更新日:2019年10月5日(土)
強弱混在となった米9月雇用統計、株式市場にとっては適度に悪化した指標もあったことで10月の追加利下げ観測が大きく後退することなく、堅調推移を支える結果に。10月利下げ観測が80%弱を維持したことで、ドル高はサポートされず、長期金利も反発し切れず、金価格も下げ渋り。
<強かった指標>
・失業率=3.5%・・・1969年12月(3.5)以来、49年9カ月ぶり低水準。
・U6失業率=6.9%・・・2000年12月(6.9%)以来、18年9カ月ぶり低水準。
この結果、【U6失業率とU3失業率との差】が示すリセッション入りサイン(2001年のリセッション前にはU6-U3=3.0%で下げ渋り、2008-2009年のリセッション前はU6-U3=3.5%で下げ渋って反発の兆し)は7月の3.3%で17年11カ月ぶり低水準となった後は3.5%、3.4%と続いて下げ渋り。★拡大し始めたら要注意。
<弱かった指標>
・NFP3カ月移動平均=前月比+15.7万人・・・8月の+17.1万人からは低下。今年2月(+19.8万人)まで+20万人前後での推移から急低下、7月の+13.5万人(6年11カ月ぶり低水準)をボトムに回復途上。
・労働参加率=63.2%・・・横ばい推移、リーマン・ショック後の最低となった2015年9月の62.4%からの反発も限定的にとどまり、回復目安とされた66.1%には遠く及ばず。※労働参加者の高齢化問題なども影響し、過去数値との単純比較は困難か。
・長期失業者の割合=22.7%・・・2008年7月以来11年ぶり低水準となった7月の19.2%から、8月の20.6%を経て2カ月連続上昇で12カ月移動平均(21.17%)を上抜け。回復目安19.1%付近に到達後、12カ月移動平均をはさんで上下動の展開が継続。★過去のボトムアウトでも同様の展開からリセッション入り。12カ月移動平均を上回り続けたら要注意。
・賃金上昇率=前年比+2.89%・・・2018年7月(+2.85%)以来1年2カ月ぶり低水準。3カ月平均では前年比+3.11%で1年ぶり低水準、前月比-0.04%は2017年10月(-0.15%)以来1年11カ月ぶり低水準。
前年比+3.3%前後で推移した昨年10月から今年3月までから急減速、ピークアウト感が強まる状況に。
失業率の「50年ぶり」ばかりがクローズアップされ、「好結果」が強調されがちですが・・・。
タカ派のクリーブランド連銀メスター総裁は「本日の雇用統計は非常に良い結果」派。「米国経済は非常に良好」とし、「貿易は我々が深刻に注視しなければならない逆風」との警戒感も。
投票権を持つボストン連銀ローゼングレン総裁は「楽観視する多くの理由があるが、多くの不透明感も」と強弱混在に「次回会合へはオープンマインドで」と中立派。
パウエルFRB議長は「米国経済はリスクに直面しているが、総じて良好な状態」と平静を装うものの、「インフレは目標である2%に近付いているが、やや下回っている」「FEDは2%のインフレを達成するための戦略を検討」などインフレ目標未達への警戒感を重視している様子も、今回の雇用統計の結果や次回会合への思惑はノーコメント。
今回の雇用統計の結果を受けては、フェドウォッチの10月追加利下げ観測とともに、FRBの思惑も揺れ動く状態が今しばらく続きそうです。
4日のNY金相場は-0.9ドル、0.06%の小幅安で4日ぶりの反落。雇用統計を控えて1510ドル台半ばでの小康状態が続いた後、その結果を受けて1520ドル台へと急騰後1500ドル付近まで急落。強弱混在となった指標結果に乱高下の反応となり、その後は7日連続低下となった米10年債利回りの上げ渋りとドル高の巻き戻しとともに、値を戻す展開となって1515ドルまで反発、NY引け後も1510ドル台を維持。日足では上下に長めのヒゲを残す十字線に近い足型となってほぼ横ばい推移となり、方向感は定まらず。結果的に雇用統計前までに景気悪化への警戒感を背景に10月追加利下げ観測が急速に高まった状態から、その勢いが若干弱まった状態に。この日の上下動のレンジ1500ドルから1520ドル前後までが目先の主要レンジにもなり、次週からは米中協議の行方や米インフレ指標などを手がかりに再度方向感形成の動きにも。
週間ベースでは+6.5ドル、0.43%の小反発。
NYプラチナは-7.5ドル、0.84%の下落。雇用統計前までに880ドル半ばまで下落し、結果を受けては下方向へ10ドル程の行って来いの展開に。結果的に1カ月ぶり安値となった10月1日の886.1ドルとほぼ同水準で下げ止まった状態となり、900ドルの大台ラインが目先の抵抗水準となって小幅保ち合いを形成。大台回復できれば9月半ばから後半の保ち合い下限、920ドル付近までが次の上値目標。現状からさらに水準を切り下げることになれば8月末の急騰前の水準860ドル台までが下値目安に。
週間ベースでは-44.1ドル、4.74%の大幅安となって4週続落。下げ幅としては5月13日からの週(-45.3ドル、5.23%)以来、4カ月半ぶりの大幅下落。
ドル円はわずかにドル高円安となって4日ぶりの小反発も、106円90銭台でほぼ横ばい推移。雇用統計の結果を受けて106円80銭近辺から60銭近辺まで小幅に急落、切り返して107円10銭台まで50銭ほどの急騰。それほど悪くないとの見方もできる結果に水準を切り上げた株価は、10月利下げ観測の高止まりによってさらに一段高となったのに対し、ドル高の巻き戻しによってドル円は1時間余りで反落の展開へ、107円台も維持できず。下ヒゲ陰線の翌日の十字線で反発への可能性も示唆するような足型も、節目の107円を回復できなかったことで短期トレンドは軟調方向優勢の状態で次週へ。きっかけがあれば106円割れを試しに行くような展開にも。
週間ベースでは-1.00円、0.93%の反落。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/4終値とチャート
2019年10月5日(土)時点の相場
国内金:5,652 円 10/4(金) ▲13(0.23%)
国内プラチナ:3,319 円 10/4(金) ▼5(0.15%)
NY金:1,512.9 ドル 10/4(金) ▼0.9(0.06%)
NYプラチナ:886.9 ドル 10/4(金) ▼7.5(0.84%)
ドル円:106.94 円 10/4(金) ▲0.05(0.05%)
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