更新日:2019年8月30日(金)
EU加盟国全28カ国を取りまとめる欧州委員会が発表する景況感指数で、通常、世界経済への影響が大きくなりやすい通貨ユーロを採用する19カ国、通称ユーロ圏の8月景況感指数(ESI:Economic Sentiment Indicator)は103.1。3年4カ月ぶり低水準となった7月の102.7からは予想外の反発。ドイツの景況感指数が6年1カ月ぶり低水準となった7月の100.2から8月は100.6へと小反発となったことにより、ユーロ圏の景況感も下げ渋った形です。
セクター別ではユーロ圏の製造業が5年11カ月ぶり低水準となった7月の-7.3から8月は-5.9へ、9カ月ぶりに反発。下げ止まりの可能性を示しながらも7カ月連続のマイナス圏。サービス業は3カ月連続の低下で9.3となり、4年2カ月ぶりの低水準。同様にドイツの製造業が6年9カ月ぶり低水準となった7月の-13.0から8月は-11.2へと、12カ月ぶりに反発。ただしマイナス圏は6カ月連続。ドイツのサービス業も3カ月連続の低下で12.9となって4年半ぶりの低水準。
ドイツとともにユーロ圏製造業の景気は縮小基調が続くなかで底打ちへの可能性も示しながら、今度は好調だったサービス業の拡大基調にやや減速感が漂い始める黄色信号、という状況です。
なお、ユーロ圏景況感指数を6カ月平均で見ると2018年3月の113.4から17カ月連続の低下で8月は104.0。2016年10月(103.9)以来、2年10カ月ぶり低水準となってトレンド的には未だ下げ止まってはいません。
この夏、とりわけ8月になってユーロ圏やドイツの景況感指数を下回り、にわかに警戒感が高まってきたのが英国とアイルランド。
EU加盟全28カ国のなかで、8月の景況感指数ワースト3が英国(92.5)、ベルギー(96.0)、アイルランド(97.6)の順となっています。
ベルギーは英国と同じタイミングで4月に長期平均100を割れてじわじわ低下する形となっていますが、アイルランドは7月の100.9まではドイツを上回る水準を維持していましたが、この8月に急低下。
英国は2012年9月(88.4)以来、6年11カ月ぶり低水準となり、アイルランドは2013年8月(97.2)以来6年ぶり低水準となっています。
10月末の英国のEU離脱に向けての最大の問題点とも言える、アイルランドと英領北アイルランドの国境問題に関するバックストップ案を巡る対応では不透明感が拭えず、合意なき離脱への警戒感も高まる状況となってきています。最大の当事国とも言える英国とアイルランドの景況感が急低下しているのは、この秋に起こりうることへの警戒感が急速に高まってきていることを示しているようにも見えます。
29日のNY金相場は-12.2ドル、0.79%の続落。時間外では高値保ち合いから押し目買いの勢いがやや強まって一時1560ドル寸前まで上昇。上値余地をしっかり試したことによる達成感と合わせ、中国商務省から「米中は9月の訪米で議論している」ことが伝えられ、米中対立への過度な警戒感後退によりリスク回避の巻戻しが進行。株高ドル高と金利上昇の流れとなり、欧州・NY時間にかけて大幅調整となったNY金は1540ドル割れ、NY引け後には一時1530ドル割れを試して反発しており、この水準が短期サポート候補に。1550ドル台が目先の抵抗水準にもなり、月末月初の指標次第で調整局面拡大か上値トライ再開か。上値再トライなら1570ドルまでが次の目標水準、調整なら1500ドルまでが短期的な目安に。大台割れの場合には昨年8月以降の上昇幅の23.6%戻し、1470ドル近辺が次の下値目安に。
NYプラチナは+11.1ドル、1.22%高で4日続伸。4日間で62.2ドル、7.3%の大幅上昇となって今年高値を更新、昨年5月11日(925.9)以来、1年3カ月半ぶり高値水準に。8月15日には689.2ドルまで拡大していた金との価格差は616.9ドルまで急縮小し、出遅れ感も急速に解消方向へ。欧州・NY時間にかけてのリスク・オンの流れにサポートされる形で一時940ドル付近まで上昇し、NY引け後には920ドル割れへと反落。微妙な水準に位置し、2018年以降の長期的安値保ち合い圏の上限、今年4月高値920ドル超えが一時的な行き過ぎだったことになれば、5月末安値からの上昇幅の23.6%戻し(903.7)、38.2%戻し(881.9)などが短期的な下値目安にも。920ドル超を維持することができれば、長期的な水準が切り替わる可能性もあり、そうなると長期的にはさらに100ドル余り水準を切り上げる可能性もあり、数カ月後には1000ドルの大台回復も。
ドル円は50銭のドル高円安となって続伸。米中貿易協議進展期待をきっかけに欧州時間朝から堅調推移となって1週間ぶりのドル高円安水準となり、20日移動平均線(106.11)と三角保合いをしっかり上抜けた形に。8月半ばの保ち合い上限付近でやや頭打ちの状態となっているものの、流れは円安方向。米中の月初の指標などで好結果となるものがあれば、それをきっかけに加速しやすい展開にも。そうなれば上値目標は107円台前半へ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/29終値とチャート
30日の国内金価格は近年最高値5597円での横ばい推移から-27円、0.48%の下落。今回はダイバージェンスが示唆したとおりに下落する形となり、5600円台の高値トライにはいったん失敗。流れ的にはいったん調整局面入り濃厚という状態ながら、これまでのように予想外の言動、ツイートにより流れが二転三転、月末月初というタイミングも重なり、予測不能な展開にも。予想外に上値再トライに向かえば5640円程度までが上値目標、予想どおり調整継続で5550円の節目を割れると5500円割れ、5490円近辺までが下値目安にも。
週間ベースでは+100円、1.83%の反発。月間では+232円、4.35%の大幅高で3カ月続伸。過去4年間では今年6月の+372円に次いで2番めの上げ幅。
プラチナ価格は+69円、2.11%の大幅高で4日続伸。5月7日(3373)以来、3カ月半ぶりの高値水準に。NYプラチナが長期的節目を超えて一段高へと向かうようなら、国内プラチナ価格で意識されるのは4月につけた今年高値3498円。この水準は長期的に見たトリプルボトムのネックラインとなり、これを上回った場合には長期的にさらに500円程度の上昇を見込むことも可能となり、数年後には4000円台回復も。そうはならず、一時的な上振れに過ぎなかった場合、6月安値からここまでの上昇幅の23.6%戻し(3256)、38.2%戻し(3201)などが短期下値目安にも。
週間ベースでは+190円、6.02%の大幅続伸。4月1日からの週(+233円、7.23%)以来、4カ月半ぶりの大幅高で過去3年半では2番めの上げ幅。月間では+86円、2.64%高で3カ月続伸。3カ月続伸となるのは2016年2月まで以来、3年半ぶり。
※参考:金プラチナ国内価格8/30とチャート
2019年8月30日(金)時点の相場
国内金:5,570 円 8/30(金) ▼27(0.48%)
国内プラチナ:3,344 円 8/30(金) ▲69(2.11%)
NY金:1,536.9 ドル 8/29(木) ▼12.2(0.79%)
NYプラチナ:920.0 ドル 8/29(木) ▲11.1(1.22%)
ドル円:106.52 円 8/29(木) ▲0.51(0.48%)
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