更新日:2019年6月1日(土)
米商務省が発表した4月の個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)は前年比+1.5%。3月の+1.4%からは上昇し、2カ月連続の加速基調となったものの、市場予想の+1.6%を下回りました。
食品とエネルギー関連を除くコアPCEは前年比+1.57%。市場予想の+1.6%にほぼ一致し、3月分が+1.55%から+1.49%へと下方修正され、1-2月もわずかに下方修正された結果、今年はじめて上昇。減速基調に歯止めがかかった可能性を示す結果も、2017年10月以降では2番めの低水準。
依然として目標2%を大きく下回る水準にあり、FRBの基本見通し「一時的低インフレ」状態は4月も継続しています。
エネルギー関連が3月の前年比+0.3%から+1.7%へと5カ月ぶりの水準に回復し、サービス価格が1年5カ月ぶり低水準となった3月の+2.2%から4月は+2.4%へと上昇したことが若干の押し上げ要因に。その一方で耐久財は前年比-1.4%から-1.8%へと2カ月連続の低下となり、商品価格としても3月の-0.3%から-0.5%へと低下し、5カ月連続の前年割れ。
ただし、PCE構成品目のなかで変動の激しい上下20-30%を除いて算出するダラス連銀のトリム平均PCEは、3月の前年比+1.93%から4月は+2.03%。小幅に3カ月連続上昇し、昨年7月(2.03)と並び、2012年2月(2.03)以来7年ぶりの高水準となり、FRBの目標水準2%を回復。
今後もFRBが「低インフレは一時的」との見解を示すための裏付けとなったようです。
しかし、FRBが見方を維持する限り、市場の思惑との乖離は拡大方向へと向かうことにもなりそうです。
CNEフェドウォッチではこの日、9月FOMCでの利下げ織り込み度が40%台から77%まで急騰しています。
31日のNY金相場は+18.7ドル、1.45%の大幅高で3日続伸。4月10日(1313.9)以来、1カ月半ぶりの高値水準。上昇率では今年高値の前日2月19日(+22.7ドル、1.72%)以来3カ月半ぶりで今年2番めの大幅上昇。メキシコ国境からの不法移民流入に不満を示すトランプ政権が6月10日以降メキシコからの輸入品全てに5%の関税を課し、移民流入が止まるまで関税率を段階的に25%まで引き上げることを表明。サプライズ的な発表に自動車関連株などを中心に株安の流れが急速に進行。中国の対米レアアース輸出制限への警戒感もあり、東京時間からリスクオフの流れが一方的に進行。米10年債利回りは2.2%を割れて2.12%台まで低下し、2017年9月上旬以来1年8カ月ぶり低水準となり、英10年債利回りも2年7カ月ぶり低水準、ドイツの10年債利回りは-0.2%台の過去最低を記録。高止まり状態となっていたドル高も巻戻しの流れが急速に進行したこともNY金を押し上げる形となり、欧州時間に1300ドルの大台を超えるとNY市場ではこれがサポートに切り替わる形にもなって一段高。
4月末と5月初旬、後半に下ヒゲで1270ドル割れを3度試してトリプルボトムを形成、ネックラインとなる5月半ばの高値1300ドル台をしっかりと上抜けたことにより、この間の値幅30ドル程度さらに水準を切り上げる可能性も。当面の上値目標は2月の戻り高値水準1330ドル台まで。
週間ベースでは+27.5ドル、2.14%の大幅続伸。上昇率は今年最大で昨年12月3日からの週(+32.4ドル、2.66%)以来。月間では+25.4ドル、1.98%上昇し、4カ月ぶりの反発。
NYプラチナはわずかに+0.1ドル、小幅続伸もほぼ横ばい推移状態。貿易摩擦を懸念しての株安とNY金の大幅高との板ばさみ、という面もあって安値圏での膠着状態。790ドル台前半での保ち合いが続き、一時790ドル割れも前日安値は下回らず、上値も前日高値に届かず。この日の値幅はわずかに7.1ドル、今年2番めの小動きで年間平均15.8ドルの半分以下。鍋底形成のような展開にもなり、790ドルを維持し続けることができれば反発方向へも。
週間ベースでは-8.7ドル、1.08%安で6週続落。6週続落は昨年12月以来。月間では-97.5ドル、10.93%の反落。2015年11月(-156.2ドル、15.79%)以来、3年半ぶりの大幅下落。
ドル円は-1円30銭、1.21%の大幅ドル安円高となり、3日ぶりの反落。下落率としてはロシアゲート疑惑で急落した2017年5月17日(-2.31円、2.04%)以来、2年ぶりの大幅下落。水準としては1月14日(108.15)以来、4カ月半ぶりのドル安円高水準に。メキシコ関税に中国製造業PMIの下振れなどをきっかけに東京時間から株安・長期金利低下・ドル安の流れとなり、ドル円はサポート水準となっていた109円20銭台を割れたことで東京午後からほぼ一方的な下落基調に。強弱入り交じる結果となった米指標にも低インフレは変わらず、利下げ観測も高まり、下げ止まりを確認できないまま週と月ををまたぐ形に。月初の指標でネガティブな結果があれば一段安も想定され、年初のフラッシュ・クラッシュを除く安値圏、107円台後半までが目先の下値目標に。
週間では-1.03円、0.94%の続落。月間では-3.15円、2.83%の反落。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/31終値とチャート
2019年6月1日(土)時点の相場
国内金:4,857 円 5/31(金) ▲28(0.58%)
国内プラチナ:2,981 円 5/31(金) ▼15(0.50%)
NY金:1,311.1 ドル 5/31(金) ▲18.7(1.45%)
NYプラチナ:794.2 ドル 5/31(金) ▲0.1(0.01%)
ドル円:108.28 円 5/31(金) ▼1.33(1.21%)
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