更新日:2019年5月31日(金)
米商務省が発表した1-3月期GDP改定値は前期比年率で+3.1%となり、速報値の+3.2%からは小幅に下方修正。10-12月期の+2.2%を上回り、7-9月期の+3.4%に次ぐ水準で好調を維持した形です。
2017年第2四半期以降は、8四半期連続で2%超を維持しており、2003年第1四半期から2005年第1四半期までの9四半期連続以来、14年ぶりの好調期を形成しています。また、最後のリセッション明けとなった2009年第3四半期から景気拡大局面は9年半継続中。
なお、GDPの7割を占める個人消費支出は前期比年率+1.3%となり、速報値の+1.2%からは上方改定。ただし、昨年第2四半期の+3.8%をピークに3四半期連続で鈍化基調となっており、昨年第1四半期の+0.5%以来1年ぶりの低水準にとどまっています。
個人消費支出の物価指数で食品とエネルギー関連を除くコアPCEは前期比+1.0%となり、速報値の+1.3%から下方改定され、2015年第4四半期以来、3年1四半期ぶりの低水準となりました。
1月から3月までのコアPCEが連続の低下で1.6%まで低下したことが影響しているようですが、本日発表予定の4月分の事前予想でも前年比+1.6%での横ばい推移がメインとなっています。
個人消費支出が減速傾向となっている状態に連動するように、コアPCEインフレも減速傾向となり、近年最低レベルの低インフレ状態となっています。
この低インフレ状態は「一時的」と見るのがFRBのメインシナリオとなってはいますが、この日、クラリダFRB副議長は「米景気拡大へのリスクの高まりを認識すれば金融政策緩和の用意がある」と、利下げを示唆する発言も。
コアPCEの低迷状態がもう少し続くようだと、FRBの金融政策にも不透明感が漂い始めることにもなりそうです。
30日のNY金相場は+11.4ドル、0.89%の続伸で1290ドル台を回復し、半月ぶりの高値水準に。米中貿易摩擦への警戒感は続き、米10年債利回りの低下基調も続き2.26%台から2.21%台へと一段と低下。1年8カ月ぶり低水準となり、2.35%台で推移する3カ月物との逆イールド状態は解消どころかその差を拡大。逆イールドに伴う景気減速への警戒感がこの状態を加速させる負のスパイラル状態にもなりつつある状況にも。安全資産として買われ始めた様子もある金はNY市場で大きく水準を切り上げる展開となり、引け後にも米10年債利回りが2.2%割れへとさらに低下の兆しとなり、1290ドル台半ばへと堅調推移。1290ドルの節目を上抜けて堅調な流れが続きやすい状況となり、当面の上値目標は1330ドル台辺りまで。目先、1300ドルの大台ラインに若干の抵抗感も。
NYプラチナは+2.4ドル、0.3%高で3日ぶりの反発。NY朝には一時790ドルを割れて2月15日(785.1)以来、3カ月半ぶり安値を付けて反発。しかし、NY金に追随する流れもやや勢いに欠け、800ドルの大台ラインが意識されて頭打ち。安値圏で十字線を形成し、反発への可能性も示唆する状態ながらも今朝の時間外には再び790ドル付近へと軟調推移。800ドルの大台回復が当面の課題に。
ドル円はほぼ前日から変わらず、上方向への行って来いとなって109円60銭付近。日経平均の下げにも底堅く推移した東京時間に109円半ばを維持すると米10年債利回りの反発局面にも連れて夕方にかけて109円80銭台まで上昇。トランプ米大統領の「中国との通商交渉は上手くいっている」発言などを好感し、一時109円90銭台までの一段高も4月住宅販売保留指数が前月比-1.5%と予想に反して低調となり、ペンス米副大統領の「米国は必要なら中国製品への関税を2倍以上に引き上げる」発言も追い打ちをかけて米10年債利回りが急反落。これに連れてドル円も109円40銭台まで急反落。今朝の東京市場ではトランプ米大統領の「メキシコの全製品に5%の関税」ツイートを受けて一時109円20銭台まで一段安。中国の5月製造業PMIも予想以上に低調となり、リスク回避の流れが優勢の状況。20日移動平均線(109.90)に上値を押さえられ、下値は109円20銭台のサポートが効いている状態。20日線を上抜けできれば110円台半ばまでの上昇余地も、下値サポート割れなら108円割れを試すような展開にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/30終値とチャート
31日の国内金価格は+28円、0.58%の続伸。NY金が反発方向へと動き出したことにサポートされ、小幅保ち合い下方ブレイクに伴う下値トライへの流れは巻き戻し。4820円が当面の下値サポートとなって下げ止まった可能性も高まり、4860円の保ち合い上限ラインとの攻防へ。このラインを突破できれば反発局面形成へと向かう確率は高まり、3月前半安値圏4950円付近までが当面の上値目標に。
週間ベースでは+4円、0.08%の小反発。月間では-52円、1.06%安で3カ月続落。
プラチナ価格は-15円、0.5%安で3日続落。昨年8月24日(2979)以来、9カ月ぶりの安値水準となり、下値目安となっていた今年安値2982円近辺にもしっかり到達。今年安値をわずかに1円下回り二番底をつけた形にもなり、価格低下でもRSI上昇のダイバージェンスも反発への後押しにも。
週間では-46円、1.52%安で5週続落。月間では-425円、12.48%の大幅反落。月間の下落率としては2015年11月(-604円、14.67%)以来、3年7カ月ぶりの大幅下落。
※参考:金プラチナ国内価格5/31とチャート
2019年5月31日(金)時点の相場
国内金:4,857 円 5/31(金) ▲28(0.58%)
国内プラチナ:2,981 円 5/31(金) ▼15(0.50%)
NY金:1,292.4 ドル 5/30(木) ▲11.4(0.89%)
NYプラチナ:794.1 ドル 5/30(木) ▲2.4(0.30%)
ドル円:109.61 円 5/30(木) ▲0.03(0.03%)
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