更新日:2019年10月4日(金)
ISM製造業景況感指数が2カ月連続節目50割れで10年ぶり低水準となり、さらにADP雇用レポートでも雇用者数の伸びが低迷していることが示されたことで、米中貿易摩擦による影響が拡大し、完全雇用状態だったはずの労働市場にも弱さが見られ始め、景気減速から景気後退への警戒感も強まり、ISM非製造業景況指数の結果を不安視するムードも俄然強まりました。
結果、その不安は的中する形で9月のISM非製造業景況指数は55.0の事前予想に対して52.6と大幅下振れ。8月の56.4からは3.8ポイントの急低下となり、2016年8月(51.7)以来、3年1カ月ぶりの低水準となりました。
加えて雇用指数は8月の53.1から9月は50.4へと2.7ポイントの急低下、節目の50割れこそ回避したものの、最後に50割れとなった2016年5月(49.7)以来、3年4カ月ぶりの低水準。
ISMの景況指数としては、総合指数も雇用指数も製造業の落ち込みに非製造業も追随する形となったことで、株価急落などのリスク回避的な反応となりましたが、節目50割れは回避したことから、予防的利下げを続けることで今後も極端な下振れは回避可能との思惑からか、10月の追加利下げ観測急拡大とともにリスク回避の流れは急速に巻き戻される展開となりました。
この日発表されたIHSマークイットの9月ドイツ総合PMIは、速報の49.1から48.5へと下方改定され、6年5カ月ぶりの節目50割れが確定し、6年11カ月ぶりの低水準へと落ち込みました。製造業PMIが10年ぶり低水準となる41.7と異常値とも言える状態となったことが大きく影響しました。ただし、サービス業PMIも9カ月ぶり低水準となる52.5で、前月からは2.3ポイントの急低下となっていました。なお、ユーロ圏の総合PMIも50.1と6年3カ月ぶり低水準で節目50割れ寸前。
エアバス補助金問題を巡る報復関税がWTOに認定されたことで、米欧貿易摩擦の激化も一段と警戒される状況となってきたタイミングで、米欧ともに製造業の低迷が非製造業へも波及し始めた可能性にも警戒すべき状況となってきました。
3日のNY金相場は+5.9ドル、0.39%高で3日続伸。9月26日(1515.2)以来、1週間ぶりの高値水準。1500ドル台半ばでの小幅揉み合い推移から、NY午前のISM非製造業景況指数の結果を受けて1525ドルまで20ドル程の急騰で反応。しかし、適度な悪化から追加利下げ観測拡大への思惑から急落した米株は急速に買い戻され、急速に売られたドルも徐々に買い戻される展開となり、NY金は引けにかけて1510ドル付近まで巻き戻し。米10年債利回りが1.58%台から1.54%へと急低下後の戻りが限定的となった分だけ金も戻し切らなかった格好となり、抵抗線となる可能性もあった20日移動平均線(1509.4)を超えた水準も維持。1470ドルから1540ドルまでの広めレンジ中央に位置し、次の展開は雇用統計の結果に委ねる形に。趨勢としてはネガティブな結果に強めの反応となりやすい状況も、今回は良くも悪くも程々の結果?、も予想されそう。
NYプラチナは前日から変わらす横ばい推移。890ドル台半ばでの小康状態が続き、NY市場では金の急騰に追随も904ドルまで、10ドル弱の小幅高にとどまる控えめな反応後には何事もなかったように元の水準へと逆戻り。900ドルの大台ラインが当面の抵抗水準となる可能性も示し、雇用統計後に上抜けできなければ軟調な展開がもう少し続くことにも。880ドル台半ばの節目を割り込めば5月末安値から9月高値までの61.8%戻し(870.3)前後が下値目安。
ドル円は30銭弱のドル安円高となって3日続落で107円割れ。米景気指標への警戒感が高まるなか、107円台前半での小幅保ち合い推移から、欧州時間には107円30銭近辺の高値をつけて徐々に上値を切り下げる軟調推移となり、NY時間にはISMの非製造業景況指数の下振れに106円50銭割れへと60銭程度の急落。しかし株価の急速な買い戻しにも連れて下げ渋ると106円90銭台まで反発。長めの下ヒゲを残して反発への可能性も示しながらも107円台を回復できず、流れとしてはもう一段下値を試しやすい状況に。雇用統計が、10月FOMCでの追加利下げ観測大幅縮小につながるような好結果とならない限りは下値トライ継続優勢へ。9月の上昇トレンド前の水準、106円割れが当面の下値目標に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/3終値とチャート
4日の国内金価格は+13円、0.23%高で4日続伸。近年最高値となった9月25日(5665)以来、10日ぶりの高値水準となり、ここから反落となれば三尊天井を警戒する状況にも。雇用統計ではポジティブな結果はあまり予想できないものの、ネガティブ・サプライズも想定し難く、若干の下振れ程度にとどまるのでは?と予想し、そのとおりになれば三尊天井を解消し、高値更新へと向かう可能性も。ただし、急反落警戒感もくすぶり続ける状態でもあり、今年高値を2度つけて2度とも急反落した展開が繰り返される可能性もあり、5600円前後までの急落への警戒感も。
週間ベースでは+51円、0.91%の続伸。
プラチナ価格は-5円、0.15%の小幅反落。7月末高値3290円から3300円の節目にサポートされて下げ止まり、しかし短期的には21日移動平均線(3446)を下抜けた9日移動平均線(3402)がいずれも下落中で上値の重さを示す状態。その一方で90日移動平均線(3189)は8月末急騰前の保ち合い水準から徐々に上向き始め、中期的な地合好転を示す状態にも。短・中期移動平均線が当面の主要レンジ上下限となる形で、雇用統計後に方向感が見出だせるかどうか。
週間ベースでは-105円、3.07%安で3週続落。下落率は5月20日からの週(-125円、3.97%)以来、4カ月ぶりの急落。
※参考:金プラチナ国内価格10/4とチャート
2019年10月4日(金)時点の相場
国内金:5,652 円 10/4(金) ▲13(0.23%)
国内プラチナ:3,319 円 10/4(金) ▼5(0.15%)
NY金:1,513.8 ドル 10/3(木) ▲5.9(0.39%)
NYプラチナ:894.4 ドル 10/3(木) +-0.0(0.00%)
ドル円:106.89 円 10/3(木) ▼0.28(0.26%)
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