更新日:2019年5月14日(火)
WPIC(World Platinum Investment Council)が発表したプラチナ需給レポートによれば、2019年第1四半期のプラチナ総需要は79.6トンとなり、前期比+43.4%、前年同期比+31.6%と大幅増。
総供給量は62.5トンで前期比-1.2%、前年同期比+15.5%。
この結果、17.1トンの供給不足。供給不足は4四半期ぶり、不足量としては2014年以降では最大。
供給面では、
鉱山産出量は47.4トン。前期比-2.2%、前年比+17.3%。うち南アフリカが34.4トン(前期比-4.7%、前年比+21.4%)、ロシアが5.1トン(前期比+13.8%、前年比+13.8%)。2カ国合計シェアは83.3%となり、12四半期連続の80%超。
リサイクルは14.9トン。前期比-3.0%、前年比+6.7%。
需要面では、
自動車触媒需要は23.8トンで前期比-1.9%、前年同期比-5.0%。9四半期連続の前年割れ。
宝飾需要は17.4トンで前期比+6.7%、前年比-7.4%。3四半期連続の前年割れ。
産業用需要は14.6トンで前期比横ばい、前年比-1.1%。
投資需要は23.8トン。このうち地金・コイン等の現物投資需要が2.3トンで前期比+50%、前年比では-11.8%。ETF関連は21.5トンの買い越しとなり、過去最大の買い越し量。自動車触媒需要と宝飾需要の減少分を補って余りある大幅増。
プラチナ価格とその変動要因となる需要動向の推移を見ると、宝飾品需要は近年小幅に減少傾向も概ね一定の需要を確保。現物投資需要は価格が下がれば増加、上がれば減少という逆相関関係にはあるものの、全体需要に占める割合が限定的にとどまります。
ETF関連需要は価格に連動する正相関の関係で、これまではその増減も比較的大きかったものの、絶対量では宝飾需要に比べれば限定的となっていました。しかし、今年第1四半期には宝飾需要を上回る量の大幅買い越し。価格水準が近年最低レベルにとどまり、南アフリカの電力問題などから供給不足懸念も高まったことなども影響し、押し目買い需要が急速に高まったようです。
これが3月末からのプラチナ価格急騰を誘引することになりました。
2019年の通年見通しでも、投資需要は24.4トン、2018年の0.5トンから大幅増で2013年(29.1トン)以来、6年ぶりの高水準との予想となっています。
しかし、米中貿易摩擦激化懸念により5月にプラチナ価格は急落。4月の高止まりにより第2四半期の平均価格は現時点で884.9ドル。第1四半期平均の825.7ドルからは急上昇した水準を維持してはいますが、今後の米中関税合戦の動向などによっては第2四半期平均価格はさらに押し下げられかねません。
第2四半期のプラチナETF買い越し量も急減、あるいは売り越しへと反転する可能性すら想定されそうな状況にもなってきています。
13日のNY金相場は+14.4ドル、1.12%の大幅高となって3日続伸。NY朝、中国は報復関税として6月1日から600億ドル相当の米国製品への関税を5-25%に引き上げることを発表。予告されていたことではあるものの、詳細内容が明示されたこと、米国側の第4弾の追加関税もこの後発表予定となっていたこともあり、米中の通商対立激化hへの警戒感が改めて意識されて米株が大幅安、リスク回避の流れが急速に進行。ダウは600ドル超、2.38%の下落となり、1月3日(-2.83%)以来4カ月ぶりの大幅下落、ナスダックの下落率は3.4%で今年最大、5カ月ぶりの大幅安。米10年債利回りも今年最低となった3月末の2.4%割れを一時試すなど急低下、VIX指数も1月22日以来3カ月半ぶりの20台へと急反発。これまで反応が限定的となっていたNY金への逃避買いも入り、1280ドル半ばから1290ドル超えへと急騰、さらに1300ドルの大台へと水準を切り上げ、4月10日(1313.9)以来1カ月ぶりの高値水準に。抵抗水準となっていた1290ドルを大きく超え、90日移動平均線(1299.4)超えも1カ月ぶり。短期上値目標となる4月高値1310ドル台まで、もう少しの上昇余地も。
