63.87ドルまで4カ月連続で上昇しています。ただし、NY原油相場は4月23日に半年ぶり高値となる66.3ドルまで上昇後は調整局面となっており、5月ここまでの平均価格は62.1ドルと頭打ちの状態。今後の動向次第ではあるものの、CPIが2%を大きく超えてさらに上昇していく勢いは感じられない状況にもなっています。
カテゴリー別に見た指数でも、エネルギー価格は2月に前年比-5.0%まで低下した後、急反発して4月は+1.7%とCPI上昇に貢献。しかし、食品とエネルギーを除く商品価格は1月の前年比+0.3%から3カ月連続の低下で4月は-0.2%。半年ぶりに前年割れ、7カ月ぶり低水準となっています。
全体の60%弱のウェイトを占め、インフレを高水準で安定的に牽引する「エネルギー関連を除くサービス価格」は4月に前年比+2.8%。2-3月の+2.7%からは小幅上昇も、昨年6-7月の+3.1%からは少し減速した状態が続きます。
パウエルFRB議長は5月1日、FOMC後の会見で「インフレ低下は一過性」とし、その要因としては衣料品価格や航空運賃などが絡んでいる可能性を指摘していました。
女性用衣料は昨年5月の前年比+2.5%をピークに急低下、7月以降は10カ月連続前年割れ、直近5カ月は連続の低下となり、4月は-5.1%。夏場以降にどれだけ回復するかが焦点にはなりそうです。
航空運賃は4月に前年比-1.8%となり、3月の-2.9%からは上昇しましたが、少なくとも15カ月以上連続で前年割れ。これも昨年夏以降は低下幅を縮小しており、今年夏場以降の動向が注目されます。
その他、自動車保険は昨年前半の+9%台から低下傾向となり、直近6カ月は連続の低下で4月は前年比+1.4%。中古車価格は昨年11月の+2.3%がピークで直近2カ月は1%割れ、3月の+0.4%から4月は+0.8%へと上昇。携帯電話サービスも昨年秋には前年比プラス圏となっていましたが、9月以降は8カ月連続の前年割れで4月は-2.9%。
一過性のインフレ低迷状態は、今のところ現在進行形。
10日のNY金相場は+2.2ドル、0.17%の小幅続伸。予告どおり10日午前0時1分、米国が対中追加関税を25%へ引き上げたことについては、ある程度事前織り込みも進行していたことから、リスク回避的な流れは限定的に。しかし、トランプ大統領が残り3250億ドル相当の中国製品に対しても25%の追加関税を発動する可能性を示唆したことでNY市場にかけては警戒感も再燃、NYダウは一時300ドル超の下落に。ただし、10日の米中協議終了後にはトランプ大統領やムニューシン財務長官も協議が「建設的」だったとして「決裂」ではなく、今後も「協議継続」で合意したとの発言から市場には安心感。ダウは100ドル高へと急反発し、ドル安と金利低下の流れも巻き戻し。NY金は1290ドルまで水準を切り上げていたNY市場で失速、1280ドル半ば付近へと押し戻される展開に。ただ、この日の変動値幅は6ドル強にとどまり、今年の平均値幅11.3ドルの半分程度の小動きに。それでも、これまで抵抗線となっていた20日移動平均線(1282.2)を1カ月ぶりに上回り、堅調推移への可能性も。今後、1290ドルの節目を突破することができれば4月高値1310ドル台を目指す流れにも。
週間ベースでは+6.1ドル、0.48%の小反発。
NYプラチナは+14.2ドル、1.67%の大幅高で4日ぶりに反発。時間外での節目850ドル割れは一時的にとどまり、逆にこの水準での底堅さも確認する形となって860ドル台へと急反発。揉み合いながらも、リスク回避の巻き戻しとなったNY午後にかけては860ドル台後半へと小幅に水準を切り上げて終了。850ドルから880ドルまでのレンジ半ばを回復し、短期下落トレンド脱却に向けては上限トライと下落基調の20日移動平均線(884.2)との攻防がポイントにも。
週間ベースでは-9.5ドル、1.05%安で3週続落。3週続落以上は今年初、昨年12月(6週続落)以来5カ月ぶり。
ドル円は20銭強のドル高円安となって6日ぶりの反発。東京時間午前は日経平均の反発基調と五十日の買いで一時110円台を回復、しかしこの水準では上値も重く、米国の関税発動時間、日本時間午後1時1分に向けての警戒感も再燃する形で109円60銭台まで反落。関税発動後はいったん材料出尽くし感から、ゆるやかな買い戻しとなって109円80銭台まで反発。しかし欧州時間からNY時間にかけては米中協議の動向やさらなる追加関税への警戒感などから再度下値模索の展開、米4月CPIが予想を下回ったことも重石に。ただし、前日安値109円40銭台では底堅く下げ渋り、米中協議終了後には今後の協議継続を好感した米株の急反発などにも連れる形で急速に買い戻し。ただ、ここでも110円ラインに上値を押さえられた格好に。前日安値とこの日の安値109円40銭台でダブルボトムを形成する形にもなり、ネックラインとなる110円00銭台をしっかり上抜けることができれば、110円半ばまでの上昇も見込まれやすい状態となり、短期的な地合い回復へも。この場合、90日移動平均線(110.62)が抵抗線にも。
週間ベースでは-1.17円、1.05%安となり4週続落。4週続落となるのは2016年8月以来、2年9カ月ぶり。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/10終値とチャート
2019年5月11日(土)時点の相場
国内金:4,865 円 5/10(金) ▲2(0.04%)
国内プラチナ:3,251 円 5/10(金) ▼24(0.73%)
NY金:1,287.4 ドル 5/10(金) ▲2.2(0.17%)
NYプラチナ:865.6 ドル 5/10(金) ▲14.2(1.67%)
ドル円:109.94 円 5/10(金) ▲0.23(0.21%)
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