更新日:2019年5月16日(木)
5月のNY連銀製造業景況指数は17.8。市場予想の8.0を大幅に上回り、4月の10.1からも大幅上昇。1年10カ月ぶり低水準となった3月の3.7からは2カ月連続の急上昇。昨年11月(21.4)以来、半年ぶりの高水準となり、減速局面は底入れした可能性も高まる状況となってきました。
構成指数では、新規受注が5カ月ぶり、出荷が4カ月ぶりの水準へ、いずれも2カ月連続の急上昇。さらに、向こう半年の見通しを示す期待指数は3年3カ月ぶり低水準となった4月の12.4から4月は30.6へと大幅反発。リーマンショック後の最低水準付近まで低下していた期待指数のさらなる低下による総合指数の押し下げへの警戒感を払拭し、逆に総合指数を引き上げる牽引役にもなったようです。
なお、新規受注と出荷の見通し指数も4カ月ぶりに30ポイント台へと急反発しており、米中貿易摩擦激化への警戒感すら、今のところは見られない様子です。
ただし、仕入れ価格は2カ月連続の低下で1年半ぶり、販売価格指数は3カ月連続の低下で1年5カ月ぶりの低水準。
また、仕入れ価格の見通し指数も2カ月連続の低下で1年10カ月ぶり低水準。販売価格の見通し指数は1年9カ月ぶり低水準となった4月からは小幅上昇にとどまります。
関税による物価上昇もそれほど見込んでいないのか、インフレ上昇の兆しも、インフレ上昇への警戒感も見られず、低インフレ継続を織り込んでいる状態のようです。
4月の主要地区連銀の製造業PMIでは、唯一上昇していたNY連銀の指数が5月も上昇したことで、他の地区連銀とISMの指数も5月に反発するのか、それともNY連銀だけが全体の流れに逆行しているのか、気になるところです。
なお、この日発表された米指標では、4月の小売売上高が前月比+0.2%予想に対して-0.2%と下振れ、自動車を除く数値でも+0.7%予想に対して+0.1%と低調な結果となっています。
4月の鉱工業生産指数も前月比横ばい予想に対して-0.5%と下振れ、6カ月平均で見ると-0.1%で2年9カ月ぶり低水準となり、減速基調が続いています。さらに設備稼働率も予想を下回る77.9%となり、1年2カ月ぶり低水準。
この日に限れば、NY連銀の製造業景況感だけが、好調を示す結果となっています。
15日のNY金相場は+1.5ドル、0.12%の小反発。欧州時間から米10年債利回りの低下基調が強まると2.40%を割れて3月末以来の2.37%へ、3カ月債利回り(2.4%)を下回る逆イールドも3月末以来で今週13日に続いて2度め。一時1290ドル前半へと押し目を形成していたNY金はNY朝にかけて1300ドル超え、強弱混在の米指標に1300ドルをはさんでの揉み合いとなった後、トランプ大統領が日本とEUに対する自動車関税の判断を半年先送りすることを検討、との報道を受けて軟調推移となっていた株価の反発とドル高円安の流れにも押されて1300ドル割れへと小反落。またしても1300ドルの大台ラインとゆるやかに上昇を続ける90日移動平均線(1299.5)に上値を押さえられた形も、下値も堅く、4月高値1310ドル台までの上値目標トライのチャンスをうかがう状況にも。
NYプラチナは-11.4ドル、1.33%の大幅反落で3月28日(843.8)以来、1カ月半ぶりの安値水準に。欧州時間の長期金利低下と株安の流れに連れて軟調推移、NY朝には850ドル割れ。その後は右肩上りの90日移動平均線(846.6)にサポートされる形て下げ渋るも850ドルの節目回復には至らず。保ち合いレンジを下抜けたことで4月以降の軟調局面再開への圧力が強まる状況に。90日線で支えきれなくなれば3月半ばの水準820ドル近辺までが下値目標に。
ドル円は10銭弱のドル安円高で小反落。109円60銭をはさんでの揉み合い状態から、欧州時間には米長期金利低下と株安の流れに連れての円高基調。予想外に低調となった米4月小売売上高には一段安の反応で一時109円10銭台まで下落も、前日安値付近では下げ渋り。その後は米自動車関税先送りの可能性報道を受けての急反発も、欧州時間序盤につけたこの日の高値109円70銭近辺では上値も重い様子。強弱混在の米指標や貿易摩擦関連の動向に敏感に反応しながらも109円から109円80銭までのレンジでの保ち合い状態がもう少し続きそうな状況にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/15終値とチャート
16日の国内金価格は-6円、0.12%の小幅続落となり、短期トレンドは好転し切れず調整局面が継続。上値を切り下げる形となり、4910円が新たに抵抗水準となる可能性も。この上には右肩下がりの21日移動平均線(4920)、上昇基調を維持する90日移動平均線(4933)も控え、地合い好転に向けたハードルも徐々に高まる状況に。これらを上抜けることができれば、2月後半から続く下落トレンド脱出へと向かう可能性。下方向には4860円が重要なサポート、割れると一段安の可能性が高まり、昨年8月安値から今年2月高値の半値戻し(4775)も意識され、4780円近辺までが次の下値目安にも。
プラチナ価格は-44円、1.36%の大幅安となって12日続落。過去10年では続落最長記録を更新。下げ幅を縮小してきた流れからの急拡大となり、5月8日(-69円、2.05%)に次いでこの12日続落中では2番めの下げ幅、セリング・クライマックスの様相にも。しかし、過去の推移から下抜けると一段安も警戒される90日移動平均線(3197)を下抜け、さらに間が悪くNYプラチナの一段安も警戒される状況。NYプラチナが820ドルまで下げた場合、為替が現状水準でも3100円程度までの下落も見込まれることにも。
※参考:金プラチナ国内価格5/16とチャート
2019年5月16日(木)時点の相場
国内金:4,889 円 5/16(木) ▼6(0.12%)
国内プラチナ:3,193 円 5/16(木) ▼44(1.36%)
NY金:1,297.8 ドル 5/15(水) ▲1.5(0.12%)
NYプラチナ:847.7 ドル 5/15(水) ▼11.4(1.33%)
ドル円:109.56 円 5/15(水) ▼0.08(0.07%)
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