NYプラチナは-10.7ドル、1.24%の大幅反落。先週末に870ドル手前まで反発した勢いで週明け時間外も860ドル台後半を維持してのスタートも、欧州時間に失速すると850ドル半ばへと10ドルほどの急落。NY朝には金の急騰に連れて860ドル半ばまで反発も一時的にとどまり、850ドル台へと戻り売り。段階的に上値を切り下げる形となり、870ドルが当面の上値抵抗水準にも。これを超えることができれば900ドルの大台再トライへの可能性もあるものの、短期的な流れは依然下方向。ゆるやかに上昇を続ける90日移動平均線(845.7)から890ドルまでのサポート水準を割れた場合には3月半ばの押し目水準820ドル台までが下値目安に。
ドル円は70銭ほどのドル安円高となって大幅反落。1月31日(108.87)以来、3カ月半ぶりの安値水準に。70銭超の下げ幅は3月22日以来1カ月半ぶりで今年5番目、今年の平均騰落値幅(絶対値)26銭程度の3倍弱。109円60銭から80銭までの小幅保ち合いが続き、徐々に変動値幅を縮小、NY朝の中国報復関税発表を受けての急落局面では109円ちょうど付近まで下落。リスク回避の円高ドル高の流れとなってドル円では円高ドル安、ユーロドルでもユーロ高ドル安の反応。しかし、ユーロドルはその後ユーロ安ドル高へと反落で元の水準へと戻すもドル円の戻りは限定的となり、109円30銭台まで。今朝の東京市場では日経平均の大幅続落にも連れて109円20銭近辺での軟調推移から、トランプ米大統領の対中協議への楽観視ツイートに買い戻し。90日移動平均線を割れて加速した円高の流れもいったんは109円ちょうど付近で支えられた格好も、株安の流れがとまらないようならもう一段の下げも予想され、1月末安値108円台半ばまでが下値目安に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/13終値とチャート
14日の国内金価格は+37円、0.76%高で3日続伸。上げ幅としては2月20日(+56円、1.11%)以来、ほぼ3カ月ぶりで今年3番目の大幅上昇。今年の平均騰落値幅(上下16円)の倍以上。下値目安4820円台に向けての軟調な流れは中国の報復関税をきっかけに巻き戻された形となり、4月26日(4909)以来、半月ぶりに4900円台を回復。抵抗線にもなっていた9日移動平均線(4891)も上抜けて短期的な流れは好転の兆しも。ただし、目先は4930円までが上値抵抗水準となりやすく、これを超えることになれば一段高の展開へと向かう可能性もあり、次の上値目標は3月高値5010円台へ。すぐには想定し難いものの、急反落で4860円割れの場合には今年安値更新トライも想定され、4790円近辺までが次の下値目安にも。
プラチナ価格は-3円、0.09%の小幅安となって10日続落。3月29日(3222)以来、1カ月半ぶりの安値水準で下げ止まらず。10日続落は2015年11月(11日続落)以来、3年半ぶり。今年安値から高値までの半値戻し(3240)を達成し下げ止まるには都合の良い水準も、NYプラチナが一段安へと向かうようだと連れ安にも。3200円の大台ラインから200日移動平均線(3182)から61.8%戻し(3179)辺りまでがサポート候補に。
※参考:金プラチナ国内価格5/14とチャート
2019年5月14日(火)時点の相場
国内金:4,905 円 5/14(火) ▲37(0.76%)
国内プラチナ:3,239 円 5/14(火) ▼3(0.09%)
NY金:1,301.8 ドル 5/13(月) ▲14.4(1.12%)
NYプラチナ:854.9 ドル 5/13(月) ▼10.7(1.24%)
ドル円:109.22 円 5/13(月) ▼0.72(0.65%)
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